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ディファレント・ワールド・ウォーズ  作者: 彩都
第一章 目覚めた先
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第一章 目覚めた先 8

「これは『か』、次は『き』だな」

 国王の言葉を聞いて、メモをする自分。すると急に図書室の戸が開いた。

「国王様?」

「ん? 何じゃ?」

「あぁ、良かった。国王様、隣の国の『ラージュ王国』から連絡が。至急話がしたい、と」

「……何なんじゃ? 今転移者と共に文字を教えているのに……」

 国王がそう言うと、図書室に入ってきた存在が頭を下げて謝る。

「も、申し訳ありません! 急な連絡だったので……!」

「連絡……?」

 もしや、と思い、自分は入ってきた存在に話しかける。

「す、すみません。その『連絡』ってどうやって連絡してきたんです?」

「えっ? あぁ、電話だ。」

「で、電話ぁ!?」

 存在の言葉を聞いて、自分は驚愕する。まさかのまさか、電話が存在するなんて……! でも国王に電話って何なんだ……? 自分はそう考えて、国王に言う。

「ねぇ、俺も同席して良いですか?」

「えっ? 何で?」

「何で、言われると……興味本位?」

「…………」

 無言の後、国王は自分を睨んで溜息を吐く。

「まぁ、いいけれど……」

「有難う御座います」

 自分は国王の言葉を聞いて、頭を下げる。そして自分はポケットにメモ帳を直して、国王と共に電話がある部屋へと向かう──


「此処が応対室。つまり電話や他人と会話する時に使う部屋じゃ」

 国王の説明を受けて、自分は机の真ん中に置かれているヨーロピアンな黒電話を見る。うわぁ、これ、アニメでよく見る奴じゃん。初めて見たぁ、と思いながら国王は静かに受話器を取る。

「……はい、もしもし」

「これはこれは……こんな夕方にすいませんねぇ。私は先日『ラージュ王国』の国王になったシルヴィス・マークライと申します、以後お見知り置きを」

「……儂は『ドルベルク王国』国王、メル・ミスカルだ、以後お見知り置きを……でシルヴィス殿、何でこんな時間に連絡──いや、電話を?」

 国王が静かに話す。静かに話している国王に対し、『ラージュ王国』の国王、シルヴィス・マークライは大声で話す。

「連絡……あぁ、『進軍』の事ですね。いやぁ、国の面積を広げる為に大国である『ドルベルク王国』を潰そうと思いましてねぇ? 生憎私が国王になれたのは『一人の異世界から来た人間』のお陰でねぇ……私はその人物に言われたんですよ、『隣国を潰せば貴方が一番になれる』、とね……だから潰しに行くんですよ、『ドルベルク王国』を! さぁ、私に平伏せメル・ミスカル! 私とその人物、二人で『ドルベルク王国』を潰す! だから楽しみに待ってな! アハ──」

 思いっきり音を立てて受話器を元に戻す国王。国王は静かに自分に言う。

「なぁ、転移者よ、『聞こえた』か? 今さっき、『ラージュ王国』のシルヴィスは……!」

「……あぁ。聞いたさ、『異世界から来た人間』って!」

「やっぱり、聞き間違いではなかったな。」

「矢張り、俺以外にも転移者が……」

 自分がそう言うと、その場で溜息を吐く国王。

「はーあ。本当に今は大変じゃなぁ。進軍っつっても、どれだけ進軍しているか分からんし……まぁ、儂も戦士として戦うんだけどぉ」

「えっ? 国王自らが戦うのか!? それは危険なんじゃぁ……」

 自分がそう言うと、自分に図書室を案内してくれた名もないメイドが言う。

「そういえば転移者さんは知らないですよね……『ドルベルク王国』の国王、メル・ミスカルは『戦場に立つ戦女神バトル・オブ・アテナ』と呼ばれています。国王自身が戦場に立たないと戦況が分からないから、という意味で戦場に立つそうです」

「うん、正解。だから儂は戦場に立つのじゃ。戦場を見、一人の死者を出さずに勝利する、それが国王の立場なのじゃ」

 成程……それが国王なのか。自分はそう思い、国王に言う。

「じゃあ俺もその戦場って奴に出させてよ。そして俺に『ラージュ王国』って所に居る『異世界に来た人間』を倒させてよ?」

「はぁ? 寝言は寝て言え」

「ですよね、ダメですよね」

「あぁ。ダメに決まっている。お前さんはまだまだ弱い。更にそもそも異世界転移者、この世界の存在では無いお前に他の国の存在と戦わせるなんて出来ん」

 国王の正論を受け、確かにそうですよね、と思う。うーん、早く自分以外の異世界転移者を倒したい所だが……今はまだまだ保留かな。自分はそう考えて国王に頭を下げる。

「ご無礼すみません……」

「いい、いい。お前さんはまだこの世界に来た身なんじゃ。のんびり生きてこの世界を知れ」

「アハハ……そうします」

 と、自分が顔を上げて言った瞬間だった、頭の中にとある情報が流れる。それは国王が言った『この世界の存在では無いお前に他の国の存在と戦わせるなんて出来ん』という言葉だ、それって逆に言えば『この国の住人になったら戦う事が出来る』と言う事なのではないか!? 自分はそう考えて、もう一度頭を下げる。

「あっ、あの!」

「何じゃ?」

「この国の住人になったら俺も『ラージュ王国』と戦う事が出来るか?」

「は、はぁ? お前はいきなり何を……」

 困惑する国王に自分は続けて言う。

「いや、だからさ、『この世界の存在では無いお前』って国王は言った。つまり『この国の住人になれば『この世界の存在では無いお前』になる』って事! だから『ラージュ王国』と戦う事が出来るか? って聞いているんだ!」

「い、いや、確かにその理論はあっているぞ? でもどうやってこの国の住人になるんだ?」

「それは国王が何とかして下さい!」

「えぇ!? 儂がぁ!? 出来る訳ないじゃろう!」

「じゃあ他の方法を探します!」

「えぇ……」

 国王は自分の発言を受け、頭を垂れる。

「仕方無い……一応出来る分だけやってみる事にする──何せ異世界転移者がこの国に来るなんて初めてじゃし──出来なかったら諦めてくれ」

「えぇ! 有難う御座います!」

 自分は深々と頭を下げ、国王に感謝する。とりあえずこの国の住人になれば『ラージュ王国』の異世界転移者と戦う事が出来る。早く生き返らなければ。自分はそう思いながら右手に力を込める──『ラージュ王国』の進軍が何時来るかは俺にも『ドルベルク王国』にも分からない──

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