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永劫回帰

 おっかしいな、まだ着かねぇよ。のど渇いたな、川はすぎちゃったし。あっ、山田ぁ、どこ行ってたんだよ。先行ったんじゃなかったのかよ。なんでいっつも横の茂みから出てくんの?あれっ、ミキちゃんも、なんでこんなとこに。ここなんかに来るんだ。なんで山田なんかといっしょにいんだ? あいてっ、なんだマサミもいたのかよ。お前背中強く叩きすぎだよ。女がなんでここにいんだよ。じゃあ、みんなで帰ろうぜ。暗くなってきたし……


 んっ、なんだどこにだよコイツは。こんな時間に。背中んとこ痛ぇ。火が小っちゃくなってんな。まっ別にいいか。なんだ、ション便かよ。なにわざわざ川でやってんだよ。ったく……


 あれってさぁ、鈴木と田中じゃない? お〜い鈴木ぃ田中ぁ、なに先行ってんだよ。もう帰ったかと思ったよ。アッ、なに、それ今週号のジャンプ? もう入ってたんだ。バカ、ドラゴンボールの話しすんなよ。俺まだ読んでないんだから。えっ、ちがうよ。さっき会ったんだよ。大丈夫だって、基地はマサミ達には教えてないから。誰が女なんか入れるかよ。山田? 山田にも言ってねぇよ。本当だって、あの場所は誰も知らないって。でさぁ、太田はいっしょじゃないの? 

 <ポーン、ポーン、ポーン、ポーン>

 なんだよ、るっせぇな。夜も鳴んのかよ。なんなんだいったい。暗いな、火消えてんじゃん。あれっ、アイツ居なくない? 暗くてよくわかんないけど。まっいいや、寝よ寝よ。こんな中途半端に起きてなにしろっつーんだよ。トイレ行きたいし、のども渇いたけど我慢しよっ。寝なきゃ、寝なきゃ。背中痛ぇな。肩のところも。……


 もう真っ暗だよ。ちょっと急がない? 後ろから誰か走ってきてない? 誰だろ。なぁ〜んだ太田かよ。びっくりさせやがって、汗かいてるよ、すっげぇダッシュしてきたんだろ。怖いから。太田、今日はそーとー暗くなってるけど遅れんなよ。よっしゃ走れ〜、ハァハァハァ、太田もう息切れて走れないかなぁ? おおっ!走ってるよ。やるな。鈴木と田中は、どこ行ったの?先行っちゃった? さっきまでいたと思ったんだけどなぁ。マサミ速ぇな、飛ばしすぎだよ。ハァハァハァミキちゃん置いていくとは薄情なやつだ。付いてこれるかな、ちょっとスピード落とそうっと。ハァハァ、ミキちゃんなんで笑ってんの? 怖くないのかな。太田は、ダメだもう見えなくなってる。かわいそうだけど、入り口で待っててやるから許せ。だってお前は絶対俺らのことは待たないんだから。だから山田どこに行く気だよオメェは、茂みの中入ってってどーすんだよ。ってもう入ってっちゃったよ。ミキちゃんと俺だけか。走るの意外と速いんだな。そんな速かったけ? ずっと笑ってるけど暗いの怖くないのかな、俺でもけっこうビビッてるのに。えっ! こんなときに本読むの?走りながら。転ばないかな。ポーン、ポーンまたあの音だ。なんの音だろ。ここに来るとだいたい聞こえるんだよな、ミキちゃん気になんないのかな。あっ、前に誰かいる。あれは、太田だ。なんで、いつの間に前に、っていうか痩せてる太田だ。そうだ、アイツは中学入ってから急激に痩せたんだった。卓球で。でも差が縮まらないどころかまた見えなくなった。痩せてからはやっぱ速ぇな。っとミキちゃんは、いない! おいてっちゃったかな。どーしよ。戻ろうか、いや、でも。うん? 茂みからゴソゴソと、やっぱテメェかよ。山田、どーしよ、ミキちゃんが、なんだよ、手引っ張るな。なに戻るのか。ええっ! 今から。マジで暗いぞ。わかった、わかったよ。行くから手離せ。その代わりミキちゃん見つけたらダッシュで帰るからな。遅れんなよ。行くぞ!


 うん? なんだ? 眩しいな。イテテ、肩から腰から、虫にも刺されて痛いわ痒いわ。やっぱこんなとこで寝るもんじゃねぇよ。アイツはどこ行ったんだ、夜川に小便しに行ったのは見た感じすんだけど。俺もトイレ、痛たた、筋肉痛、もっとひどくなってるよ。立ち上がんのも一苦労だ。う〜ん、あぁ、まだお昼にはなってないみたいだな。太陽は上にないし、陽差しの強さからしても。痛っ、足の皮もむけてるんだった、砂利の上なのに思いっきり踏んじゃったよ。踵に重心かけながら歩かないと。あっ!あの野郎また向こう岸にいやがる。なんで夜の間にわざわざ移動すんだ。わけわかんねーよ。しかもトランクス一枚だし。

「山」

 別にいっか。起こしたところでどーなるわけでもないし。寝かせとこ。おおっ、水は相変わらず冷てぇな。

「ふぁ〜あ」

 どんくらい寝たかもわかんねぇよ。とりあえず、あぁ、朝起きて一発目の小便を川でやるっていうのも、って向き反対だった。方向転換、川上に向かってやっちゃっいけねぇだろ。ふ〜朝から一人でなにやってんだ俺は。

んしょっ、顔洗おう、ぷはっ、ふ〜目が覚める〜。ん〜水がおいしい。まだヤツは起きそうにねぇな。焚き木の木、結局足りたんじゃん。だいたい、火を絶やさないようにするって誰かが起きてなきゃ無理な話しじゃん。なんのために暗い中とってきたのか。

 <ポーン、ポーン>

今日、一発目かよ。いやっ、一回起きたときも聞いたような。あれっ、それとも夢でだったかな? 夜は鳴らないだろうしな。

 さて、どーしよ。とりあえずアイツ起こしに行くか。また石投げても仕方ないから、向こうまで行ってやるか。まさか、二日続けて起きて早々に川を渡ることになるとは。

 痒い、痛い、だるい。もうなんも食うのないけど、朝は抜きか。また魚獲れないかな。雲一つないよ。今日も天気はよさそうだなー。

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