20分け前
無事にスライム討伐を終えた俺たちは冒険者ギルドで回収したスライムの討伐部位である核を提出して報酬を貰った。
討伐したスライムの数は20匹。報酬金額は銀貨6枚。ギルドポイントは140ポイント。
今回のクエストでなかなかの金額とギルドポイントを得ることができた。ほとんどルナの手柄なんだけど……。
「今日はここで夕食を食べるか」
「はい、ご主人様!」
冒険者ギルドの酒場で打ち上げを行うことにした。
「夕食を食べる前に報酬の分け前を配ろうと思う。今回の報酬は銀貨6枚だから半分の銀貨を3枚はルナの物だ」
「そんなの必要ありません。奴隷の私がお金なんていただけません」
本当にルナは真面目と言うか忠義者と言うか……。
「確かにルナは俺の奴隷だ。だけど最初に言った通り、俺はルナにはある程度の自由は保証するつもりでいる。このお金はルナが必死でスライムを倒して稼いだ金だ。ルナにはこれを受け取る義務がある」
「ですが……」
「これは命令だ。この金はルナが好きに使うんだ。いいな?」
「……はい」
「まあ、今日はご苦労だったな。好きなだけ食べてくれ」
「はい。いただきます」
テーブルの上に置かれた料理の数々を美味しそうに頬張るルナ。まるで栗鼠のようだ。
そんな彼女を見て俺は思わず微笑んでしまう。
「あ、レイジだ!」
「また会いましたね」
声をかけられ振り向くと、茶色の短髪をしたボーイッシュ系少女・サラと白いの長髪のおっとり系少女・エリスだった。
「あの、ご主人様。この方たちは?」
そう言えばルナはこの2人とは初対面だったな。これからも会うだろうし、紹介しておくか。
「サラとエリス。俺の初クエストの時にパーティーを組んでくれた人たちだ。俺たちと同じFランク冒険者で『ワルキューレ』と言うクランに所属している」
「そうなんですか。初めまして、ルナと申します。今後ともよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げて丁寧に自己紹介するルナ。
「サラだよ、よろしくね」
「エリスです。こちらこそよろしくお願いします。それにしてもレイジさん、ルナさんの態度からすると彼女は奴隷なのですか?」
「はい、私はご主人様の奴隷です」
「すごーい! こんなに可愛い奴隷を購入するなんて、レイジって実はお金持ちなの?」
「違うよ。ルナは顔に火傷があったから安い金額で購入できたんだよ」
「火傷? 火傷の痕なんてないよ?」
「そりゃあ、良い薬を使ったからな」
「火傷の痕を残さず回復させるほどの薬となると、パーフェクトポーションですね。でも、パーフェクトポーションはかなりの金額がする薬ですよ?」
「俺が冒険者になった記念として知り合いがくれたんだ」
知り合いと言っても神様なんだけどな……。
「それにしても今日は豪勢な食事ね。クエストで儲けたの?」
サラがテーブルに置かれている料理に視線を向けながら問いかけてくる。
「ああ。ルナのお陰でスライムを大量に討伐できたからな」
「ルナちゃん、そんなに強いんだ」
「ああ、かなりの実力の持ち主だよ。ゴブリンとも戦ったんだが、瞬殺だったよ。昨日なんてEランクの冒険者を簡単に倒したしな」
「へーえ、凄いんだねルナちゃん!」
「あ、ありがとうございます……」
誉められて嬉しいのか、若干頬を赤らめるルナ。
サラたちも同じ席に着き、暫く皆で談笑しながら食事を楽しんでいると――
「見つけたぞ、お前たち!」
会話を遮られ、声がした方に視線を向ける。
話しかけてきたのは昨日俺たちに絡んできた酔っぱらいの男だった。
ルナに折られた腕は包帯でしっかりと固定されている。
「「「へへへ……」」」
男の周囲には薄汚い格好をしたガラの悪い連中もいる。
「探したぞ! 昨日はよくもやってくれたな! 腕を折られた礼はたっぷりさせてもらうぞ!」
どうやら男は腕を折られたことへの報復に来たようだ。
「話に聞いた通り、なかなかの美人だな」
「これは楽しみだ」
「グヘヘヘ……」
男たちはをいやらしく頬を歪めてルナを見る。
「流石にこの数を相手にして無事でいられると思ってないよな? この女の主人であるお前もぶちのめしてやる!」
相手は4人。流石にルナでもこの数はマズイかな……。
すると、ルナがワナワナと震え出す。
「またしてもご主人様に危害を加えようとするとは……。絶対に許しません……!」
ルナの表情が一変する。
「この女--ぐへっ!?」
「おい、大丈夫--ぎゃあ!?」
「ぐほっ!?」
ルナが物凄い形相で冒険者たちを一網打尽にしていく。
「ひいっ!」
あっという間に3人の冒険者を倒されて腰を抜かす酔っぱらい。4人対1人だったから完全に勝てると思っていたようだ。
「……」
そんな男をまるで汚物のように見下ろすルナ。
「ま、待ってくれ……悪かった! もうあんたちに関わらないから見逃してくれ!」
「いいえ、許しません!」
男の謝罪を拒むルナ。
「今回は左腕を折りましょう」
「待ってくれ! 許して--」
ボキッ!
「ぎゃああああ!!」
ルナに腕を折られて悲鳴を上げる酔っぱらい。
やっぱり怒ったルナはかなり怖いな……。
「……ルナちゃん」
「……容赦がありませんね」
「……だろ?」
ルナの容赦のなさに若干引いているサラとエリスの言葉に俺はそう返すのだった。




