第一章「試練1-1」
少年は15才くらいのイメージで書いてます。
ネオラさんは20代前半のイメージです。
それでもしっかりしているのは少年なんですね。
第一章「試練1-1」
「いてて……。」
古びた廃墟へやって来ていた少年と、ネオラ。
茶髪の少年の上には、緑髪で髪の長い女性ネオラが座っていた。
「……地味にクッションの役割になってますよね?」
「そうだね、ありがとう少年。」
ネオラは少年の頭を優しく撫でた。
いや、そういうことではなくて……。
「退いてくれませんか?」
「……あ。そうか、ごめん少年。よっ……と。」
ネオラが立つと、少年もゆっくりと立ち上がった。
辺りは暗く何も見えない。
「ネオラさん、光をお願いします。」
「はーい。ライトニング・キープ。」
ネオラが右の手のひらを上に向けて言う。
すると、小さな光が浮かび上がり周りを明るく照らした。
「ありがとうございます、ネオラさん。」
「それはいいけど……少年。どうする?」
「決まってるでしょう。進むだけです。」
「うへぇ…………。」
少年とネオラは落とし穴に引っ掛かり、ここまで落ちてきたのだ。上を向くと穴は見えるが、届きそうもない。
代わりに、周りが照らされたことによって発見出来た通路を進むことにする。
木材で作られたこの部屋……まるで坑道だ。
「少年やだよぉ……私、暗いの苦手なんだからぁ……!」
「嘘つかないでください。さっきまで普通に会話してたでしょ。」
「ちっ。」
「置いていきますよ。」
「それはやめて!?」
少年は一つ溜め息を吐いて、ネオラと共に通路を歩いていった。
・・・・・・・・・
「……?」
「どうしたの少年……って、あれはまさか……。」
「灯りですね。行ってみましょう。」
先に見える灯火に向かう。
近付いて分かったが、そこは大きな広間になっていた。
「これは……すごいね。」
ネオラも感嘆の声を出している。
広間にはとても大きな本があった。否……本というより玉座だろうか。
周りが本棚で囲まれているのに、その玉座が一番に目に入る。
「なんだ……これ……。」
呟きながら近付く少年。
「あ、こらー。危ないよ少年。」
ネオラも近付いてみる。
すると、ネオラの足下からカチッという音が聞こえた。
「え。」
「ん?どうしましたネオラさん。」
少年が振り向くと、ネオラは固まっていた。
硬直ではない。ネオラの身体が石になっているのだ。
「ネオラさん!?一体何が……。」
キョロキョロと見回す少年。何も無いようだが……。
「仕方無い……ネオラさんにはここで安らかに……。」
「ダメだろ!?」
と。
少年にツッコミが入った。
どこから現れたのかは分からないが、現れたのは小さな女の子だった。
背の高さは少年と同じくらいで、金髪をボサボサに伸ばしていた。
頭には何故か輪っかが浮かんでいる。
「……いや誰?」
「え。ああ……私ですか?私は天の使いです。」
どうやら頭がおかしいようだ。
「すみません……僕、あなたみたいなのに構ってる暇無いんですけど。」
「ちょっ、それ酷くね!?」
「天の使いがそんな言葉づかいするわけないでしょ。」
「最近の天の使いは個性があるんです。それで少年よ……。」
「はい。」
「あの女を助けたいか?」
天の使いは指す。その先には石になったネオラがいた。
「ええ。もし死んだらそれは困ります。バイクに乗っけてくれる人がいなくなるから……。」
「では少年。本の試練を受けるのです。」
「……本の試練?」
聞いたことがないな。
そんなことを思っていると、天の使いはこう言った。
「少年……きみは記憶を失っていますね?」
「……!!何故それを……?」
このことはネオラしか知らないはずだが……。
天の使いは何か知っているのだろうか。
「記憶を取り戻したいのなら、試練を受けてもらいたいのです。」
「待ってください。あなたは僕の何を知っているんですか?」
「いや、きみのナニのことは知らないですけど……。」
「ニュアンスが違う。それでどうなんですか?」
「試練をクリアしたら分かるかも。」
「…………。」
教える気は無さそうだ。
少年は諦めてこう言った。
「本の試練。受けます。」
「よろしい。ではご武運を。」
…………待て。ご武運?
「ちょっ。」
少年が疑問を口にする前に、身体が石のように固まった。
・・・・・・・・・
「………………。」
気付くと。どこか知らない場所にいた。
森のような、とにかく草木が生い茂った場所に。
一応草が削れて道は出来ているが…………。
辺りを見回すも景色は変わらない。
すると。
「…………あれは……。」
足音が聞こえてそちらに顔を向けた。するとどうだろう。赤い頭巾を被った女の子が歩いてくるのだ。
近くまで来ると、その女の子はこんにちはと挨拶をしてくれた。
「こ、こんにちは。」
とりあえず挨拶を返す。
女の子はそのまま歩いていった。
「……いやいや、このままじゃダメだ。折角人間を見つけたのに。」
少年は女の子を追いかけた。
「すみませーん。」
「……?」
女の子は気付いたようで、こちらに振り向いた。
「あの、少し聞きたいことがあるんですけど。」
「なんですか?」
「ここ……どこですか?」
「……森です。」
至極当然のように言われた。
「……あー、じゃなくて……記憶喪失……?で、自分の名前すら覚えてないんです。どこか休める場所はありませんか?」
「そ、それは大変ですね……。いいですよ、案内します。その代わり、おばあちゃんのところに寄ってからでいいですか?」
「うん。ありがとう。」
良い人でよかった……。
それにしてもおばあちゃんのところに?
ますます良い人じゃないか……。
少年は涙ぐんだ。
「こっちです。」
「あっ、はい。」
少年は女の子の後ろについていった。
森にはたくさんの動物がいる。木にはリスがいて、木の実を一生懸命に食べていた。
歩き始めて10分。
森を見ながら歩いていた少年に、女の子は話しかけてきた。
「本当に何も覚えてないんですか?」
「……はい。」
「それは……困りますよね。気付かないで挨拶なんかしちゃって……すみません。」
「ええ!?いや、いいよ?」
……本当に良い子。だけど……。
「本当すみません……すみません……。」
少々良い子すぎる。
少年は咄嗟に話題をかえた。
「あ、ほら、名前!名前を教えてほしいな!」
「あっ、それはそうですね。失礼しました。……私、赤ずきんといいます。」
…………え?赤ずきん?
それって名前でいいの?
「なんか、コードネームみたいだね。」
「は、初めて言われましたよ。……と、もうすぐおばあちゃんの家です。」
「……ああ。あれか。」
見えてくる一軒の家。
木造建築だ。
赤ずきんはおばあちゃんの家だって言ってたけど……おばあちゃんは紫ずきんとかかな?
「おばあちゃーん!私だよー!」
扉の前で声をあげる赤ずきん。
すぐに家の中からドタドタと喧騒が聞こえてくる。
すると。
「どなたか知らないけど、いらっしゃーい!いやぁ、まさかすぐに人に会えるなんて思わなかったよぉ!!」
おばあちゃん?
おばあちゃんにしては若すぎないか?
っていうか……。
「あれ?少年?」
「ネオラさん……?こんなところでなにを……?」
……意外にも早い再会だった。
こんにちは。そしてはじめまして。
アフロ月です。
灰色図書館を読んでいただき大変恐縮です。
いかがでしたか?
稚拙な文章で理解しがたいところがあれば、私の勉強不足です。申し訳ありません。
ネオラさんは暗いところが苦手です。
暗いところが苦手な人はたくさんいますが、皆さんはどうですか?
私は暗いところに点々と火が灯った坑道みたいな場所が好きです。冒険している感じが出てきてワクワクします。
……どこから話がずれたっけ……。
さ、最後に!
後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。