少年と異世界の神様
「んぅ？ここはどこだろう？」
車に跳ねられて意識を失った僕が目覚めたのは、何もない真っ白な空間だった。
「死後の世界ってやつかな？…でも僕、三途の川を渡った記憶が無いよ？どうしてだろう…？」
フフフッ
「ん？今何か聞こえたような…」
フフフフッ
「やっぱり何か聞こえる？」
ハーッハッハッハッ
「誰？誰なの？…もしかして神様！？」
フッハッハッ
その通りだ少年っ！
とうっ
っすた
「わぁ！？」
「初めまして少年っ！私が神様だっ！」
そう言って僕の前に現れたのは、とてもかわいい美少女だった。
「君が…神様なの？…は、初めまして。僕は…えーっと、誰だっけ？」
「ふむ。やはり成功のようだなっ！フハハハッ」
「成功？…って何のことですか？」
「フハハハッ！少年に施した、記憶を消さずに名前と存在のみをリセットする奇跡のことさっ！フハハハ」
「奇跡…ですか？何で僕なんかに奇跡なんかを？」
「ふむ。そうだな、そこから説明せねばならぬなっ。」
「説明していただけるのですか？」
「フハハハッ！無論だっ！何故なら説明せねば施した意味がないからなっ！」
「そうなのですか？」
「うむ。その通りだ、少年よっ。すべては少年を我が世界に転生させるためだからだっ！」
「転生！？…それっていわゆるテンプレですか？」
「フハハハッ！テンプレではあるな。まぁ…少年に選ばせるのは、自らの種族と両親の種族のみだがなっ！」
「それだけですか？…まぁ、良いですけどね…転生しても、普通に生きられそうなので」
「フハハハッ！やはり少年は面白いなっ。それで？どんな種族を選択する？種族だけで十はあるぞ？」
「いや、普通に人間でお願いします。もちろん両親とも人間で」
「フハハッフハハハ、ハーッハッハッハッ！やはり少年は面白い。…本当に面白いな、少年よっ」
「そうですか？人間って普通だと思うんですが…」
「フハハハ、まぁ、そうだな。たしかに普通だっ。フハハハッ」
「それで？具体的にはどんな世界なんですか？あなたの世界というのは…」
「ふむ、そうだな。…強いて上げるなら、ゲームのような世界だなっ！フハハハッ」
「ゲーム…ですか。それはつまり、魔法などが存在すると？」
「フハハハ、その通りだ。いわゆる剣と魔法のせかいだなっ！当然世界観は中世ヨーロッパ風だっ！」
「うわっ、ほんとにテンプレですね。…それで？僕はその世界で、具体的に何をすれば良いんですか？」
「フハハッフハハハッ！いやなに「普通」に生きてもらってかまわんよっ「普通」になっ！フハハハッ」
「そうですか？それはありがとうございます。…なんだか悪いですね？理由を伺っても？」
「それはだな、少年が面白いからだよっ…見ていてな」
「そうなんですか？…まぁ良いですけどね。精一杯普通に生きさせてもらいますね」
「うむっ。よきにはからえっ！それでは、いよいよ少年を我が世界に転生させるぞっ」
「もう…ですか？はやいですね？…まぁいいです。情報は転生してから集めることにします」
「フハハハッ！それではいくぞ？準備はよいか？」
「お願いします」
「では少年…いや、○○よっ。これからも我を楽しませてくれよ？…転生っ！」
そうして僕は、光に包まれた。
