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夢、現実、または初恋の

 太田ぁ―、太田ぁ―、速ぇよ、先行きすぎだって。いつも待っててやってるだろ。鈴木もなんとか言えよ。自分が遅れると走って追っかけてくるくせになぁ。あれ佐藤は? 先帰ったんだっけ。太田、もうあんなとこに。本気だして追い抜いてやろうか。うん? もうこんなに陽が落ちてきてる、いつのまに。俺、明日の体育攻めたいから前ね。この前キーパーやったんだから。点とられなかったんだから文句ねぇだろ。鈴木、ちょっと急ごーぜ。太田もう見えなくなっちゃったよ。田中も急げー。あっなに、草のとこなんかゴソゴソと。おわぁーびっくりしたー。山田かよー。なにやってんだよお前、びっくりさせやがって。服にいっぱい草ついてんぞ。これひっつくんだよなぁ。ダメだ、はたいてもはたいてもきりがねぇから、家で洗濯してもらえよ。あれ、もう太陽見えないや。鈴木走ろーぜ、あれっ? 鈴木は? さっきまで後ろにいたのに。どこいったんだろ。そーいえば田中も。山田、あいつらさっきまでいたよな、なにキョロキョロしてんだよ、なんか探してんの? おかしいな先行っちゃったのかなぁ、っておい山田、どこに行くんだよ、そこは道じゃねぇだろ。また草の中に入ってくの? やめとけって、暗くなってきたしもう帰ろうぜ。山田、山田〜、うわー、この野郎、人が止めようとしてるのを突き飛ばしやがって、なめんなよ。う〜行くんじゃねぇ! あっ、悪い強くやりすぎた。まさか倒れるとは、すまん。おい、なに急に走り出してんだ。おい待てぇ、俺の方が足はかなり速いはず。ハァハァハァ、おかしいな、なんかいまいちスピードが出ない。う〜ん、ダメだ。なんで、あぁ、どんどん離されてくよ。ハァハァハァ、でも暗くなってきてるし急がなきゃ。鈴木たち後ろじゃないよなぁ、振り返るんじゃなかった。メチャクチャ怖ぇ。ハァハァハァ、山田もう見えなくなっちゃったよ。でも、太田にも追いつかないとは。あのデブに。あいつ入り口のところで待ってなかったら許さねぇぞ。うわ〜ホントに真っ暗になってきた。なんか速いよ。あいつら俺を置いていきやがって。明日はぜったいキーパーやんねぇ。ハァハァハァ、あいつら俺がキーパー好きでやってると思ってんだよ、きっと。俺がやると確かに点は取られないけどさぁ。ハァハァハァ、にしてもなかなか着かないなぁ、こんなに遠かったけ。早く家帰んないと、またお母さんに怒られる。昨日も遅いって言われたもんなぁ。でも基地にいるとなんかずっと居たくなるんだよなぁ。俺らのに基地に比べたら、他のやつらのはガキのお遊びだよ。そうだ、これからはみんなでお金出しあって、基地用のジャンプ買って置くようにしよう。家で読んでると、マンガばっかり読んでってお母さんうるさいからなぁ。今日のご飯はなにかなぁ、カレーだったらいいなぁ。ポテトサラダもあるといいなぁ。なんかさっきから足が、いや腰が痛いんだよなぁ。だから早く走れないのかな。体が重い〜。みんなもう降りちゃったのかな、痛ぇな、ホントに待っててくれてないのかな。太田のデブめ、鈴木と田中もだよ。山田はどーでもいいとして。でも、アイツは茂みの中から出てきたけど、あんなところでなにやってたんだろ。アイツは変わってるからなぁ。基地仲間もいないくせに、ここに毎日一人でなにしに来てんだろ。うーん、しょうがない今度、特別に俺らの基地に入れてやるか。できたらジャンプ持ってこいって言おう。あれっ、でもアイツあんまりマンガ読んでるイメージないなぁ。いつもなんか本を読んでるけど、休み時間の間ずっと。なんの本だろう。ハァハァハァ、やっぱ誰にも追いつかないよ。それよりも、まだ着かないのか。もうホントに暗くなってきたよ、後ろ見れねぇよ。太田がびびるのもわかるなぁ。でも、今はホントに暗いもん。ハァハァハァ、腰痛い〜、うわ〜、なんか着きそうにない感じがしてきた。あっ、前に人が、誰だろう。オーイ、待てよー、一緒に帰ろうぜー。


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