22自己紹介
ヴァンさんに付いていき訓練所へ。
訓練所にはポツポツと10人ほどの冒険者たちがそれぞれ訓練をしている。
「ん? おい、何なんだあの集団は?」
「ヴァンさんもいるぞ」
「ほら、ヴァンさんが新人の冒険者を率いているってことは、昇格試験だろう」
「あぁ、なるほどな」
「もうそんな時期か……」
剣や槍などで撃ち合いをしていた冒険者たちが手を止め、興味津々な表情で俺たちに視線を集中させてくる。
ヴァンさんはそんな視線など知るかと言うばかりに訓練所の中央へと移動する。
「よし、お前たち。これから模擬戦を開始する。まずは自己紹介からだ。1人ずつ名前と得意とする武器や魔法を順番に言え。まずはお前からだ」
最初に指名されたのは俺だった。
「神崎レイジだ。武器はショートソード。無属性魔法の魔法適性だから各種類の初級魔法をしか使えないけどよろしく」
「おいおい、マジでかよ!」
「初級魔法しか使えないなんて最悪だな」
「役立たずにも程があるだろ!」
「ハハハ!」
周囲の冒険者たちが笑い出す。
やはり魔法適性が無属性魔法だと言うことだけでここまで笑われるか。
しかし、初級魔法でも使い方によっては便利なものが数多く存在する。この2ヶ月間の間に俺は初級魔法を完全に熟知したんだ。
今回の模擬戦で初級魔法の使い方を見せてやるぜ。
「気にするなよレイジ。次だ」
次に指示されたのは隣にいるルナだ。
「レイジ様の奴隷のルナです。武器は弓と短剣を使用します。得意な魔法は弓の威力を向上させる補助魔法です」
「なるほど。遠距離と近距離の戦闘をこなせるのか。それはかなりの美点だな。よし次だ」
次は猫人種の少女。
「私の名前はミーア。武器は見ての通り2本のダガー。魔法は身体能力を向上させる補助魔法よ」
「なるほど、今回の昇格試験では色々と活躍できそうだな。よし次だ」
次に指示されたのは魔法使いの少年。
「僕の名前はマルオット。武器は強いて言うならこの杖かな。魔法に関しては土系統の属性魔法と回復魔法が使えます」
「ほう、回復魔法が使えるのか。これなら怪我人が出ても大丈夫だな」
冒険者稼業なんてしていれば怪我なんて日常茶飯事だ。良いポーションとなれば結構高いので回復魔法が使える魔法使いがいるのは非常に助かる。
「次だ」
次に指名されたのは槍使いの男。
「ラドス、武器はこの魔槍。魔法はあまり得意ではないが火系統の属性魔法を使う」
「魔槍使いか、それにその魔槍を見る限り、なかなかの威力を持っていそうだな」
「鉄ぐらいなら容易に貫ける。それと身体能力を上げる能力がある」
魔槍使い、超格好いい響きだな。
確かにあの槍には威圧に似た何かを感じるな。よほど価値のあるマジックアイテムなのだろう。俺もあんな武器が欲しいもんだな。
「次だ」
次に指名されたのは鋭い目付きをした戦士の男だった。
「バロンだ。武器はこの大剣。剣の腕には多少だが自信はある方だ。力を増大させる補助魔法を得意としている」
「なるほど。確かに腕の方は問題ないようだな。次だ」
次に指名されたのはサラだ。
「アタシはサラ。『ワルキューレ』に所属しているわ。武器はロングソード。得意な魔法は身体能力を向上させる補助魔法よ」
「お前が『ワルキューレ』に入った新人だな。それじゃあそっちの方は同僚だな?」
「はい。エリスと申します。サラと同じ『ワルキューレ』に所属しています。武器はこの杖。魔法は水系統と風系統の属性魔法が得意です」
「期待しているぞ。よし、一通りの自己紹介は済んだな。次はお互いに模擬戦をしてそれぞれの実力を把握してもらうぞ」
いよいよ模擬戦だ。これは初めての対人戦だ。いくら模擬戦だからと言って無様に負けないようにしたいな。まずは対策を練ろう。そのためには他の冒険者たちの模擬戦を参考にしたいな。
できれば最初に選ばれませんように……。
「最初の試合だが……レイジとミーア」
願いとは裏腹に最初に指名される俺だった。




