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空腹とケータイと相方と

 はぁ〜、暑いわ、腹は減るは、足痛いわ、相方はしゃべんねーわ。早く家に帰りてぇー。お母さん心配してるかなぁ、夏休みで帰ってきたと思ったら毎晩毎晩朝帰りしてちゃーなぁ。よし、今日はずっと家にいて家族団らんってやつでもしてみるか。夕飯なにかなぁ。カレーだな、カレーをリクエストしよう。うちのカレーは肉ケチケチせずにふんだんに入れるからな。野菜より肉のほうが多いなんて、わが母ながらイケてるぜ。隠し味に生クリーム入れてるみたいだけど、あれはやっぱり意味あんのかな。ポテトサラダも作ってもらおー。あ〜よけいに腹減ってきた。カレーのことなんか考えるんじゃなかったよ。後ろを振り返ってみれば…もう差ができてるじゃん。人の話し聞いてんのかアイツは。あー知らん知らんあんなやつ。

 暑〜。太陽が真上、よりはちょっと傾いてるところにある。今ちょうど一時、いや二時ぐらいかな。ケータイは、あっ、そっか忘れてきたんだっけ。店の人、キープしてくれていると信じてるぞ。

「お前、ケータイ持ってる〜今何時〜」

 腕時計はしてなかったはずだだけど。ポケットごそごそして、おっ持ってるぽいな。なんか、いじってるみたいだけど、あれっ、両手で×ってどういうこと。

「電池ないのかぁ?」

 なんか身振り手振りしてるけどわかんねぇよ、っていうかいちいち立ち止まんなよなー。あーもう、こっちから行かないとダメか。足痛いのにわざわざ戻らせやがって。このサンダルあわねぇなぁ。家にあるのとりあえず履いてきただけだから。まさか山道歩くとは思わなかったし。

「どうした?」

 シャツ長袖マジ暑そー。

「ダメだ。アンテナバリゼロだ」

「なんだ、バリゼロって。バリサンとかは言ってたけどさぁ、アンテナないのをバリゼロなんて言わないし。そのバリはなんのバリになんだよ」

 バリゼロって。なんだよ、そのオリジナルワードは。おーなんだなんだ、ケータイすごい勢いで振り出したよ。

「全然、入りそうにないな」

「ハハッ、振ったってかわんねぇよ。まだ、そんなことしてんのかよ」

 気持ちはわかるけどな。俺もたまにやっちゃうし。

「まあいいや、入んないならしかたない。とりあえず並んで歩けよ。二人しかいないんだから」

 しかし、あんなに振るかなケータイを。電波入んねーんだなここは。今どきなぁ。家に連絡できねぇな。まっ、あと少しで着くだろ。まぁだケータイいじってる。電波入んないとか言っておきながらいつまで

〈ポーン、ポーン〉

「あっ、今の音ってなに、なんの音?なんか、ちょくちょく聞こえてこない」

「…うん」

 ハイハイ、ケータイいじるので忙しいと。まったく興味なしということで。でもなんの音だろ。にしても時間がわかんないっていうのもなんだか落ち着かねぇな。起きてから一回も時計見ないなんてそうないし。俺、なに落としてんだよ。腕時計しないしなぁ。っていうか周りもあんまりしてない感じがするけど、ケータイが時計代わりだもん、最近は。いったいどこまで進化すんだケータイ。着メロもはじめ三和音だったのに、十六和音になって、今じゃ何百和音とかになってるし。そのうえ着歌って!鳴ってもちょっと聴いちゃうし。写真も画質どんどんよ良くなっていくもんなぁ。ほとんどデジカメだよデジカメ。デジカメの売り上げ落ちてんじゃねぇの。いや、それよりも動画が標準装備だし。ああいうのはなぁ、よからぬことに使うやつがなぁ…こいつもそうだったりして。おわっ!一瞬目があっちゃったよ。ビックリしたー。なんなんだいったい。計算機は昔っからついてるし、辞書はサイトにあるけど、フツーに付いてくるかもな。英語の方も。おおっ、そしたら電子辞書の役割まで。そりゃ、試験のとき持ち込んじゃダメだよ。あとは、テレビは…あるか。そのうち、ATMとかでピッて合わすだけで、お金おろせるようになったり、免許証とか、あと、じゃあパスポートも、すげぇなケータイ、なんでもありじゃん。でもなおさら落としちゃダメじゃん。

「ケータイってホント機能ふえたよな」

「俺は、メールと電話だけでいい。というかメールだけでいい」

「いやいや、メールだけじゃ電話じゃないじゃん。ケータイメールとでもいうのかよ」ケータイいじったまま、こっち向こうとすらしない。

「お前な、世間はお前みたいにまったくコミニュケーションとらないってわけにはいかないんだよ」

 ふぅーもういいや。会話になんねぇよ。あー足痛ぇ。ちょっと脱いで見てみようっと。

「肩かして」

 って言っても無視すると思ったからつかんでから言う。

「動くなよ」

 ため息つくなよなぁ、そんぐらいで。うわ〜皮めくれてるよ。あー見るんじゃなかった。

「足痛いと思ったらさー、皮めくれてるよ。お前は靴だからいいよな、俺サンダルだから」

 肩離した瞬間シワを気にしやがって。どーせ俺の足のことは流すとは思ってたけどさぁ。言っとくけどそのシャツ砂利の上で寝てたせいでけっこう汚れてんだよ! しかも黒だからよけいに目立つし。あ〜マジ見るんじゃなかった。気になってしょうがねーよ。

「ちょっとペース落とさない?」

 だからため息つくなよな〜。

「足痛いんだもん。ずっと人の後ろ歩いてたんだから別にいいだろ。そんくらい」

 なんだよ、コイツは。マジむかつく〜。あーもう! 早く家に帰りてぇよ。


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