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ディファレント・ワールド・ウォーズ  作者: 彩都
第一章 目覚めた先
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第一章 目覚めた先 5

 右手が光った、それは何故だか分からないが、今はそんな事はどうでもいい。今は目の前のアルムさんに一撃を与えないといけない。自分はそう思いながら右手を見る。

 何も無い、手甲がされているだけの一般的な右手。普通で普遍で平凡な右手である。一学生の手にしては少し頼りないかもしれないが、それでも自分の手は自分の手だ。『自分自身にしかない手』なのだ。自分はそう思いながらアルムさんを見つめる。

 果たしてどうやって攻撃をすれば良いのか? 自分には武器も飛び道具もないのだ。今ある物は防具と手甲、足甲のみ。これだけの装備で何が出来る? 簡単だ、『ダメージを軽減させる事が出来る』だ。だが、そんな効果を持っていても意味が無い。何故なら『アルムさんに一撃を加える』という行動に『ダメージを軽減させる』という行動は意味が無いからだ。

 自分はその場で溜息を吐いて考える。どうやって勝てば良いのか……と、此処で右手の事が目に入った。そういえば右手が光ったまま放っておいたのだ。一体何時になったら右手の光は消えるのだろうか? 自分はそう考えて、手甲を外す。まだ光っている。ていうか何で光ってんの? 何か光らせる事でもしたのだろうか? ……完全に見覚えが無い。というより、『この痣と光は何なのか』、この世界に転移する前はそもそもなかったし、光りもしなかった。でも何故『急に光った』のか? そう考えると、少し恐怖心が目覚めた。……もしかして『自分の死が近付いたら光る仕組み』なのか……? と考えてしまう。

 い、いや! 流石にそれは無いだろう! 何故なら……何故、なら……何故なら? 何も無い。考えなんて何も無い。実際本当に『自分の死が近付いたら光る仕組み』かも知れない、と考え始める。だって、光った時は死にかけだったし……と余計な理由が思考に入る。一体全体この光と痣は何なのか……そう思っていると右手の光を見たアルムさんが声を荒げる。

「そ、それは!?」

「は、はい? 何なんです? 俺、この光と痣について知りたいのですが?」

「そ、その痣と光は……!」

 ごくり、と唾を飲み込んでアルムさんの発言を待つ。そしてアルムさんが言う。

「『能力の痣』……! 君達転移者しか許されない痣だ! これで君が異世界転移者、田と言う事が分かる……!」

「…………」

 何それ? 自分はそう思いながら右手の痣を見て驚いているアルムさんに向かって、攻撃を仕掛ける。

「今のうち!」

 自分はそう言ってアルムさんの胸部を右手で殴ろうとする。だがアルムさんは『ハッ!』と我に返って、自分の右手の攻撃を弾かせる。

「危ない危ない……『痣』の事に気を取られてしまった。騎士団長失格だ」

「そんなんで失格しないで下さいよ……」

 自分は頭を抱えて落ち込むアルムさんに溜息を吐いて頬を掻く。するとその時だ。自分の背後から急に突風が起き、砂埃が舞った。

「うわっ!? 何だ、風か……」

 自分はそう言って背後を見、額の汗を拭う。だが、この状況、とても『幸運』じゃないか……? と考えてしまう。自分はそう考えて目の前のアルムさんを見る。アルムさんは『舞った砂埃の所為で目に砂埃が入ってしまった』ようだ。

 自分はその隙を突いて、アルムさんに突進する。

「うぉぉぉ! これでどぉだぁっ!?」

「目がやられている内に攻撃とは! 卑怯だな!?」

 アルムさんはそう言って、自分の突進を受ける。そして自分がアルムさんを見ると、まるで『自分がアルムさんを押し倒している』様なポーズになっていた。

「うっ、うわうわ! す、すみません! 何か押し倒したような感じになっちゃって!」

「い、いや、いいよ……それにしても砂埃で目がやられている内に攻撃するなんて……君が騎士団長だったら卑怯者扱いされているぞ?」

「あ、アハハ……確かにそうですね」

 自分はそう言ってアルムさんに左手を差し伸ばす。そして自分の手を使い、アルムさんは立ち上がる。

「勝負は勝負。砂埃が目に入った時点で私の負けだった様だな……君の勝利だ。異世界転移者の少年よ」

「あ……有難う御座います!」

 自分はアルムさんの発言を受け、すぐさま両手を腰に合わせ、頭を下げて、感謝の句を述べる。

「いや、此方こそ。貴重な体験を受ける事が出来て驚きだ。まさか『目に砂埃が入って負ける』だなんて、これからの笑い種になるだろうなぁ! ハッハッハッ!」

「……そ、そうですね」

 自分はアルムさんの笑い声を聞きながら茶色の剣を手に取ってアルムさんに言う。

「あ、後アルムさん、さっさと国王さんに勝利結果を話しに行きません? ずっと此処で立ち止まっていたら不思議に思われるでしょう? だから急いで国王様の所に向かいましょう──まぁ、審判居ないし、自己申告しないといけないんですけどね──」

「ふむ、確かにそうだな。それでは一緒に国王様の所に向かおう」

 アルムさんは自分の発言を受けて、静かに頷く。そして自分とアルムさんは国王様の座席へと移動する──何だか卑怯な勝利になってしまったな。自分はそう思いながら深い深い溜息を吐く──自分は防具と武器を手に入れられる事が出来るのか? それは王様の匙加減かもしれない──

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