序章「記憶」
どうも。アフロ月です。
灰色図書館ですが、これはファンタジー世界でのお話となっています。
色シリーズと称したこの作品で、是非少年と妖精の冒険をお楽しみください。
「萌葱色の変奏曲」もどうぞ。
序章「矛盾した記憶」
記憶を捨てたことを覚えている。矛盾したことなのかもしれないが、それでも「その記憶」が正しいことは知っていた。
「ここに本がある……いや、ここが本の場所?」
「そうだと思います。」
「わ、分かっているわけじゃないんだ……。」
ある少年と女性の会話。
その光景を第三者が見たら、ほとんどの人は羨ましいと思うだろう。
顔立ちの整った茶髪の少年に、絶世の美人と言っても過言ではない緑のロングヘアーの女性。事実、二人を見てヒソヒソと話をする通行人がまわりにいる。
例え二人の会話に、少しでも違和感を感じることが出来たとしても、歩行者や通行人には関係の無いことなので、羨ましいなどと、とても残酷なことを思ってしまうのだろう。
「……っと、着きました。ここです、ネオラさん。」
しばらくすると少年は目的の場所に着いたのか、足を止めた。つられてネオラも足を止める。
「ここなの?少年。」
「間違いない……と思います。」
「……やっぱり不確かだね。」
たはは、と苦笑するネオラ。二人がやってきたのは町のはずれにある、今にでも崩れそうな廃墟だった。
古くなった扉を開けると、埃だらけでとても人が住める場所ではない。
「少年よー、本当にここなの?」
「恐らく。記憶なんて、元々歪で曖昧なものですから。それに、僕の場合はその記憶が抜け落ちてますからね。」
だらけた顔のネオラに、微笑みで返す少年。
一拍おいて、ネオラはため息をはいたのち、そのまま言葉を続けた。
「……そうだよね……。じゃあ、取りに行くしかないわけだ!」
「そういうことです……!行きましょうわっ!」
「ええっ……えあちょちょちょ!!!あーー!!」
廃墟の中へと駆け出すとともに、作動した落とし穴。
二人の声はその闇の中へと消えていくのだった。
記憶を捨てた少年の愛、哀しみ、出会い、別れ。そして希望と「本」に満ち溢れた妖精冒険譚、ここに開幕!
こんにちは。そしてはじめまして。
アフロ月です。
灰色図書館、いかがでしたか?
稚拙な文章で読みづらいとお思いになられたところがあれば、それは私の勉強不足です。申し訳ありません。
さてさて……少年には記憶がありません。名前も覚えていません。
いつか取り戻してほしいです。名前って、大事なものですからね。
最後に、後書きまで読んでくださった読者の皆様に感謝を込めまして……またお会いしましょう。
Thank You。