表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/24

5宿屋

 「はあ~……」


 大通りを歩きながら溜め息を吐いた。


 何とか無事に冒険者登録を終えることができたのはいいが、初級魔法使えないことはかなりのショックだった。


 せっかく神様に貰った『無限の魔力』があるのに初級魔法しか使えないなんて、そりゃああんまりだよな……。


 「まあ、いつまでもくよくよするのは良くないか……」


 俺も今日から冒険者なんだ。ポジティブポジティブ! 元気を出そう!


 冒険者ギルドギルドで手配された冒険者の証――『G』と記されたギルドカードを掲げる。


 受付嬢さん――ララリアさんによると、この『G』と言うのは冒険者ランクと呼ばれるものだ。


 冒険者ギルドに登録した冒険者はランク制で、上昇するにつれてG(初心者)、F(駆け出し)、E(普通)、D(中級)、C(熟練)、B(達人)、A(人外)、S(伝説)へと変化する。


 Sランクの冒険者は世界に5人しか存在しないほどの狭き門らしい。


 俺のGランクは最下級に位置するランクで、主に街の掃除や店の手伝い、老人の介護などといった街中で行うアルバイトのようなクエストを受けることしかできない。


 街の外で行うクエストを受ける場合は1つ上のFランクに上がる必要があるらしい。


 GからFに上がるためには冒険者ギルドで昇格試験を受けて職員に戦闘ができると認められれば直ぐにでもランクアップできるようだ。


 午後からならいつでもFランク昇格試験を受けることができるようなので明日にでも昇格試験を受けて見るとしよう。


 前半は冒険者ギルドに関する講義。


 午後はモンスターとの戦闘による実戦試験を行うらしい。


 「よし、今日はゆっくり休んで明日に備えよう!」


 俺が今向かっているのは、冒険者ギルドが経営している『駆け出しの冒険亭』と呼ばれている宿屋だ。


 宿泊料が安く、初心者の冒険者にとって手頃な宿屋らしい。


 冒険者ギルドで貰ったこの街の地図を頼りに進むと、それらしき建物が見えた。


 「ここか」


 先程の冒険者ギルドの建物と同じ大きさの2階建ての建物。看板には『駆け出しの冒険亭』と書かれているから間違いないだろう。


 ララリアさんによれば1階は食堂、2階は宿屋になっているそうだ。


 ギィと扉を開けると、数人の客がいるだけでほとんど人はいなかった。まだ夕食前という時間だからだろう。


 「いらっしゃいませ。お食事でしょうか? それとも宿泊でしょうか?」


 宿屋に入った俺を見かけてふくよかな中年女性が話しかけてきた。どうやらこの店の女将さんのようだ。


 う~ん、今は腹が減ってないし、今日は早く休みたいから食事はいらないか。


 「宿泊でお願いします。1人部屋で」


 「1人部屋ですと、1日銅貨20枚になります」


 日本円に換算すれば2000円。かなり安いな。


 俺は銅貨20枚を女将に渡す。


 「ありがとうございます。ではこれを」


 女将さんは部屋の鍵を差し出す。


 「部屋は2階の角部屋になります。どうぞごゆっくり」


 俺は2階に上がり、角部屋に向かう。


 部屋は少し古くさいが、宿泊料あれだけ安いんだ。文句は言えないか。


 俺は装備品を外してベットにダイブする。


 「ふぅ……。今日は色々とあったな……」


 ベットに寝転がりながら呟くと、今日起きた出来事を思い返してみる。


 事故で死んだり、神様に会ったり、憧れの異世界に転生したり、『無限の魔力』を授けて貰ったらと思えば初級魔法しか使えない無属性魔法の適性だったり、前途多難な1日だったな。


 けど俺は今、異世界にいる。


 今はそれだけでいいじゃないか。


 そう思っていると、徐々に視界が薄れていく。余程疲れたのかな?


 俺はそのまま眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ