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ZEROの彼方  作者: おはぎ
第一話
9/19

第一話(9)


『大丈夫ですか…?』

彼方は、今だに座り込む下村に右手を差し出す。

しかし、


『ッ!』

咄嗟の反応か… 怯えた表情で縮こまった。

彼方は薄く微笑み、赤く輝く左眼を左手で押さえ、


『怖がらせて、すみませんでした』

頭を下げる。 左手を外すと、左眼は、普通の黒眼に変わっていた。

『そん-!』


『彼方ーーーーー‼‼』


今更の様に慌てて起き上がろうとした下村を遮る様に、凄まじい怒鳴り声が響いた。

その声の主は、すぐに彼方達が居る病室に辿り着き、


『ちょっと‼ 何で、いつも置いて行くの⁉ アンタは、いつでも暇だからすぐ出発出来るかもしれないけど、私は色々忙しいの‼ 何回言わせるのよ⁉』


まくし立てる様に、彼方の鼻先まで近付き言い放つ。

現れたの、十代後半であろう少女。


長い黒髪は、真っ直ぐ背中まで伸び、身長は彼方とほぼ変わらず、女性にしてはやや高め。

意思の強そうな大きな瞳は、怒りに燃えていた。


レイ、ちょうど良かった』


彼方は、困った様に頭を描きながら、

『倒れてる医者…ってか、諸々の怪我人の治療を頼むよ』

『…本当に、勝手なんだから』


零と呼ばれた少女は、怒りが収まらない様だが、廊下に倒れてる医師達に近づいて行き、《白い紙》を取り出す。

その紙を、倒れている医師と看護師、更に少年達に張り付け、


治癒光符チユコウフ


唱えると同時に、紙から光が発し、対象者を包む。


『何を…⁉』

『大丈夫。 治療してるだけですから』


『終わったよ!』

零は、振り返り次は田中 健太の傷も治す。

死んではいるが、見た目の外傷はほぼ完治。


『本当に、巻き込んですみません』

彼方は、もう一度、下村に頭を下げた。


『日野君…詳しく説明して』


下村の台詞に、

『それは出来ません。 零、頼む』

厳しく一蹴し、

『…分かった。 私からも謝ります。

すみませんでした。 そして、今から貴女の記憶を消します』

またも、白い紙を持った零が下村に近づく。


『えっ⁉』

下村が反応するより早く、白い紙…符が胸に張り付き、


憶崩符オクホウフ


符が、光ると同時に身体に力が入らなくなり意識が遠退いて行く。



『日-…』


呟く最後に見えた、彼方の表情は厳しい眼差しのまま。


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