1 腐りきった日常
この世界は、何故だかあらゆる人間がランク付けされている。
ランクは絶対であり、誤魔化すことなど出来ない、俺達の首にはランクごとに色分けされた首輪がついているからだ。
首輪は全員に生まれた時から付いているもので、当たり前のことだと思っていたが、最近不思議なものだと思った。
だが、そんな事を考えても意味がない、
そんな事を考えて も現実は変わらないからな。
今俺がやるべきなのは、馬鹿な夢を見ている幼馴染に、現実を教えることだ。
「だからさ、魔獣を退治しに行くだなんて危ない事はやめておけって」
黙って俺の言葉を聞いていた少女は 、俺に対して抗議の目線を向ける。
「やれやれ、これだけ言ってもまだ分からないかい、お嬢ちゃん…っていきなり殴ってくることねえじゃねえかよ!!」
「アンタがよくわかんないことばっか言うからいけないんでしょ!このバカ! そもそもお嬢ちゃんって言ってるアンタの方が年下でしょーが!」
重い拳を喰らって地面に膝をついた俺に心配の言葉もないとは酷い女だ全く。よっこいせと立ち上がった俺の首輪からカリンと音がなった。首輪の色はEランクである事を示す黒色。少女の首にも同じものが付いている。
俺の名前はカフカ、今年で10歳になる。そしてランクは最下層のEだ。