野宿
今はアズラ平原の東端にある街ドリントヤードを目指している。
この街は平原東部にいくつかある街の中でも規模が小さめで、都市というより大きめの村に近い。
しかし、モンスターの群れを独力で跳ね返せるだけの壁と門は備わっている。
街に求められる機能である、モンスターの襲撃を受けた村の人々が逃げたとき、頼るべき場所としてきちんと機能しているのだ。
俺たちも安全な街の中で今晩を過ごす予定だった。
しかし、デカミミズのテリトリーの中を歩いたことで大きなタイムロスが生まれてしまい、今は街道沿いの木の下で野宿をしている。
野宿と言っても明るいうちにご飯は済ませ、テントは今日は無しで寝る。睡眠は交互に取り、起きている方が火の番をする。
モンスターは火を怖がることはないが、もし襲われても視界があればある程度は戦える。
それに火は心を落ち着かせる。暗闇の中でいつ襲われるかわからない緊張感は、旅の初心者の俺には耐え難いものがある。見張りの交代まで、身の擦り切れるような思いをした。
息の詰まる見張りを交代し、昼間の疲れもあってすぐに意識がまどろみに沈んでいった。
やっと心から気を抜ける。
無意識の中、そんなことを感じた気がした瞬間、襲撃を受けた。