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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界でなろうの言う通りにしてるんだが‥‥

作者: ナベ奉行


俺は小説家になろうが大好きだ。


特に異世界ファンタジーものには目がない。

チートとハーレムというタグを無差別に追いかけ続けて早10年。年齢は30歳、ノージョブだ。


数々の異世界転生者、異世界転移者を画面の向こうから見送り続けて来たが、ついに俺の番がやって来たのだ。


そう、今日この日こそ我が人生で最も輝く時、トラックさんに引かれる時である。


俺はこの日の為に無職を貫いた。父に殴られようが、母に泣かれようが、俺は異世界に行くという思いだけを頼りに世間の冷めた目に耐えて来たのだ。


辛かった。働かずに食うメシは美味かったが、辛かったのだ。


俺を引いた運ちゃんには悪いが、あんたが引いたのは社会の底辺、燃えないし萌えもしないゴミだ。俺の親からは感謝状が贈られるだろう。


おめでとう、そしてありがとう。

さようなら現世、逝ってくるぜ。


あぁ、どっちかな。転生かな、転移かな。

出来れば転生がいいな。


俺の魂は天へと登る前に美しい女神に招かれる。


「ごめんなさい、私のミスで貴方は死んでしまいました」


早速来た。女神の土下座である。ロリ巨乳である。

胸の谷間が見える。いずれ来るであろうエルフや獣人の奴隷に捧げようとしていた漢が反応する。


「どうしてくれるんだよ、責任とれよ」


心にもないことを。くっくっくっ、さぁチートをよこせ。


「はぁ?こっちが下手に出てりゃつけあがりやがって。

てめぇ女神舐めてんの?神舐めてんの?」


うん、ごめんなさい。

そうですよね。神様相手に調子こいたらダメですよね。


「あ〜ムカつく。おい、取り敢えずピルクル買ってこいよ。カロリーオフのやつ」


「すいません、死んでるんで買えません」


ロリ女神は苛立ちながら、


「使えねぇ〜。お前になんかチートやれとか上司に言われてるけどピルクルで良いよな。もうピルクルで良いよな?」


ロリの女神に乳製品。それはそれで興奮するが、そんなんじゃ俺は異世界で生き残れない。伊達にニートを貫いてない。社会経験もない人間が言葉すら通じるか分からないところでどうすればいいんだ。


今度は俺が土下座した。

「許してつかぁさい、許してつかぁさい」


涙と鼻水に濡れる顔で必死になって謝った。

ここでピルクルしか貰えなかったらチーレム出来ない。

俺の今までの人生が無駄になる。


「おぅ、次からは気をつけろ。マジ神舐めんな」


俺は許された。

目上の人はちゃんと敬う。

ひとつ学んだ。


「取り敢えず異世界行けや。能力はテキトーに色々付けとくから」


「あの〜、ひとつだけお願いが‥」


「あぁ、なんだよめんどくせえ」


「イケメンにして下さい、絶倫にして下さい、アレのサイズも標準以上にして下さい、身体能力も魔力も最大にして下さい、鑑定も全属性の魔法適正も最強の武器も下さい、そこそこ裕福な家に生まれたいです、ただ権力に縛られたくないから次男とかにして下さい」


ひとつと言いつつ、溢れる想いが俺に喋らせた。

ロリ女神様はただ一言。


「キモイ」


俺、再びの土下座。圧倒的土下座。


「許してつかぁさい許してつかぁさい」


謝罪のゴリ押しである。

本気でキモがられた俺はチートをちゃんと貰えることになった。

俺が転生先で神とかになったらあのロリ女神も頂こう。

そう秘かに決意して異世界に転生した。





無事、貴族の次男に転生を果たした俺。

生まれたばかりの俺は母親の乳首を吸う仕事で忙しい。

これは生きる為の食事なのだ。

決して口の中で転がしたりしない。


一回それをやって気持ち悪がられたからだ。

仕方ない、母親は攻略対象外だからな。





俺はすくすく成長し、今は3歳。

3歳児はもう働かなければならない。

まずは親や使用人の目を盗み、本を探す。

魔法の本を読んで独学で極めるのだ。

それに奴隷を買って訓練させなきゃいけない。

もちろん内緒でだ。


「すてーたす」


うん、スキルもバッチリ。

これならいける。


書斎で魔法を勉強した俺。

早速水の魔法を使う。

部屋には大きな水球が出来上がる。

突然の魔力の高鳴りに書斎に集まる使用人達と両親。


どうだ、さぁ褒めちぎるがいい。





俺は離れに隔離された。

3歳から高度な魔法を使うなんて異常だ。

あの子は子供のふりをした化け物だ。


使用人達の噂が聞こえる。


俺の世話役に新しい幼女奴隷が買われてきたが、

さすがに毎日泣いている幼女相手に何も出来ない。


ったく、愛が足りないぜ。



6歳、学校の入学試験。



両親は見送りに来なかった。

まあいい、見よこのイケメンっぷりを。

これから俺を待つ学園編に胸がときめく。


試験では個人の能力を披露する。

もちろん、全力を出して試験官を驚かせた。

後日、我が家に校内の施設の修理代の請求書が届いた。


魔法のコントロールが出来ていないとAからDまであるクラスのうち、Cクラスになった。

最底辺でもない、ただ悪いクラス。


まぁいい、ここから成り上がる。



8歳、クラスでの演習。



この頃は目立ちたくないから、がトレンドだ。

試験も実技も目立たない。

ただ、教師もクラスメイトも平凡だから、誰も俺の真の実力に気がつかない。

顔はいいのに実力がない残念な奴。

そんな評価ともおさらばだ。


運良く魔物が襲撃してくる。

俺、活躍の時である。今こそ実力を見せようと魔物の元へ向かうがすでに討伐されていた。Aクラスによって。


ま、まぁいい。次だ。



13歳、卒業の時。



俺は実家から勘当されていた。

だが、これから始まる復讐ものに胸が踊った。


さぁ、ギルドに登録し受付嬢を口説こうか。



年齢制限に引っかかった。

俺は再びニートになった。

離れに登録できるまで住ませてもらった。



15歳、ギルドにて。



俺はギルドに登録した。特に血を流して、圧倒的ステータスを披露するとかはなかった。

故にひたすら待った。

何かって、俺に絡む無能な冒険者を、だ。


1日待っても来なかった。ギルドの職員に帰って下さいと言われた。次の日も、その次の日も待った。来なかった。

ギルドの職員に働いて下さいと言われた。



可愛い子に絡む冒険者も探した。

意外に真面目な冒険者ばかりだった。




20歳、中級冒険者。



国を揺るがす災害とか、魔物とか、戦争とかを待ったが来なかった。それらの情報集めに忙しかった俺はまだ中級冒険者だ。


そろそろ上級、いや一気に特級まで上がるか。


一気に位が上がるような依頼がなかった。

ここだけはコツコツ働いた。



22歳、上級冒険者。



俺はギルドの職員に、他の冒険者に一目置かれている。

いつも1人でいるやべー奴と。

俺はここで奴隷を買うことにした。


コツコツ働いたから金はある。

早速奴隷商人の元で品定め。

焦るな、焦るな俺。


そこで俺はエルフの奴隷を買った。

転生してからやっと、やっとである。

真面目に働いていたら、あと2年は前に買えたことは忘れた。


俺は早速エルフの奴隷をちゃんと人間扱いし、撫でて褒めて、秘密をうち明かして、やっと性交までイケた。

この日は人生最高の日だ。何度もシテしまった。


エルフ奴隷と心まで結ばれる為に奴隷の首輪を外した。彼女は泣いて喜んで俺に抱きついた。可愛い奴め。


次の日、逃げられた。置手紙があった。

一言、キモい死ね、と。



25歳、復讐の時。


俺は特級冒険者になった。

だが、相変わらずのボッチだ。


ギルド内では目を合わせたらいけませんと注意される存在になっていた。


曰く、助けるとか言って獲物を横取りするとか、盗賊退治の時は必要以上に痛めつけるイカレ野郎とか色々だ。

あと女としか口をきかないくせにどもる、といった具合だ。


そろそろ軌道修正せねばならない。

俺は実家に行って復讐することにした。


領地は栄えていた。

ほとんど顔を合わせたことがない兄が立派に務めているらしい。

家をこっそり覗いた。


両親と兄が談笑している。それにあの子は幼女奴隷か、美人に成長している。その子が兄と仲睦まじく手をつないでいた。恋人繋ぎだ。



俺は宿に戻った。



30歳、呪いの時。



俺は世を呪った。

気が利かない両親と兄、俺の実力に気づかなかった無能なクラス、裏切りエルフ、冒険者ギルドでさえ、実力者の俺を厄介者扱いである。


気付けば30歳、前世と同じ年頃。

俺は、転生を望んだ。



40歳、神の試練。



俺はロリ女神に会う為に神々が作ったという幾つかのダンジョンを攻略した。そこから得られたアイテムを使い、再び、ロリ女神と対話する。


「てめぇ、何しに来たんだよ?」


俺は土下座した。


「もう一度、もう一度だけ転生させてください。次こそはうまくやれる。お願いします」


「ムリ、死ねよ。運が良かったらバッタくらいにはなれるかもな」


そう言ってロリは去った。



45歳、‥‥‥。



俺は今までの人生を振り返った。

泣けた。だから、今度こそやり直すことにした。


まずは挨拶からだ。

俺はギルドの職員や他の冒険者、近所の人に必ず挨拶をすることにした。

最初は不審がられた。気味が悪いと噂された。それでも続けた。そうしたらたまに挨拶を返してくれる人がポツポツでて来た。今ではちゃんとみんな返してくれる。


次に仕事だ。適当はいけない。どんな仕事でもちゃんとこなそう。俺は色々飛ばしすぎた。だから、最初からだ。

まずは下級冒険者の仕事だ。だが、俺が仕事をとると彼らに仕事が回らない。人気のない仕事を受けよう。


遠くの村までゴブリン退治だとか。家の解体に、お使い。子供の面倒や掃除など様々だ。だが、どれも本気でこなした。


そして、友達作り。

まずは挨拶を返してくれるようになった人との世間話だ。天気がいいねとか、最近受けた依頼の話とか。そうしているとお酒の席に誘われた。誘ってくれた人は俺がゴブリン退治に行った村の出身者で感謝された。嬉しかった。

正直に気味が悪い奴だと思ってたと言われたが、また飲みに行こうと誘われた。これは、もう友達だよな。


次は、悩んだが家族に会いに行った。

馬鹿な真似をした。迷惑かけてごめんなさいと謝った。

兄は俺のことを真っ直ぐ見て、お前が初めて人間に見えたと言った。兄にとっては確かに俺は何を考えているかわからない奴だったのだろう。

両親とも、元奴隷幼女とも普通に話せるようになった。

ちなみにこの元奴隷幼女、兄の第2夫人になっていた。

本妻は妊娠しており実家に帰っているそうだ。

知らぬ間に叔父になった。

両親からは勘当を解くかと言われたが、断った。俺が戻れば家名に傷がつくかもしれない。もう、迷惑はかけたくない。



そうやって毎日を過ごすと日が落ちるのが早い。

毎日忙しいせいだろう。

前世ではあんなに時間の余裕があったのに。

でも、楽しい。自分がやっと血の通った人間になれた気がした。



48歳、結婚しました。



相手は以前依頼で子供の面倒を見たことがあるシングルマザーだ。年は俺よりだいぶ若い36歳。勝ち組である。


こんな俺にも家庭が出来た。血の繋がらない息子も可愛くて仕方ない。あぁ、異世界転生とは最高だ。




80歳、お迎えの時。



妻は俺より先にいった。

今はベットで寝たきりの俺を息子夫婦が面倒を見てくれている。

孫の顔も見れた。満足だ。反省は多々ある。でも後悔はない。いい、人生だった。




?歳、どこか。


「よう、おつかれさん」


そんな声が聞こえた。


























読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。
[一言] うん、そうだよね。普通、そうなるよね。 異世界転生まではいいとしよう。 でも、なろうの転生者はかなり運がいいというかよすぎる。 やっぱり、人生何かを待つんじゃなくて、真面目に生きていくのが…
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