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13奴隷

 次の日。


 俺は奴隷を購入するために市場へと訪れていた。


 市場ではそれぞれの店が武器や防具、ポーション、マジックアイテムなどを様々な物を売って凌ぎを削っている。


 目的の奴隷店を見てみると、色々な種族の奴隷が売られていた。


 皆、全体的に薄汚れている粗末な衣服を着せられており、値段が書かれているプレートが付いた鎖で縛られている。


 子供の狐人族のビースト金貨3枚。


 老人のデーモン金貨2枚。


 若い男性エルフ5枚。


 どの奴隷も非常に高いな……。


 1番安いガリガリに痩せているヒューマンのおっさんでさえ金貨1枚の値段がある。


 戦闘経験のあるドラゴニュートで金貨7枚。


 愛玩用の若いエルフのお姉さんなんて金貨10枚を超えているじゃないか……。金貨10枚なんて土地付きのちょっとした家が建つ金額だぞ……。


 やはり今の俺にはとても奴隷なんて購入できそうにないな。もう諦めて帰るとしよう……。


 踵を返して帰ろうとしたその時――


 「もしもし、そこのお客さん。もしかして奴隷をお探しですか?」


 「ん?」


 声を掛けられたので立ち止まる。


 振り向くと、サーカスのピエロを思わせる程の派手な衣装を着た肥満体のおっさんがいた。見るからに怪しい雰囲気を漂わせるな……。


 「誰だおっさん?」


 「小生はローンと申します。ローン商会を経営している者です。見たところお客さん、奴隷をお探しのようですね?」


 「そうなんだが、どの奴隷も思いのほか高くてな。諦めて帰ろうとしているところだ……」


 俺の言葉にピエロ――ローンはニヤリと笑う。


 「それなら小生の店に来てください。少し訳ありですが、安い奴隷が売られていますよ」


 「訳あり……?」


 その言葉の意味が少し気になるが、奴隷が少しでも安く購入できるのなら見てみる価値はありそうだな。


 「分かった。店に案内してくれ」


 「はいはい! ではこちらになります!」


 市場を歩いていると、サーカスのテントみたいな小屋に案内された。


 店主が怪しければ、店の雰囲気も怪しいな……。


 「こちらでございます!」


 ローンはスキップしながら俺をテントの中に案内した。


 「……う!?」


 テントに入ると、中は薄暗く、僅かだが腐敗臭が漂っているので思わず鼻を摘む。あまり環境が良くないのだろう……。


 檻が幾つも設置されており、その中には人型の影が蠢いているのに気が付いた。奴隷だ。


 「こちらが我が店の奴隷たちでございます!」


 檻の中にいる奴隷たちを見てみる。


 耳の欠けた猫人種の男性ビースト、病気なのか咳き込んでいる女のヒューマンなどがいる。


 なるほど、訳ありとはこう言うことか……。


 「愛玩用だけでなく中には戦闘経験がある奴隷もいます。ちなみにお客様のご予算はどれくらいでしょうか?」


 今の手持ちは金貨1枚と銀貨40枚と銅貨が少し。


 当分の食費や宿泊などの生活費、さらに購入した奴隷の分まで必要だからな。


 そう考えると、銀貨50枚が妥当だろう。


 「銀貨50枚」


 「なんとなんと、小生が思っていた以上のお金をお持ちなのですね。それで性別は男と女のどちらに致しますか?」


 性別はやっぱり女性がいいかな。同い年ぐらいなら会話もはずむだろう。


 「俺と同い年の女の子で」


 「種族はどのように?」


 せっかくの異世界だからな、ビーストかエルフがいいな。


 「種族はビーストかエルフで頼む。戦闘経験があるなら尚更いい」


 「戦闘経験がある奴隷ですか……。分かりました、ではこちらのエルフ娘はいかかでしょうか? 年齢は15歳。些か愛玩用としては劣りますが、戦闘には充分役に立つと思いますよ?」


 ローンが薦めてきた奴隷はエルフの少女だった。


 身長は160センチほどだろうか。金色の美しい髪に尖った耳、しかもかなりの巨乳だ。ボロボロの布切れのような服を着ているせいか、桃のような2つの双丘がより強調されている。


 しかし、1番注目するべきところは顔だろう。包帯で顔全体を隠しており、所々火傷のような痕が見える。


 「半年ほど前にこの娘の家族が凶暴なモンスターに襲われましてね。このエルフはその時の唯一の生き残りです。処女でスタイルも良いので愛玩用として引き取ったのですが、顔の火傷のせいで誰も彼女を買おうとしなくて困っていたんです」


 火傷のせいで愛玩用にもならないと言うわけか。酷い話だな……。


 俺はエルフ少女に近づき質問する。


 「俺の名前はレイジ。君の名前は?」


 エルフ少女は暗い瞳で俺を見つめると――


 「……ルナ、です」


 ポツリとエルフ少女――ルナは呟いた。


 ルナか。


 俺の世界のラテン語でルナは『月』を意味する言葉だ。


 確かに彼女の金色の髪は月のように美しいからな。とても良い名前だと思う。


 「本当にこの子は戦闘経験があるのか?」


 「はい。弓と短剣の扱いに長けています」


 遠距離と近距離の両方がいけるか。


 よし、良いだろう。


 「この子は幾らだ?」


 「処分に困っていた奴隷ですからお値段は銀貨35枚、さらに奴隷紋を施すのに銀貨5枚でどうでしょうか?」


 「分かった。ルナを俺の奴隷として買うよ」

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