7 卑怯で臆病な戦い
今現在俺達は、レオ達のグループの残党と一緒に、先程鶏の魔獣を狩った場所に来ている。辺りはもうすっかり暗くなってしまっていた。
「なあレオ、明るくなるのを待ってからでも良かったんじゃないか?暗過ぎて殆ど何も見えねえぞ」
「馬鹿かお前、朝まで待ってたらあの蜥蜴野郎に喰われちまうだろうが、馬鹿かお前」
レオの言ってる事は間違ってないが、何回も馬鹿と言われると腹が立ってくる。
「夜なんだから大蜥蜴だって寝てるんじゃねえか?」
「甘いな、蜥蜴野郎が寝てるならよお…」
先頭を歩いていたレオは突然立ち止まり、静かにするよう合図を送った。
「他にも寝てる魔獣がいる筈だろ?」
暗くて気づかなかったが、俺達の目の前には、寝ている鶏の魔獣達の群れが眠っていた。
こんな無防備に寝ていて、今までよく生きてこれたなこの鶏達…そうやって俺達は、いくつかの鶏の群れを潰して回った。
「こんな簡単に倒せるなら、夜に行けば良かったな」
その俺の呟きを聞いたバンビが、ピクリと反応した。
そう言えばコイツ、さっきから全然喋らないな。もしかして、自分の一言が魔獣狩りに行くきっかけになったから、落ち込んでるのか?仕方ねえ、少し励ましてやるか。
「気にすんなよバンビ、お前の無茶苦茶な提案に乗った俺達が馬鹿だったんだよ」
「はあ⁉︎いきなり何よ!少し疲れたから黙ってただけ!」
なんだ、落ち込んでなかったのか。
それならやっぱり、少しくらい責任を感じてくれてれば良かったのに。
「それよりもカフカ、あんたあとどれくらいでランクアップするかわかる?」
「そうだなあ、なんとなくだけど、あと10匹くらいってところかな」
最初に戦った鶏は、結局アドラーがトドメを刺したから、俺の討伐数にはカウントされていなかったらしく、寝込みを襲った鶏を〆た時、あとどれくらいの魔獣を倒せばランクアップ出来るかが分かるようになった、感というよりは確信に近い。
その感覚に従うならば、俺がランクアップする為には、鶏を10匹は狩らないと駄目そうだった。
夜も開けて来て、周囲を明るくなって来ている。このままだと間に合わないな、どうしようか。
そう思って周りを見渡したら、あるものが目に入った。
俺の目線の先には、昼間、俺の仲間を撥ねていったらしき牛が寝ていた。群れからはぐれたらしく、上手いこと孤立しているようだ。
あいつを仕留められれば、ランクアップ出来るんじゃないか?
俺はこっそりと、牛を起こさないように近づいていく。
その時、朝になって目が覚めた鶏達の生き残りが、俺達に気付いて、大声で叫び始めた!
アドラー達がすぐに黙らせたがもう遅い。牛が目を覚ましてしまった。
やばいな、牛と思いっきり目が合った、覚悟を決めるしかなさそうだ。