1)…突然に…
和浩は、いつものように
朝5時に目を覚ました。
「今日も暑くなりそうだ。」
7月8日の朝のことである。今日は、娘 友美の3歳の誕生日である。
仕事を早くきりあげて、長男 浩児7歳の
小学生2年生と妻と4人で、お寿司でも取って祝おうと思っていた。
仕事着に着替えてリビングに来た時、ダイニングテーブルの上に
書置きがあるのに目が止まった。
“タバコを買ってきます。すぐ戻ります”と書いてあった。
妻が書いたものだ。妻は、ストレスからか2ヶ月位前からタバコを吸い出していた。
「それにしてもこんな時間に…」
有り深くは考えずに仕事に出かけた。
和浩の仕事は、トラックの配達である。
仕事上、朝が早いのでこの時間に出勤をするようにしている。
和浩は、酒は飲むがタバコは吸わない
今、34歳で平凡な男であった。
仕事は、コンビニの食品の納品で店舗一つずつ
時間が決まっているので、決まっているので少しずつ
時間の間隔があいている時が有り立ち食いそばを食べることがあった。
そばを食べる前に、家のことが気になっていたので
家に電話をいれた。電話のコール音が受話器から響いた。
プルルルル~ プルルルル~…
6回ほど鳴った時、子供の声で”ハイ”と出た。
友美の声だ
まだ子供なので、言葉がはっきり話せない
「友美、ママに代わって?」
「ママは、いるよ。ママは、いるよ。」
ママに代わってと言ったのだが電話が切れた。
和浩は気になりだした。
全ての配達が終わり、センターに戻り
次の日の積み込みをする。午後4時に頃に事務所から
「和浩さーん。電話ですよー」
事務所の女の子が呼んでくれた。
このころは、まだ携帯電話があまりなく、家電、公衆電話を
利用していた。
受話器を取り
「はい、お電話代わりました。」
相手は、マンションの管理人さんの高橋さんだった
「和浩さん、友美ちゃん泣いてますよ。」
「え…」
和浩は、管理人さんの言葉に汗が吹き出した。
妻は、帰ってなかったんだ。
娘の誕生日所では、なくなってしまった。