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第1話⑤ 出会い──それは突然に あとついでに運命的に

「おやすみ」

 私はそう言って、ドアを閉める。

 十時。いつもよりちょっぴり早く私はベッドにはいった。

 今日はなんだか疲れちゃったな……。

 疲れちゃったのに、なんだかベッドに入る気も起きない。勉強机の椅子に座ってぼんやりとしてた。

 疲れてるけど、頭がすっごいモヤモヤしてて、寝るって気分でもない。

 私の頭の中では、さっきの正樹の言葉がグルグル回っていた。

 最近の正樹はガサツだけど、ちょっと鋭い……。

 だから、さっきの言葉の意味を考えちゃう。

 正樹は、私が小五のころトラブルがあったことを知ってる。正樹には不思議と色々話せるの。

 だから、私からトラブルの匂いを感じ取ったのかも。

 ふと窓の外を眺めると、星がキラキラしてた。

 太陽はまぶしすぎるって感じることも多いけど、星のキラキラは好き。

 暗さに負けずに輝いてて、なんだかがんばってる感じがするの。まぶしくないし、私にはちょうどいい。

 ……ん?

 星の一つが動いてる。飛行機かしら。

 と思ったけど、右にフラフラ左にフラフラって感じで、全然安定しない。飛行機には見えない。

 窓を開けてベランダに出る。なんかUFOみたいだから、スマホを取り出してカメラを向ける。

 レンズ越しに、フラフラ星は綺麗に見えた。

 あら……?

 私は異変に気付く。ズームしてないのに、フラフラ星がおっきくなってゆく。

 なんでだろう……。

 と思ったのもつかのま、フラフラ星はどんどん大きくなって、私の方へ向かってくる。

 え、なに、どういうこと⁉

 私は逃げようとする。でも、もう遅い!

 まぶしい!

 目の前が光に包まれる。

 ゴツン!

 私は頭に何かがぶつかった感じがした。

 痛さとまぶしさに、しりもちついちゃう。

 おそるおそる目をあけると、まぶしさは消えていた。

 なんだったんだろう……。

「あいたたたた……」

 ほんと、いたかったよう……。

 って、あれ?

 今の声、私じゃない。

 誰?

 神経をとぎすませて、周りに注意を向ける。

 そこで初めて気づく。

 お腹に、何か乗ってる!

 目を向けると、そこには人形が乗っていた。

 手に乗りそうなほどの、人形。

 15センチくらいかしら。

 白と黒のドレスを着てる。スカートにはフリルがついてて、かわいらしい。

 均整の取れた顔立ち。大きな瞳、小さな鼻。

 髪はオレンジ色。後ろで一つのおさげにしている。

まるでお人形さんみたい……ってほめ言葉あるじゃない? そういうときに使われる「お人形さん」って感じの、美しいお人形さん。

美しくて、かわいいの。

 思わず目を奪われる。こんな人形見たことない。

 まるで生きてるみたい。神さまからの入学祝いかしら。

 そんなことすら思っちゃう。ふだん神さまのことなんて考えないのに、こーゆーときだけ神さまのことを考えちゃうのよね。

「あー、いたいなぁ~もう」

 さっきと同じ声だ。

 人形の方から声がする。

 え……まさか……そんなわけ……。

「あ、こんにちは! あなただれ?」

 人形は私に気づき、そう言った。

 まちがいない。人形がしゃべってる!

 人形はそのまま私のお腹から降りて、顔に近づいてくる。

 動けるなんて……!

 よく見たら、人形じゃない。

 肌が、ちゃんと肌なの!

 つまり、焼き物とか布とか木じゃない。

 人間の肌!

 小人、と言った方がいいかも。

 その小人は、私の目を見て言った。

「あたし、マーシャ。あなた、だれ?」



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