第二章「試練1-2」
どうも。アフロ月です。
皆様、体調にはお気を付けください。
第二章「試練1-2」
「つまり、おばあさんはすでにいなかった……ってことでいいんですね?」
「うん、そうだね。」
少年が聞くと、ネオラは答え頷いた。
本の試練と言われ、天の使いにどこかへ送られた少年。森を通る道で出会った少女、赤ずきんと共に彼女の祖母に会いに家にやって来たのだが……そこにはおばあさんではなく、少年の傍らにいた石にされた女性、ネオラがいたのだった。
事情を聞くと、ネオラは気付くと家にいたが、おばあさんは最初からいなかったらしいのだ。
「どこかに出かけてるんですかね。」
「いや。それはないと思うなぁ。」
「何故です?ネオラさん。」
「少年は、赤ずきんというお話を知っているかい?」
「いえ……記憶喪失なので。」
「そのお話は……。」
と、言いかけたところで。
ネオラは赤ずきんも話を聞こうとしていることに気付いた。
ネオラは慌てて促す。
「あっ。赤ずきんちゃんは聞かない方がいいかもね。ショッキングな内容だから。」
赤ずきんは驚愕の表情をつくった。
「そ、そうなのですか?同じ名前だったので聞いてみたいと思ったのですが……。それでは、私は外で待ってますね。」
赤ずきんは歩いて、外に向かっていった。
扉が閉まったことを確認すると、ネオラは少年に呟いた。
「良い子だね。」
「僕も思いました。」
二人は苦笑すると、ネオラが頃合いを見計らって話し始めた。
「赤ずきんというのは、おばあさんを食べた狼が、赤ずきんも騙して食べてしまうというお話。」
「…………え。」
「ああ、勿論その後助かるんだけどね。」
「はあ……よかった……では、おばあさんはすでに……?」
「それなら狼がいるはずなんだけどね……。私達がいることで何かが狂っているのかもしれない。」
「……でも待って下さい。ネオラさんが来たときにはもうおばあさんがいなかった。僕より先にネオラさんはこっちにやって来た。となると、ここで一つの可能性が浮かびあがります。」
「それは?」
「ネオラさんより前にここに来た人がいる。という可能性です。」
「なーるほど……。」
……………………沈黙。
ネオラの言葉を皮切りに、二人の間では沈黙が流れた。
とりあえずこの世界から抜け出すことも大事だが、この世界が狂っているというのなら正すことも大事だろう。
……まさか、これが本の試練?
「あの~……?」
沈黙を破ったのは赤ずきんだった。
いつの間にか外から帰ってきてたのだ。
ネオラが受け答える。
「……んん?どうしたの赤ずきんちゃん?」
「これ……。」
すると赤ずきんはそっと手に持った紙を差し出した。
ネオラが受けとると、どうやらそれは手紙のようだった。
「何か書いてるね。」
「手紙ですか?ネオラさん、読み上げてみてください。」
「……6が……で……を……します。」
「漢字も読んでください。」
「私、妖精語しか読めない。」
「妖精設定ここで出してきましたか……。面倒くさいならそう言ってください。っていうか貸してください。」
少年はネオラから手紙を受け取った。
……ネオラは自分のことを妖精だと言っている。
光の魔法が使えるのも妖精だからだ、と。
……信じる気は無いが。
「えっと……本日6時、我が城で舞踏会を開催致します。……シュランツ。」
「……シュランツ?」
と、反応したのはネオラ。
「知ってるんですか?」
「まあ……。ってことは、先に来ていたのはシュランツだったってことかな?」
「ほぼ間違い無いでしょう。赤ずきんさん。ここからそのお城まではどのくらいかかる?」
「そうですね……。歩きで30分程ですかね。」
「おばあさんもそこにいると思う。僕達は城に行くから、赤ずきんさんも一緒に行かない?」
「は、はい!お願いします!」
そうして少年達は、城に向かう準備を始めた。
こんにちは、そしてはじめまして。
アフロ月です。
灰色図書館を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。
この第二章……然り試練1の話は、赤ずきんの話ですね。
一度童話をもとに話の構成をしてみたかったので、とても楽しく書けております。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう!
Thank You!