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15実力

 冒険者ギルドに向かう途中、俺たちは周囲の視線を受ける。


 正確には俺の隣を歩いているルナにだ。


 「ジロジロ見られて何だか恥ずかしいです……」


 「まあ、仕方ないさ」


 今のルナは先程と違って見窄らしい外見ではない。


 風呂に入れさせ汚れを落として綺麗にして、ボロボロの奴隷服ではなく、新しくて動き易い服を着せている。


 それにルナは誰から見ても可愛いし、プロポーションも良いからな。注目を集めるのは当然のことだろう。


 冒険者ギルドに到着すると、受付嬢のララリアさんに話しかける。


 「あら、レイジさん。今日はどうしました?」


 「すみません、この子は俺の奴隷なんですけど、冒険者登録をさせたいんですが……」


 「随分と可愛らしい奴隷さんですね。分かりました。では登録料として銀貨1枚をお願いします」


 「これを」


 俺は銀貨1枚をララリアさんに渡す。


 「確かに。ではこちらの登録用紙に記入をお願いします」


 「ルナ、字は書けるか?」


 「はい、大丈夫です」


 ルナはペンを取ると名前や得意な武器などをスラスラと登録用紙に記入していく。


 「記入しました」


 「ありがとうございます。ではこちらのギルドカードをお受け取りください」


 ララリアさんはGランクのギルドカードをルナに渡たす。


 「ついでにルナをFランク昇格試験を受けさせたいたいんですが、大丈夫ですか?」


 「はい、問題ありません。今から試験官をお呼びしますので少々お待ちください」


 そう言ってララリアさんはカウンターを離れていった。


 「ちょっと緊張します、ご主人様……」


 「俺でも受かったから大丈夫さ」


 緊張しているルナを落ち着かせながらララリアさんが戻るのを待っていると――


 「おいおい、お嬢ちゃん! かなりの別嬪じゃねえか! 俺と一緒に酒でも飲まないか?」


 俺たちと同じ冒険者だろうか。プレートアーマーを身に纏った中年の酔っぱらい男が下劣の笑みを浮かべてルナに近づいてきた。


 他の受付嬢さんが「げっ!」とはしたない声を上げている。


 「申し訳ありません。これからFランク昇格試験を受けるので……」


 酔っぱらいに対して適切な対応をするルナ。


 「そんなつれないこと言うなよ。少しでいいから飲もうぜ」


 それでも酔っぱらいは食い下がる。


 しつこい酔っぱらいだな……。


 「あの、この子は俺の奴隷なんで馴れ馴れしくしないでもらいたいんですけど……」


 見るに耐えきれず、俺はルナと酔っぱらいの間に割り込む。


 「なんだお前は? 俺は今、お嬢ちゃんと話をしてるんだ。邪魔するんじゃねえよ!」


 バキィ!


 「――がっ!」


 「ご主人様!」


 右頬に激痛が走る。


 俺は酔っぱらいに殴られたのだ。


 「雑魚が、俺に歯向かうなんて100年早いんだよ!」


 そう言って酔っぱらいは再び俺に向けて拳を振るおうとする。


 しかし、酔っぱらいの拳は俺に当たることはなかった。


 なぜなら――


 「ご主人様を傷つける人は許しません!」


 拳が俺に当たる直前にルナが酔っぱらいの腕を掴んで止めたからだ。


 「イテテテテテテテ!」


 酔っぱらいが悲鳴を上げる。余程強い力で掴んでいるのだろう。


 「私のご主人様に謝ってください!」


 「だ、誰が謝るか!」


 ボキンッ!


 酔っぱらいの腕から鳴ってはいけない音が響く。


 「ギャアアアアア!」


 ルナが何の躊躇いもなく酔っぱらいの腕をへし折ったのだ。


 「謝ってください!」


 敵意――いや、殺意が込もった瞳で酔っぱらいを睨むルナ。


 先程までの花のような笑顔がまるで嘘のようだ……。


 「わ、分かった……! 謝る、謝るから離してくれ!」


 「私にではなくご主人様に謝ってください!」


 「すまなかった! ごめんなさい!」


 酔っぱらいが俺に謝ると、リオンは掴んでいた腕を離す。


 「ひいぃぃぃっ!」


 酔っぱらいは情けない悲鳴を上げながらそのまま冒険者ギルドを去っていた。


 戦闘経験があるとは知っていたが、ここまでの実力とは思っていなかったな。


 「大丈夫ですかご主人様!?」


 俺を心配してくれるルナ。


 「大したことはないよ。それよりありがとうルナ。お陰で助かったよ」


 「いえ、私はご主人様の奴隷ですから」


 本当に優しくて良い子を購入したなとつくづく思う。


 「ありがとうございます、ルナさん!」


 「あの男の人、いつも酔っ払って私たちにちょっかいかけてくるんですよ。冒険者ギルドの職員である私たちが冒険者相手に手を出すのは御法度ですからね」


 「お陰でスカッとしたよ!」


 受付嬢さんたちがルナに感謝の言葉を伝える。


 やはりあの酔っぱらい、こう言った騒ぎの常習犯だったようだな。


 「ほう、なかなかの実力だな」


 声をかけてきたのは俺がFランク昇格試験を担当した試験官のヴァンさんだった。どうやら先程の喧嘩を見ていたようだ。


 「さっきの酔っぱらいはEランクの冒険者でそこそこ名が知られている冒険者でな。それを意図も容易く撃退するとは、これはFランクへの昇格試験を受けるまでもないな」


 ヴァンさんはルナに向き直る。


 「ルナと言ったな? Fランクに昇格することを認める。冒険者ギルドに関する内容は主人に教えてもらえ」


 こうしてルナは無事にFランクに昇格することができた。

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