表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色図書館  作者: アフロペンギン
6/13

第五章「試練2-1」

アフロ月です。

すごく久しぶりに投稿しています。

他作品と違い、灰色図書館は何故かペースを守れないんですよね……。

申し訳ないです、是非楽しんでいってください。

 第五章「試練2-1」




 波が押し寄せる浜辺で、少年はシュランツと、そして一人の男性と座っていた。

 男性の名は浦島。

 漁師である彼が、何故浜辺に腰を下ろしているのかというと……。


「すみません浦島さん……。」

「え?……いや、いいんだよ。」


 謝る少年に笑って返す浦島。

 好青年だなぁとしみじみする少年だったが、シュランツは相変わらず黙ったままだ。

 …………まずはこんなことになった経緯を話すべきだろう。



 ・・・・・・・・・



「ここは……海ですかね?」

「海みたいだね。」

「海ね。」


 少年、ネオラ、シュランツは、旅先で天の使いに出会った。

 本の試練として、物語の世界に入った三人だったが……そこは所謂、海だった。

 海に入ろうとするネオラをなだめつつ、少年は辺りを見回した。

 すると……。


「…………ん……?」


 数人の男の子が、浜辺で何かをしている。

 誰かを取り囲んでいる……?


「何かやってるけど。」

「そうですね……見てみますかって、ネオラさん!?」


 少年が答えるより早く、ネオラは駆け出していた。


「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


 怒号を飛ばし、ネオラは勢いよく向かっていく。

 それに気付いた男の子達は、たちまち逃げていくのだった。


「ネオラさん……!」


 少年とシュランツが急いで駆け寄った。

 ネオラは膝をついて何かを撫でていた。


「可哀想に……大丈夫?」


 なんだろうと思い、少年が覗きこんでみると、そこには一匹の亀がいた。

 先程の男の子達は亀をいじめていたようだ。


「亀……全く。あの餓鬼どもは……。」


 シュランツが舌打ちをする。

 いや怖いですって。



 ・・・・・・・・・



「それで、ネオラさんは亀と一緒に海に……。騙されてなけりゃいいけど……。」

「大丈夫よ。さっきも言ったけど、この物語の展開上、御姉様は竜宮城に行ってるの。」

「……って、言ってましたね。」


 物語のイレギュラーを解決するのが本の試練なのだが……ネオラが竜宮城へ行った時点で、既にイレギュラーが起きてしまっている。

 解決しようにも出来そうにない。


「待ちますか。」


 少年が言うと、シュランツは呆れたようにこう言った。


「はあ……!?貴方、この物語を知らないの!?」

「すみません、記憶無くしてるんで。」

「…………あのね、このまま御姉様は30年位戻ってこないわよ。」

「…………はい?」

「竜宮城と地上は、時間の流れ方が違うの。あっちで3時間過ごすと、こっちでは30年経過するの。」

「うそぉ!?じゃあ、僕たちはどうすれば!?」

「知らないわよ!!」


 ワーワーギャーギャー口論する二人。

 そんな二人を見て、浦島は一つ溜め息を吐いた。


「……よく分かりませんけど、竜宮城に行くことなら出来ますよ。」


 浦島の言葉に、二人は一斉に顔を向けた。

 浦島は驚くも、咳き込み提案する。


「えっと、亀を助ければ、竜宮城へ行けるのですよね?それなら、僕がいじめて、二人が亀を助ければいいのでは?」

「なっ…………成程……。」


 少年は冷静さを失っていた。と、感じた。

 全く自分らしくないな。


「それでいきましょう。」


 シュランツの話では、浦島が竜宮城へ行くはずだが……いや、イレギュラーは起きているのだ。

 これ以上物語を崩しても何の問題も無いはずだ。



 ・・・・・・・・・



「浦島さん、お願いします。」

「任せてくれ。」


 浦島は近くにいた亀を見つけると、亀を捕まえて不敵な笑いを浮かべた。


「へっへっへ、いじめがいのありそうな亀だぜぇ……。」

「上手いなぁ……じゃなくて、そこの男性、亀をいじめるのはやめないかー。」

「そ、そうよー!!やめさないよー!!」


 浦島とは打って変わり、少年とシュランツに演技力は無さそうだった。

 棒読みに近い。


「ちっ……なんか気が削がれちまった。」


 浦島は亀を放してやった。

 そして歩いて岩の陰に隠れる。


「大丈夫かい?亀さん。」


 少年が亀を助けた。

 という既成事実を作ることには成功した。

 これでいい。


『ありがとう。』


 亀が喋った。

 2回目である少年とシュランツは驚かない。


『……あれ?驚かないの?』

「え。あっ、うわ、亀が喋ったー!!驚きで声も出なかったなー!!」

「そ、そうねー!何この亀すごーい!」

『……まあいいや。助けてくれたお礼に、二人を竜宮城でもてなしたいのだけど、いいかな?』

「ええ!?それは嬉しいなぁ!シュランツさん、行きましょうかー。」

「ええ。是非連れていって!」

『おーけー。それじゃあ、背中に乗ってくれ。』


 すると。

 亀が大きくなり、背中に乗るよう手で促してくる。

 2回目である。

 驚くことなんてない。


「行きましょう、シュランツさん。」

「仕切らないで頂戴。」


 心の中で浦島に礼を言って、少年とネオラは竜宮城へと向かった。



 ・・・・・・・・・



 絵にも描けない美しさ。

 少年はそう思った。

 海の中に存在する竜宮城だが、何故か息が出来る。

 物語だからなのか分からないが都合が良い。


「そんなこんなで竜宮城へとやってきたわけですけど……。浦島太郎って、こんな話なんですか?」

「……私に聞かないでよ。竜宮城がこんなだなんて、聞いたことないわ。」


 竜宮城は御殿のように和風の建物ではなく……未来都市といった言葉が似合いそうだった。


「美しいのは美しいんですけどね……。」


 ひきつく顔を抑えられない。

 シュランツを一瞥すると、同じような顔をしていた。

 亀が網膜スキャンでドアを開けてもらっている。

 竜宮城へ入ると予想通り、未来都市だった。

 未来都市……だった。

 未来都市は…………亀が二足歩行になるのかな。

 未来都市は…………亀が銃を持って歩いてるのかな。

 廊下らしきところを歩きながら、周りを観察してみたものの……本来の物語とは、かけ離れたものだった。


「シュランツさん。」

「何よ、少年。」


 耳打ちする少年とシュランツ。


「これは一体……。」

「だから私にも分からないって言ってるでしょ!?」

『お待たせしました。』


 屈強な亀が話しかけてくる。先程助けた亀がこんなことになるなんて……。

 大きなドアの前へとやってくる。


『是非、乙姫様に会ってもらいたいのです。こちらへどうぞ。』


 大きなドアがゆっくり開くと、そこは大きな広間となっていた。

 そしてそこに座していたのは……。


「…………ネオラさん?」

「……あれ?二人とも、どうしたの?」


 …………どこかで見た展開になっていた。

こんにちは、アフロ月です。

灰色図書館を読んでいただき大変恐縮です。

いかがでしたか?読みづらくなかったでしょうか。

勝手ながら、灰色図書館は週二ペースにしようかと考えています。

全十三章の灰色図書館は、物語を練るための時間が足りないのです。

楽しみに待ってくださる読者の方には申し訳なく思っています。

それでもと楽しんでくれたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ