少年妹たちと遊ぶことにする
この世界の吸血鬼は、家族や親しい友人、恋人からしか血を吸わない。
太陽に焼かれもしないし、十字架が弱点でもない。
当然にんにく料理だって食べるし、見た目も人間に近い。
しかし、人間にはできない無数のコウモリへの変身ができたり、傷の治りがはやかったりする。
そしてなにより、魅了の魔法を得意としている。
これは、老若男女問わず強力であり、普通の人間は簡単に操られてしまうため、法律で使用が禁じられている。
何故今急にこんな話をしたかというと…
「やはりにいさまにはきかないのですね…」
「あにさまはやはり特別なのですね…」
たった今、双子姫で吸血鬼な妹たちに魅了をかけられそうになったからである。
「ミラもミナも、いくら僕には魅了がきかないとはいえ、使うのは法律違反なんだよ?使っちゃいけないって、僕は何度も言ってるよね?」
「すみませんにいさま…」
「ごめんなさいあにさま…」
「…はぁ、まぁいいけどね…僕以外に使わないなら」
「それはつまりにいさま」
「あにさまをメロメロにして良いという事ですね」
「ちーがーいーまーす。僕にだって、ほんとは使っちゃダメなんだからな?」
「ですがにいさま?」
「あにさまにはきかないですよね?」
「ならにいさまで練習しても」
「あにさまの迷惑にはならないはずです」
「それは…そうなんだけど、これは気持ちの問題だよっ。…きかないといっても、オートで「リフレッシュ」の魔法がかかるだけで、一瞬へんな気分にはなるんだぞ?」
「それは本当ですか?にいさま?」
「あにさまにも少しだけかかっているのですね?」
「そういうことだ」
「にいさまにもかかる…」
「これはあにさまから良いことをききました」
「ではにいさま?」
「おままごとをはじめましょうか?あにさまっ」
「…なにか釈然としないけど、了解。…今日はどんなシチュエーションでやるんだ?」
「今日は久しぶりに王道が良いです、にいさま」
「ミラとミナがお嫁さんです、あにさま」
「つまり僕は二人のお嫁さんを持つ夫の役?…まぁ、たまには良いかもしれないね…いつも(二股がばれた彼氏役等)よりはましだしね…」
「ではにいさま?一度外に出てください」
「良いというまで入ってはダメですよ?あにさま?」
「わかってるよ。…それじゃあ?準備ができたら呼んでくれ」
「はいっ!にいさま、楽しみにしてくださいね?」
「今日は久しぶりなので、しっかりと甘えさせてもらいますね?あにさま」
そう言って双子姫はそろってウインクしてくる。
「りょうかーい」
俺はそれを後ろ目に、部屋から出た。




