第十六話 報酬は銭がいいよね
それから数十分後荒木はミサナ森林に行き、些細な戦闘を行いながら森林内の採集を終えてまだ明るい内に再び町へと戻ってきていた。
荒木は自分の体から試験の時に提示された薬草を全て取り出すと宿と思われる場所でダガーの手入れをしているレノール発見したので目の前に飛び出した。
「きゃー!」
レノールはいきなり現れた荒木に恥じらいもなく驚き、そのまま後ろに倒れた。
「これレノールの分。どれでも好きな薬草持って行って」
「えっ! さっき別れたばかりなのに、もう薬草採ってきたの? しかも全種類」
「早くとって」
「はい」
荒木はレノールに急かされると、未だ覚めない驚きを抑えて冷静になり三種類の薬草を適当に手に取った。
「とりえず冒険者ギルドに報告に行くぞ」
レノールが薬草を取り終わると予め作って置いた布袋を二つ取り出すと一つをレノールに向かって投げて渡すと、薬草を袋に詰めた。レノールも薬草を荒木にもらった布袋に入れた。
「この通り課題が終わったからだ」
荒木が何故冒険者ギルドに報告に行くのか疑問に思っていた現在の状況を教えるようにレノールに向かって行った。
荒木とレノールのフードを被っている二人組は再び冒険者ギルドに足を運んでいった。冒険者ギルドにある換金所をどこも使われてるので、並んだ。
「随分人がいるな」
この時間帯もそれなりに人がいるのか。やはり、早い時間か遅い時間に来た方がよさそうだ。
「この国の首都ですからね。ギルドに限らずお店も混んでいますよ」
「詳しいな」
さっき見て回ればよかったがレノールを待たせるのも悪いと思ったから、まだ朝の町を少しか見てないから把握できてないんだよな。
「数年前からこのエアストにいますからね」
「ずっとこの町にいたわけじゃないんだ」
「はい。旅している最中にこの町に辿り着きました」
「住みやすいの?」
荒木はレノールが数々の場所をして最終的にこの町が一番いい環境で、定住していると想像していた。
まぁ、年齢が定かではないが若そうだしそれはないか。俺も色々と片付けたら旅をして情報を集めないと。
「いえ、師匠に言われた課題のためにこの町にいます」
「その師匠ってどんな者なの?」
「師匠は大盗賊と言われているSランク冒険者です」
なるほど大盗賊の師匠がいるから盗賊の道を歩んでいるのか。それにSランクか。冒険者の中で頂点に近い実力か。Sランク冒険者がどれくらい強いか見たことがないから知らないがお金は持っていそうだ。
「今も師匠に直接稽古はしてもらっているの?」
「取りあえずAランク冒険者になるという課題が終わるまでは師匠に会えませんね」
「一人で実戦を行ってもいい実力は認めてもらっているのか」
「そうなるみたいですね」
荒木が冗談だとは思えない感じで言った言葉を誉め言葉と、捉えたレノールは照れていた。
ということはもし、レノールの師匠が普通の修行を行っているのなら、レノールがこの世界で一人でも生きていける強さの基準になるな。でも、盗賊だから戦闘能力は低めと見積もったほうがいいか。レノールを観察して行けばこの世界での振る舞い方法が分かるか。チームを組んで正解だな。
「来たか」
話しの途中だったが、今話を膨らませて色々聞かなくても後で聞けるので、レノールと話すことを止め、受付嬢に試験の課題の薬草が入っている袋をカウンターに置いた。
「これ試験課題の薬草です。後ろにいる子も同じ何で、一緒に納品してもいいですか?」
「はい…構いませんよ」
「あっ、ありがとうございます」
レノールは一緒に提出するとは思っていなかったのか少し噛んだが、お礼を言いながら荒木とを同じく袋をカウンターに置いた。
受付嬢はカウンターに置かれた二つの袋を開けて、薬草を確認し始めた。一通り目を通して採集した薬草があっているのか確認を終えると、書類を持って何処かへと消えて行き手続きが済んだのか戻って来た。
「はい。試験は合格です。こちらが冒険者ギルドのクリスタルになります。使い方の説明はいりますか?」
受付嬢の手にはネックレスに丁度良さそうな大きさのサイズのクリスタルが二つ用意されていた。
これが冒険者ギルドのクリスタルか。説明は時間が掛かりそうだな。レノールに聞いてレノールが知っていれば、暇なときに聞けばいいから受付嬢から聞かなくてもいいか。
「レノールは使い方の説明知ってる?」
「知ってるわよ」
「じゃ、レノールに聞くので説明はいらないです」
「分かりました。それではクリスタルをお受け取りください。それではまた次の依頼でお会いしましょう」
荒木とレノールがクリスタルを受け取ると受付嬢はすぐに別れを告げると次の冒険者の対応に当たった。用が済んだ二人は冒険者ギルドを出るため入り口に歩こうと踵を返すと別の受付嬢に呼び止められた。
「すみません。荒木様とレノール様はこちらの部屋に来てください」
荒木とレノールは試験の説明された部屋に案内されたのでその指示通りに部屋の中に入って行くと副ギルド長のヘーゼルが立っていた。
「買ってきたの?」
「あぁ、なるほど」
俺たちのことを疑っているのか。なら、事実を言うまでか。
「ちゃんとミサナの森から採ってきたよ」
「君たちは遠距離を一瞬で移動できる方法があるのか」
ヘーゼルは今までの経験上ミサナの森へ行くには相当な時間が掛かるという認識を持っているので、瞬間移動系の何かを使ったに違いないと思っていた。
「そんなものは使っていないが」
それにあの距離なら瞬間移動より走ったほうが速い。
「じゃ、どうやったんだ」
「単純に走っただけだよ」
「いや、それは無理があるだろう。馬を無休で走らせても一日半くらいはかかるぞ」
ヘーゼルは走ってたどり着くことなど夢物語だと思っている様子で完全に嘘だと思っていた。
「…(無理があるんじゃ)」
さらに隣にいたレノールもその話はさすがに嘘だと思っているのか。白い目で荒木を見ていた。
「あの距離ならのんびり走っていても、一時間はかからない距離だからな」
「いや薬草なら別に買ってきたことも他の人から盗んだのではないかと思って、気づかれれば報復されるかもしれないから注意をしに来ただけだ」
ヘーゼルはどうやら二人の背格好から保護欲を感じたのか冒険者歴の長い先輩からの優しい忠告をしたかったようだ。
「なるほど」
出来上がった薬は普通に人でも持っているが、薬草は普通の人が持つことはなく一定の者しか持っていないからな。盗んでも薬草を持っている者の責任ということだろう。それにしても、買っても盗んでも合格だったのか。優しい人だな。まぁ、それを口に出したらこういうタイプは照れ怒るだろうな。
「優しいんですね。ヘーゼルさんは」
レノールもそのやさしさを察したがその気持ちを素直にヘーゼルに向けていった。
「た…ただの忠告だ」
すると、ヘーゼルは少し怒ったように照れた。
「その忠告をさせたのは相手の力量を測るとはいえレノールの盗みが下手だったからだろうな」
忠告で呼ぶのなら、レノールの盗みが気付かれたとしか思えないからな。
「ヘーゼルさんにも気づかれてたんだ」
「私は一応Aランク冒険者だけど、おそらくCランクでも見抜ける人はいるだろうから気を付けたほうがいい」
俺とヘーゼルと受付嬢以外見抜けた人はいないからあの中にそんなに強い奴はいないか。
「しかし、荒木くんも嘘をつかないほうがいい。面倒ごとに巻き込まれることになるぞ」
先程の移動を嘘だと持っている後輩に優しいヘーゼルは荒木にもレノールと同じように注意をした。
「事実なんだけど信じられないか」
まぁ、仕方ないか。その存在が確認されていれば強さの象徴とされるドラゴンの頭を出せば納得してもらえるだろう。確かギルドの掲示板にもドラゴンの調査依頼が貼ってあったから運がよければ報酬が貰えるかも。
「さっき、チラッと掲示板に見えたがあの中の依頼に掛かれていた山に住み着いたドラゴン調査にあったそのドラゴンの首」
荒木は糸でスライスした4匹の中で中間くらいの大きさの、ドラゴンの頭が保管されている世界から取り出し、音もなくこの部屋に出現させた。
「何!?」
「う…そ」
荒木から出てきたドラゴンの頭にヘーゼルは驚き、レノールは唖然と言葉を漏らしているだけで二人は圧倒されていた。
「一人でやったのか」
ヘーゼルは一人では流石に無理だろうと判断したのか。協力者がいるのだと思い荒木に聞いた。
「いや、俺が4匹でもう一人が1匹をやった。ちゃんと体が繋がっているのはその1匹だけだな」
「あ…あぁ」
ヘーゼルは一瞬他の人に手伝ってもらったのか! と納得して少し驚きが薄れかけようとしたが、さらに自分の考えを上回る驚きの発言を聞いたせいで小声でしか返事を返せなかった。
「だから、もう山にはドラゴンはいないから、調査しても何もでないよ」
「分かった」
ヘーゼルは荒木が先程の言ったことを納得した。
「後の4匹も出す?」
「いや、いい」
荒木は真実を証明するために聞いたが、あと4匹のドラゴンを出したらどこからどう見てもこの部屋には収まらないので、ヘーゼルはどうせ本当の事だろうと半分諦めながら、認めて荒木を止めた。
「ランクが上がったり、報酬が貰えたりしないの?」
「受けていないし、今の君のランクでは受けられない」
「地道にランクを上げるしかないのか」
落ち込んだ感じに言ったものの、早急にお金が欲しいというわけではなかったので、のんびりと上げようと考えていた荒木はそんなに落ち込んでいなかった。
「そうだな。ドラゴンを倒しているとはいえそれは冒険者になってからではないとクリスタルに記録されないからな。記録されていればランクを一気に上げられたがな」
「まぁ、また倒せばいいだけか」
「そうだ。そんなにお金が欲しいのなら、ドラゴンの素材を国に売れば相当な金になるぞ」
この世界のドラゴンを使って色々と実験したいが2匹いれば十分だ。スライスされているが、王城に戻って売ってみるか。金になればお店に行けるからな。
「ちょっとドラゴン売ってくるから、レノールはチーム申請だしておいて、今のランクで受けられそうな依頼探して待っててよ」
荒木はヘーゼルに情報を貰うとすぐに王城に行くことに決めた。
「チーム申請は一緒じゃないと出来ないよ」
「クリスタル預けるから申請しておいて」
「盗むかもしれないよ。盗賊だし」
レノールは自分をあまりに信用している荒木が盗賊だということをもしかしたら忘れているのかもしれないと思っていた。
「目的があるから今はまだそんなことする気すらないだろう」
それにレノールの力では俺から逃れるの至難だ。
「まぁね。更新しておくからドラゴン換金して行っていいよ」
荒木は冒険者ギルドを後にして王城に戻って来た。
荒木は王城に着くと門番に止められたので、女王から貰った王家の印が押されている身分証明書を見せるとすんなりと通してくれた。
便利。ところでドラゴンの素材どこで売るんだろう。使用人に聞いても分からない可能性もあるからな手っ取り早く女王に聞くか。
荒木は女王なら売れる場所を知れないまでも、この王城内での人脈ですぐに見つけられると思い、会うことに決めた。荒木はしばらく女王を探していると、目の前にエヴァンジェリアとセシーが話して歩いているのが見えた。
セシーとエヴァンジェリアか。丁度いいからどこにいるか聞いてみるか。
「セシー、女王がどこにいるか知らない?」
荒木は後ろから近付いてセシーに近づいて聞いた。
「あっ、荒木さんどこに行ってたんですか? 部屋からいなくなっていて探したんですよ」
「そうですよ」
セシーはいきなり現れた驚いたがすぐに何も言わずに出て行った荒木に対して、少しお怒り気味に注意した。
「冒険者ギルドに冒険者登録して来たよ」
「冒険者登録ですか? あなたには大事な使命があるんですよ。分かっているんですか?」
異世界人の役割をしっかりと果させようと真剣にセシーは荒木を説得しようと今日もまたしつこく行く気のようだった。
「諦めなよセシー。それにちゃんと代理は立てているからセシーが心配することではない」
「そんな勇者聞いたことありません。ちゃんと戦ってください」
「確かに過去の戦いは普通に戦っているのを調べて知っているが、過去に違うことをすればいい方向になる絶対」
荒木はセシーに諦めさせてもらうために、図書室で見た異世界の魔王と勇者の戦いの歴史の事実を言い、何を行っても無駄だろうと判断して不確かなことを断定していった。
「荒木さん。魔王を倒せば確固たる地位、名声、報酬で財宝が手に入ります」
セシーは荒木が何を行ってもマドラスフィ大帝国に帰ってくれないと思ったのか魔王を倒した後の幸せな欲で釣ろうとし始めた。
確かに報酬は魅力的だが、地位と名声は行動が縛られるから要らないんだよな。
「地位も名声も欲しくはない。それにもし負けても数十国が滅ぶだけだから何とかなるって」
数十国滅ぶことをどうでもいいと思っている荒木はかなり軽い感じで考えていた。
「数十国ですよ。関係のない人が多大な命が犠牲になるんですよ。それに何も思わないんですか?」
「異世界人だって無理矢理連れてこられた無関係な人達に含まれるよ」
「むっ。本当に図書館に行って調べたのですね」
セシーはここに来て異世界人が呼ばれている理由を荒木が知っていることを知った。セシーは王城の図書館に行ってしっかりと情報を得ていることが確実だということが分かった。
「まぁね」
「今日はこの辺にしておきます」
分が悪いと思ったセシーはそう言い残すと荒木にやる気を出させるための作戦を考えるためだろうか、どこかへと早足で歩いて行った。
諦めそうにないな。これからもしつこく説得して来るだろうが、放って置いても別にいいか。
「エヴァンジェリアはどう思う?」
荒木は諦めないセシーに対して、魔王に全く関係ないエヴァンジェリアはどんな意見を持っているのか聞いた。
「協力してあげれば?」
「魔王よりもエヴァンジェリアから聞いた常闇の妖星の方が重要だからな」
荒木はエヴァンジェリアと出会ったときに話した常闇の妖星の方が魔王よりも荒木の中では結構な割合を占めていた。
「そうですね」
エヴァンジェリアは数十国と星規模を頭の中で天秤に乗せるとどう考えても星の方が重かったのですぐに答えが出た。
答えるの早いな~。やっぱり、エヴァンジェリアから見ても常闇の妖星の方が強いか。弱そうな魔王よりも強そうな常闇の妖星に繋がるエヴァンジェリアの守りを固める方が堅実。ドラゴンを換金しないと。
「女王に会いに行くから、エヴァンジェリアは図書館に行って情報集頑張って~」
荒木は目的を思い出すと、エヴァンジェリアに励ましの言葉を掛けると女王を探しに廊下を歩き始めた。
女王の居場所聞けなかったな。もうそこら辺にいる人に地道に聞いて行こう。
それから数名の使用人に話を聞くとようやく女王が執務室にいることを知り、その部屋に入った。
「ノックもせずに何だ。きさ…君は! 女王様は仕事中だぞ!」
荒木がその部屋にいきなり入ると女性騎士が荒木に向かって、怒ろうとするが荒木のよう容姿を見て一瞬言葉に詰まると、声のトーンを少し落として注意した。
護衛の騎士か。なぜ部屋にいるんだろう。まぁ、いいか。
「荒木か。何か用かしら?」
「この王城にドラゴンの素材を換金してもらえるって聞いたんだけど、どこで換金できるの?」
女王がその気配から荒木だと気づくとこの部屋に訪ねてきた理由を聞いてきたので、荒木は普通に話した。
「ドラゴンの素材か。私が鑑定してあげるわ」
女王はドラゴンに興味を持ったようで鑑定を自ら名乗り出た。
「女王がいいの?」
まぁ、鑑定してくれてお金を暮れるなら誰でもいいか。
「む。女王様に溜口とは教育がなっていませんね。というより、この子といつの間に知り合ったんですか?」
この城に入っているのに荒木のことを普通の一般少年だと思っている女性騎士は女王に対する口の利き方を呆れたように言いながら話しに入り込んできた。そして、かなりの頻度で女王と行動を共にしているのか女性騎士は荒木とどこかで会ったが過去の記憶を辿り探るが、記憶にはなかったので女王に聞いた。
「昨日の夜に部屋に入って来たんだけど、気づかなかった?」
「侵入者ですか。気づきませんでした」
「私もこの子には後ろを取られても気づかなかったわよ」
「この子は何者ですか…もしや、暗殺者ですか?」
この国の王なのに一番強い女王が後ろを取ったことから隠密の力が高いことは確かだった。そのため、女性騎士はこの世界では子供を育てて暗殺者に仕立て上げるのは総難しくなかった、暗殺者だと思った。
「違うわよ。親切にも娘を連れて来てくれた少年よ」
「今朝のちょっとした騒ぎですか」
「それにこの子は強いわよ」
「あっ、なるほど。気にいっちゃったんですね。それなら仕方ないです」
女王の強いとの一言に全てを察した女性騎士は何故か荒木のことを気に入ったと理解していた。
セシーもそんな事言っていたような気がしたな。女王の性格は有名なのか? でも、娘でもないのに女王に簡単に意見出来て、常に傍にいれる人みたいだから、この女性騎士は親しい護衛みないだから有名かどうかは参考にならないか。
「ごめんなさい。とりあえず。ドラゴンの素材を見せて」
女性騎士との会話が終わるのを待っている荒木の姿に気付いた女王は先程の用件を続けた。
この部屋だと体全部出すのは無理そうだから、ぶつ切りに一番小さくなった手か尻尾の先っぽ部分を出そう。
荒木は尻尾と片方の手を出したがそれでも結構、大きかった。
「はい」
「本当にドラゴンの手だわ。倒したの?」
「手伝ってもらったんですよ。いくら強いと言ってもこんな小さい子一人でドラゴンを倒せるわけないじゃないですか」
女性騎士は荒木が自分よりも少し強いくらいの認識でいたので、自分がドラゴンと戦ったらどうなるかを想像したが、一人ではドラゴンを倒すことは出来なかった。
「いや、そのドラゴンは一人で倒した」
俺との力量差があるから二人が力を測るのは無理なのことは分かるんだけど、小さい子か。着やせするタイプだし、身長が低いから若く見られるか。2年間本気で数センチ身長を伸ばしたはずなんだけど、まだ無理か。でも、そろそろ気を使用して身長を無理やり伸ばすの止めないと、気がさらに成長することによって若さを保つ効果が成長する悪循環だから。最低限大人にみられる身長になったら、成長止めよう。
「一匹ではないのね」
荒木が最近敏感になっている話題に真剣に考えていると、今の荒木の言葉を聞いてドラゴンが一匹だけではないと察して聞いてきた。
「この部屋では狭いからもっと広場所がいいんだけど」
荒木は一々小出しにするのも面倒なので、女王に広い場所を聞いた。
「んー、ここからも近いし中庭がいいわね」
女王は少し考えて窓の方向を見ると外に中庭があることを思い、モンスター素材の鑑定には使い勝手の良い場所だったのと、場所が近かったので中庭に決めた。
女王は窓を開けると城の最上階に近い場所の執務室からそのまま中庭に降りて行った。女性騎士もそれに続き降りて行った。二人とも地面に着く瞬間に一瞬ふわりと浮かんで地面に着地した。
あれはフライとかの魔法を使ったのかな。いい技持ってるね。
荒木はそう思いながらも、重力に引かれて地面に着地するだけならどんな高さからでも自分の生身で問題なかったので、無駄なことはせずそのまま静かに着地したが二人ともそれに気づかなかった。荒木はそのままドラゴン3匹の素材を出していった。
「これらの素材を換金して欲しいんだけど」
「3体も倒したのか」
女王は荒木の実力に素直に感心していた。
「3体も…」
女性騎士は3体もの倒すほどの者を態度のでかいこの子が集めるのは無理だと思った。女性騎士はこの子が本当に一人でドラゴンを倒したのかもしれないと思い驚いていた。荒木はどうでも良かったので、ただ鑑定が終わるのを退屈そうに待っていた。
そして、女王は3体のドラゴン鑑定し終えたのか荒木の方に戻って来た。