3異世界転生
「……す、すげえ! ここが異世界『アルディア』か! おいおい、マジで異世界だよ! 感動だ!」
目の前に広がる光景に、俺は興奮していた。
空を見上げれば宙を浮く島の数々。
レンガで作られた家が建ち並ぶ中世ヨーロッパを思わせるような街並み。
石畳でできた通路を自動車の代わりに馬車が走っている。
だが、俺が一番驚いているのは人間以外の存在が街を歩いていることだった。
「おお! あれはまさしく獣耳!」
キョロキョロトと街中を見渡して、行き交う人たちを観察していると、猫の獣耳を持つ女性――獣人を発見する。
秋葉原にいるコスプレ獣耳ではない。本物の獣耳だ!
「おっ、あっちにはエルフがいる! やっぱり耳が長くて美形だな!」
視線をずらすと、金髪で耳が長い男性――エルフも発見!
他にも竜の角と尻尾が生えている人、それにあっちにはドワーフ、あそこには3メートル近い巨体の人もいる!
「ありがとう神様! ありがとうファンタジー世界! 俺はこの『アルディア』で頑張って生きていきます! 見ていて下さい神様!」
歓喜の涙を流して高らかに宣言する俺。
まず俺がやるべきこと。それはこの世界についての情報を得ることだ。
よし、冒険者ギルドに行こう。
あそこならこの世界に必要な情報を入手できるかもしれないしな。
これ程の街だ、冒険者ギルドとかが必ずあるはずだ。
俺は近くにいたお爺さんに声を掛ける。
「すいません、ちょっといいですか? この街の冒険者ギルドを探しているんですが、どこにあるんですか?」
「冒険者ギルドかい? この街の冒険者ギルドを知らないとは、もしかして他所の街から来たのかい?」
「はい。冒険者に憧れてこの街に来たんですが、初めての街なので場所が分からなくて……」
「そうかいそうかい。ようこそ冒険者の街『センタクル』へ。冒険者ギルドはここを真っ直ぐ進んで左に曲がれば、冒険者ギルドの看板があるはずじゃ」
冒険者の街『センタクル』か。
確かに異世界生活のスタート地点としては最高の場所だな!
「頑張るんじゃぞ、若いの」
「はい! どうもありがとうございます!」
俺はお爺さんに礼を言って、冒険者ギルドに向かった。