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第十話 色々まずいから服でも作ろーっと

 荒木はエヴァンジェリアを先頭に観察しながら、しばらく進んでくと人里が見えてきていた。


 エヴァンジェリアは適当な茂みに隠れたので荒木もその後に続き、横に並ぶように隠れた。目の前には数十件の木造と思われる家とそれを柵で囲った村があった。


「何かいますね」


 エヴァンジェリアは荒木がまた何か情報を知っているかもしれないと思い、隣にいる荒木に訪ねた。


 今この村を見つけたのか。てっきり真っすぐ進んで行くから、人のいる場所分かっていたのかと思ったんだけど、勘違いか。どうするか。一応人なんだけど、俺もエヴァンジェリアから宇宙人だと思われているからその設定で話を進めるか。


「俺と似ているから話しかけてみるか」


 確かに人なんだけど、宇宙人の設定もあるし、異世界人が同族の人とは限らないから似ているであっているだろう。


 荒木は少し言い訳を思いながら、エヴァンジェリアに提案した。


「少し様子を見たほうがいいと思います」


 エヴァンジェリアは警戒しているのか。荒木にそう提案した。


 なるほど。俺が何も確定した情報を持っていないと思って、どんな種族なのか自ら探ろうとしているのか。まぁ、任せるか。


「わかった。任せた」


 荒木はその指示に従うとエヴァンジェリアが納得するまで、その横で待機して、エヴァンジェリアを観察していた。


 エヴァンジェリアは茂みから何かしらの力を使い、村いる人々から情報を掴もうと頑張っていた。


 何の力は分からないが、遠くの距離を見ている。それと話し声も聞こえるように耳も強化しているみたいだ。よく見かけることのある当たり前の能力だな。


「どうやら平和に生活している種族ですね。これなら話しかけても問題なさそうです」


 エヴァンジェリアは村人の情報を抜き取り、自分なりに分析した結果問題ないと判断した。


「なら、話しかけてみるか」


「それがいいですね」


 エヴァンジェリアは茂みに隠れるのを止めて、村の方向に走ろうとした。荒木は走ろうとしたエヴァンジェリアの肩を掴みその動きを止めた。


「荒木さんどうしましたか?」


「いや、走っていると目立って警戒させてしまう可能性もあるから、歩いて行った方がいい」


 荒木は一応エヴァンジェリアがこの先大変面倒な事に巻き込まれる可能性を思い注意した。


「確かに警戒されて話を聞けなくなってしまうのは避けたいですから、分かりました」


 エヴァンジェリアは納得して、走るのを止めて歩き始めた。


 よし、上手く行った。この世界の住人の身体能力について詳しくは知らないが、エヴァンジェリアの速力は地球の人から見たら普通に常軌を逸しているような速さだからな。

 そんな高い身体能力を村人に見せたら、たちまち噂になってしまいその高い能力目当ての面倒ごとに巻き込まれてしまったう可能性がある。そうなった場合、最悪エヴァンジェリアが死に至る可能性があるからな。そうなったら常闇の妖星に出会える可能性も少なくなってしまい、損だから騙す形で悪いが安全は守らせてもらう。


 荒木は常闇の妖星とあう可能性が減ると面倒だったので、エヴァンジェリアを守るために行動する方針立てていた。


 そして、茂みから歩いて村に近付いて行った。


「エヴァンジェリア村に付いたら俺が話しかけるよ」


 荒木は村に十分に近づいたと思い、エヴァンジェリアに聞いた。


 宇宙人のことを知っているかは分からないが、異世界など全くもって知らなさそうなエヴァンジェリアだと墓穴を掘りそうだから、俺が話したほうがエヴァンジェリアの身を守る上でも得だろう。


「いや。私が話しかけます」


「森を先導したり、索敵を行ってくれたりしてくれたからな。俺にも情報を聞くくらいはやらせてくれ」


「わかりました」


 エヴァンジェリアは荒木がお礼で情報を聞いてくれると勘違いしたのか潔く、話を聞く役目を譲ってくれた。


 一応お礼とかの概念をエヴァンジェリアの種族は持ち合わせているのか。あっ、そういえばエヴァンジェリアの髪の毛と服を返送させて隠すの忘れてた。すぐに終わらせるか。


 荒木は誰の目もないのを確認すると気で作り出した無数の糸をエヴァンジェリアの服に着け、服をほどきつつ新しい服をエヴァンジェリアに縫い着せた。


「何?」


 エヴァンジェリアは何もしていないのに自分の服が一瞬で変わったことに驚いていた。


「一応、服を作り出す俺の能力。後このカツラも」


 荒木は補足を入れると服を作ると同時にエヴァンジェリアの髪の毛と同じ長さ位のカツラを作り出していた。


 目いい奴ならばれてしまうが、ないよりましだろう。


「何で?」


「いや、村人の服装と同じじゃないから。毛色の違うとそれも警戒されるからな」


 危なかった。今まで、常闇の妖星に期待が膨らんでエヴァンジェリアの服のことを忘れていた。あんなキラキラ目立つ髪の毛と奇抜な服は確実に目立って、印象に残るからな。


「服が違うだけで警戒される?」


「いきなり襲ってくる生き物がいる世界だし、あそこで生活している人たちは皆似たような服を着ているから警戒されると思うよ」


「そういう物なの?」


「そういうものだよ。じゃ、俺の後付いてきて」


 強引にエヴァンジェリアを納得させた荒木はエヴァンジェリアの前を先に歩き始め、多少整備されている道の上を目指した。


「真っすぐ行った方が早くない」


 エヴァンジェリアは合理的な考えを荒木に聞いた。


「確かに速いけど、そろそろ近付いたら気づかれるし、道から来た方が怪しまれにくいからな」


「確かに」


 エヴァンジェリアは荒木の考えを聞くと素直に納得したため、何も疑問は持たずに荒木の後をついて行った。

 村への道に辿り着いた荒木とエヴァンジェリアは村のある方向へと歩き始めた。荒木は歩きながらも、村人たちを見ていた。


 取りあえず誰からこの近辺の情報を聞き出そうかな。やはり、成人男性に聞くのが無難か。なら、道の先にいる男にでも聞くか。


 荒木は情報を聞き出す対象を決めると、その男に向かって一直線に歩いた。


「すみません。村の人ですか?」


「そうですけど、どうかしましたか?」


「旅人なのですが、ちょっと道に迷ってしまいましてね。この周辺のことを教えてもらえませんか?」


「いいですよ」


「ここはビーチャム領のタチツ村と言います。この目の前の森がチーチルという森です。向こうに見えるのがソービルという草原です」


 ビーチャム領ということは貴族とか位の高い土地が管理しているということか。ここで情報集めもいいが、この小さい村では俺が欲しい情報を得られることが出来るのは一つか二つ程度か。なら大きな場所に言った方がいいか。


「領地の方向はありますか?」


 荒木は自分の欲に基づくまま、エヴァンジェリアに言った行動内容を無視してより情報の得られるところの場所を聞いた。


「領地でしたらこの道を真っすぐ行けば付きますよ」


「親切にありがとうございます」


「いえいえ」


「あのー、この世界の情報は聞かないのですか?」


 そう答えた村人を後に荒木は言われた通りに真っすぐ歩いて行こうとすると、エヴァンジェリアが不思議に思って聞いてきた。


 もっともらしい適当なことを言って誤魔化すか。


「この程度の大きさの村より、もっと大きい場所で調べたほうが効率いいと思ったからな」


「村で聞いたほうが早くないですか?」


「よほどの自信がない限り、身元が割れるような無駄な情報は他人に与えないほうがいいよ」


「どうして?」


「強い力は戦いで利用される可能性もある。それに万が一村人たちの警戒心が高かった場合怪しまれる可能性も高いからな」


「?」


 エヴァンジェリアはなぜ利用されるのか分からなかったのか首をかしげていた。


「いずれわかるさ」


 荒木は自分が経験してきた過去を思い出しながら楽し気に言った。荒木とエヴァンジェリアの二人は村人に言われた通り町を目指すため何の情報も得ずに道なりに歩き始めた。


 まぁ、俺の場合自らそうなったがな。



 それから、歩き始めて少し経ち村が見えなくなってから荒木は考えていた。


 この目立たない姿に変装しているけど、もっと姿も隠したほうがいいかもな。周囲に敵対しそうな敵はいないから俺の靴を作りと並行してローブでも作るか。


「今からさらに目立たないようにローブを作るよ」


「いいけど、荒木は何でそんなに警戒しているの?」


 先程から誰にも気づかれないように慎重に行動している荒木が何に警戒しているのか聞いた。


「不本意な面倒ごとが増えるからだよ。エヴァンジェリアも嫌いなことはしたくないだろ」


 荒木は右手から糸を出し自分の靴を新しく作りながら、左手から糸を出してエヴァンジェリアに合ったローブを作りながら言った。


 本当に自分の利益にならない面倒ごとは面倒で嫌だからな。


「そうかな?」


 分からないか? いやエヴァンジェリアは既に体験しているはずなんだけど。少々酷だが思い出させてあげるか。


「エヴァンジェリアだって星が見つかって、常闇の妖星に滅ぼされた嫌な思いはしてるだろ。もし、見つかる目に星を見つからないように隠していれば襲われなかったかもしれないからな」


「…」


 荒木の可能性の意見に対してエヴァンジェリアは無言になった。

 納得したのか思い出して悲しんだのか荒木には分からなかったが、理解はしてくれているようだった。荒木が歩き始めるとエヴァンジェリアも何か考え事をしながら、その後をついてきた。


 まぁ、何か考えているから嫌われたわけではないから万時解決か。


 そして、歩き始める頃には自分と同じ色のクリームローブが完成した。荒木の足首サポーターのような靴が出来上がっていた。


 バンテージでもよかったけど、どうせ後で作り変えればいいだけだし、こっちの方が楽か。


 荒木は色々と服作りの構想を練りながら楽しんだ。

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