Wizard's rule
ご指摘大歓迎!
「わかったら早速、会社に行くわよ」
全部一通りほぼ一方的に2時間程度夢みたいな話をされた後に彼女は立ちあがった。
なんでも俺は俗世でいう魔法使いの端くれらしい。
そもそも魔法なんてないだろ。とかそんな質問は愚問らしい。現に彼女も魔法使いらしく、
目の前で炎を出したり物を曲げたり超能力かと思うぐらいの奇妙な体験をしたあとからでは何も言えない。
あと魔法使いにも色々な区別があるらしい。区別ってのはどんな魔法が得意か得意じゃないってことらしい。
例えば彼女は物を燃やすことが得意な部類らしい。
ちなみに俺は物を出現・召還することに長けている部類らしい。なんでもこの部類は特別らしい。
世界に10人ぐらいしかいないそうだ。というのは出現・召還はなりたくてなれる部類ではないらしい。
なんというか・・・生まれ持った才能らしい。
まぁ、なんにもしたことないけど。そこんとこはまだおいといていいらしい。
というかまだベットの上だ。今はいけないと意志を伝えると
「じゃあ、卒業式の日に迎えに来るからね。」
やっと眠れる・・・と思ったら
後にこんな疑問が生まれてきた。
「・・・あの・・・」
「ん?なあに?」
「魔法使えるんなら尚更、助手なんて存在いらないんじゃないですか?」
「あー、それね。それについてはね。実は仕事の内容に“異端の処理”って内容もあるのよ」
「いたんのしょり?」
「あのねえ、魔法っていうのは凄い強い力なの。それを人間如きの器から発するのは本当は精神的にきついことなのよ。
それで強すぎる魔法の力・・・魔力っていうんだけど、それに精神をのっとられてしまう人が出てくるのよ。」
-------------意味わかんねえ・・・
「それで乗っ取られた人のことを魔法使いの間では総称して“異端”と言うのよ。」
「・・・・んー、それで乗っ取られた人はどうなるんですか?」
「精神が破壊され自我が消滅。乗っ取った魔力にもよるけどほとんどが破壊衝動か殺人衝動を起こして
大変なことになるわ。だからそうなる前に異端を殺すの。」
この仕事、給料高いのよねー♪ なんて血なまぐさい事を呟く彼女に鳥肌が立った。
「それ・・・って・・・でも・・・でも殺すなんてあんまりじゃないですか。助ける方法はないんですか?」
「ない訳じゃないけど・・・でも凄く手間がかかるの。それに自業自得よ。
乗っ取る自我を持つほどの魔力は禁忌の一つなの。その魔力を手懐ければ大したものだけど、ほとんどは飲み込まれるわ。
だから禁忌は重罪なの。すごくすごく危険だから。だから貴方も禁忌には手を出しちゃ駄目よ?
私が貴方を殺すことになるんだからね。]
「・・・・・はぁ・・・・」
なんだかすごく胸糞が悪い。話の内容が凄く理解できないからだ。
そしてイライラしながら話を本題に戻した。
「それで・・・なんでその異端処理になんで俺なんかが必要なんですか・・・話を聞く限り殺し合いでしょう?
ならますます俺がいらないじゃないですか。」
「ああ、だから貴方は出現・召還の魔法を使えるでしょう?それって凄くね・・・うん、貴方の言葉を使うなら殺し合い向きなのよ。貴方の魔法」
それにね、と彼女が続ける。
「私は分け合って今、人を殺すほどの大技が使えないのよねー。本気出せたらこの島国なんてすぐ沈められるんだけど」
後半は意味不明だが前半で少し話の内容がわかった。つまり
「・・・・今は全然力が出ないのでかわりに貴方に戦ってもらおう。・・・そういうことですか?」
「うん。まあまとめるとそんな感じね。」
しれっと。彼女は言った。
駄目だ・・・この人何も分かってない。
「あのう・・・少し勘違いしてると思うんですけど・・・僕、運動とか全然だめでましてや戦うなんて
できるわけないじゃないですか。そこんとこわかってください。喧嘩なら一年の苛められっ子にも負ける自信あります。」
「だーかーらー、言ったじゃない。貴方の魔法は戦闘向きなの。・・・あー、良いわ。じゃあ今証明すればいいじゃない」
「証明?」
「出現はまだ無理だし・・・召還よ。貴方の痣はね、特殊な文字になっているの。その文字に書かれているのは召還物の名前。
つまり貴方が召還できる物の名前よ。でもなんて書いてあるかは私にはわからない。
それに召還物は虫かもしれないし植物かもしれない。何が召還できるか。そこんとこはよくわかってないんだけど。」
あー、もうヤケクソだ。言うとおりにしてみるか
「んで、どうやって召還するんですかね。」
「貴方はこれからあなた専用の“穴”と呼ばれるところに行ってもらうわ。そこにその召還物が眠っているから起こしてきなさい。
起こし方は何でもいいわ。ぶったたくなり蹴飛ばしたり、とにかく文字通り寝ているから起こしなさいよ」
「それで・・・穴はどこにあるんですかね」
「貴方の心の中よ。」
「ハァ?」
「だから、貴方の心の中。入り方は簡単よ。今から言う言葉を唱えて眼を閉じるのよ。そうするだけで行けるわ」
なんかすげえ魔法っぽくなってきて恥ずかしくなってきた。
「言葉はねえ・・・うーん、日本版でいいかなぁ・・・まあいいや。」
そういって彼女は紙とペンを取り出した。なかなか準備がいい。
「言葉はね。口で言える物じゃないの。というと言葉は一人ひとり違うから」
紙に書いたのは四角の箱のような図。その図の上になにやら怪しい英語みたいな文字が並んでいる
「この中に字を一文字入れれるわよ。どんな字にする?直感で答えなさい」
「え?」
「だから文字。漢字ひと文字だけよ。直感で思い浮かべなさい」
わけわかんないな・・・・・・直感かぁ・・・・うーん
「枉」
「え?なに?」
「え・・・自分でもわからない・・・何だ今の・・・その図をみてたら勝手に口が動いた!意味分かんない!!」
「うん。それね。それを思い浮かべて眼お閉じてイメージしなさい」
言われたとおりに眼を閉じる
「30秒後眼を開きなさい。それまでずっとその字をイメージすること。」
言われたとおりにする。それにしても見たこと無い漢字が勝手に浮かんでくるなんて・・・
読み方も意味もわからないけどそれをずっとイメージしてみた・・・
そろそろ・・・たったかな・・・? !!!???
「!!!!???」
周りの気温が下がったような感覚。体中が溶けるような感覚。
明らかに診療所じゃない。だって・・・決定的に何が違う。
眼を開けるのが怖い。でも・・・眼を開いた。
俺は個室にいた。周りは黒い。天井も床も。
その部屋の真ん中に・・・ドロドロしたぐちょぐちょの液体のような物が山状になって蠢いていた。