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9.同接10億人オーバー

龍刃とユンランの不仲は有名で、それはユンランが原因で龍刃が一方的に無視していることも周知されている。各企業――特に日本の企業は龍刃の顔色を窺い、龍刃と仲が良いハンターが所属する国は中国へマウントを取ることもしばしば。


世界ランカー同士の不仲の影響は多岐に及ぶが、所詮は個人間の問題でしかない。なので中国政府だとしてもユンランへ責任の追及は出来ない。したところで『システム』が、「個人の問題に何言ってんだこいつ等???」とペナルティを与えるだけ。


実際にユンランへ責任の追及をした政府の数人はペナルティを食らったので、今では早急な仲直りを祈るだけ。


手段を選ばない筈の彼等が大人しくなったのは、『システム』による各国政府への容赦の無い強制的な改革に対する恐怖もあったのだろう。現在でも消息不明となっている各国の政治家は大勢いるから。シンプルに恐ろしい。


実態が無いからこそ。『イグドラシル・システム』はこの世界の支配者――『神』として君臨できたと云うことか。各宗教からすると怒りしか湧かないが、だとしても実態が無い上に争いを起こす者は“処理”されるので従うことしかできない。


しかし『システム』が宗教を排除する気配はないので、恐らく……「元々は『システム』が我々を導く存在として“神”を生み出したのではないか」――と。年月をかけ、彼等はそう解釈を変えていくのかもしれない。


無神論者なのに神道を信じ様々な宗教に寛容な日本人だからこそ。何の違和感も無く真っ先に『イグドラシル・システム』の支配を受け入れ、現在でも心穏やかに過ごすことが出来ているのだろう。


そんな、無慈悲で寛容な『システム()』が支配するこの世界。対抗する手段が一切無く、所詮は“無力な人間”なのだと。その事実を知らしめられた者達は龍刃とユンランの関係改善を只管に祈るしかなく、だからこそ……


今。只々、驚愕するだけ。







「イェーイっユンランファン観てるー?」


 :突然のNTR

 :クソワロ

 :お前彼女(仮)どうした

 :【※速報】龍刃、ユンランとの不仲解消

 :ユンラン=彼女(仮)説

 :すまないがホモ以外はry

 :不仲はブラフか


「いや彼女のお陰で許しただけ」


「いい子だよな、あの子」


「は? 俺の彼女なんだけど。何お前、狙ってんの? また無視すんぞコラ」


「彼女ちゃん逃げろ。本気で逃げろ。俺も手伝ってやるから直ぐ逃げろ」


「なんなのお前等、揃いも揃って」


 :もうイジられてんの草

 :【※速報】日本製魔道具、中国への販売制限見直し

 :判断が早いw

 :おおおお!おめ!

 :龍刃!ユンラン許してくれて感謝!

 :欲しかった魔道具ページ更新しまくってる規制緩和早く!

 :他国の知り合い挟んでも規制商品中古すら買えずシステム有能過ぎて泣いてたから早く!緩和早く!

 :手渡しで手に入れても使えなくて絶望してたから嬉しい緩和お願い!

 :中国人テンション上がっててニッコリしちゃう

 :前は中国人嫌いだったけど不憫過ぎて慰めてたら仲良くなった俺

 :ソロ高ランカー龍刃の手前、企業困ってたよな


「あー。それなー。別に好きに売ってて良かったのにな」


「無理だろ。高ランカーに忖度しなきゃ株暴落するっつの」


 :魔改造大好きな日本の魔導具えげつない品質だから世界中で大人気

 :経済爆回り&給料高額になったら技術者戻って来て好き勝手魔改造してんの大草原

 :尚、戻って来た理由第一位「和食が至高」

 :wwwこれだから日本人はwww

 :マーケットでも輸入禁止物は注文出来ないからなあ

 :システム、生態系完璧に保護しててぐう有能

 :給料上がったからって大前提はあるけど、結果的に食べ物だから日本人ほんとバカ

 :中国政府とか普通に圧力かけて来そうなのに何で沈黙貫いてたの?


「ってよ、ユンラン」


「あ? あー……ほら。『システム』が色々改変しただろ。中国(うち)もめちゃくちゃメス入れられて、当面は自国優先」


「国同士で揉めてる場合じゃねえしな」


「あぁ。最低限の駆け引きは続いてるだろうけど、今は防衛っていうか……魔物殲滅の為に資金ぶっ込んでる」


「国土あるとこは大変だなー」


 :なんの話?

 :いつか起こるダンジョン外での魔物発生に対する殲滅の話

 :アレまじなんか

 :なに。今日注意喚起配信?


「今から潜る。その前に、取り敢えずユンランファンに喧嘩売っとこっかなーって」


「性格悪いよな、お前」


 :今更

 :今更

 :なにを分かりきったことを

 :待ってwwwユンランスレ過疎って龍×雲スレ爆誕www

 :喧嘩売ったら秒で喧嘩売られる龍刃www

 :PINKコミュでやれよ腐女子共

 :住み分け、だいじ

 :ほんそれ


「なんで『雲』?」


「俺の名前。漢字で雲に嵐って書くこともある」


「把握」


「お前、彼女ちゃんに説明しとけよ?」


「要らねえ。彼女、腐女子だし。今爆笑してんじゃね」


「通信繋ぐな」


 :通信www

 :はよ潜れw

 :自分のリアコにも喧嘩売ってくスタイル龍刃

 :【※速報】龍刃彼女(仮)は腐女子

 :速報職人、彼女(仮)も推し始めて草


「切られた……」


「ほんっと良識あるいい子だ」


 :切られたwww

 :当然www

 :ショック受けてんのバカ過ぎ

 :てかユンラン、彼女(仮)と面識あんのか


「ショッピングしてる時にちょっとな。取引で連絡先交換した」


「くそムカつく絶対ブロックさせる」


「『モラハラ嫌い別れる』ってまた言われるんじゃね?」


「ごめん違うブロックさせないから別れるとか言うな絶対別れないからな結婚して可愛い」


 :龍刃が謝った……だと……?

 :誰だよお前

 :俺達の龍刃を返せ

 :しれっとプロポーズすんな

 :また語尾可愛いなってて草

 :【※速報】龍刃、謝罪の概念を知ってた

 :速報職人www

 :で?魔物災害まじ?


「何の為に『神ID』現れたか想像してみ」


 :思考放棄したい

 :龍刃様俺達を守ってください

 :日本を頼みます龍刃様


「彼女最優先だから無理」


「この最低野郎がトプランって日本大丈夫?」


 :お前はそういう奴だ(謎の安堵)

 :幻滅しました(知ってた)

 :ファンクラブ退会します(するとは言ってない)


「なに。お前のファン、ドMしかいねえの?」


「気持ち悪いだろ」


 :は?

 :は?

 :ファンやめるわ

 :ファン大切にしろや


「こーゆーこいつらが好きなんだけどな」


 :龍刃様♡

 :龍刃愛してる♡

 :俺達の龍刃♡

 :一生推す♡

 :来世も推す♡


「きっっっもちわるっ!!」


 :サーセンwww

 :慣れてwww

 :龍刃ファンはノリが特殊なもんでw


「おーっし。ユンランもリスナーに慣れたし、そろそろ潜るか」


「慣れてねえよ。いやもういい。早くやるぞ」







――配信終了後。ユンランから重要な話があると言われ、盗聴を懸念しセキュリティ完備の自宅に招いた龍刃。


正真正銘の自宅だが、現在はツバキの家に転がり込もうと半同棲中。なので、“自宅”の意味を成してはいない。


「で。話って何」


「ゆるねこちゃんだろ。『神ID』」


「……はあ?」


「そういうのいい。単純に、依頼。『転移』あるならオークションに出してほしい」


「……」


「睨むなって。政府は関係無い。個人的な依頼で、落札できなくてもこの件の一切は口外しない。どうせ『システム』が絡んでるんだろ? 口外してペナルティ受けたくねえよ」


「……」


「ゆるねこちゃん優しいけど、直接頼んだら流石にブロックされそうだからさ」


「されれば良い」


「独占欲えっぐ。可哀想」


「……ハァ。気付いてる事、ゆるねこに言うなよ?」


「あぁ。けど、お礼言えないってモヤるな」


「あー。じゃあ、金の使い方教えてやって」


「かね?」


「俺も色々教えて買わせてるけど、貯金アホな額行ってて減らないって泣きそうで可愛い。愛した」


「急に惚気るのやめてくんね? 別に教えるくらい良いけど。手っ取り早く無人島買わせれば?」


「あ、それ良い。魔物災害起きたらそこ拠点にしよっかな」


「名義でバレるのは良いのか」


「俺の名義で買うし」


「……逃げられないって、ほんとゆるねこちゃん可哀想。あまり迷惑掛けないようにしろよ」


「無理じゃね? リアコ大発生の“龍刃”だし。何で俺みてえな性悪にリアコ湧くんだよ。まじ趣味悪過ぎてウケる」


「顔だろ」


「お前が羨んでる?」


「……悪かったって」


「もう気にしてねえけどさ。俺は、ゆるねこやお前みたいな顔が羨ましいんだけど」


「は、……は?」


「老け難いじゃん。キツネ顔。すっきりしてるし、そっちのが良い」


「……なんだ、それ」


「――っつーのをゆるねこと話してて理解した訳。顔良過ぎる自覚あったら何も見えねえな、って。贅沢な悩み」


「性格の悪さは元からか」


「おう。因みにこの俺様キャラもロープレな」


「は?」


()に似合うでしょ」


「……もう、俺……お前が分かんねえ……」


「あっはははは! 皆良い顔するからやめられないんだよね、これ!」


愉快愉快。


笑い上げる龍刃をジト目で見るユンランは、しかし溜め息と共に頭を抱えるだけに終わらせる。ロープレをやめ本性を見せてくれるだけの信頼は得たのだと、解釈。


実際にダンジョン攻略中も互いに背中を任せていたので、その考えは間違っていないのだろう。とても動き易かった。パーティーメンバーにも先程軽く報告して、一度皆で組んでみないかと提案を送った程に。


返信がほぼ『ガチ勢コミュでの龍刃の彼女の噂は本当なのか』に関する事だったが、メンバーにゆるねこを紹介することは絶対に無い。また龍刃を怒らせたくはないし、『ゆるねこ』に関しては“怒る”では済まないと確信している。


普通に怖い。ソロの世界ランク一桁、こわい。


「まあ。それとなく促してみるよ。『転移』」


「頼む。――そういえば。買わせたのってキャンプ用品だよな?」


「うん」


中国(うち)にキャンプ必須のダンジョンあるんだけど来ないか? まだ誰も攻略出来てないから、周辺住人が不安がってんだ」


「行かない。ゆるねこと楽しむ為だけに買ったんだし」


「……頑張るしかないか。せめて『結界』スキルドロか、魔道具開発成功してくれればイケるんだけど」


「一晩中は『結界』スキルコスパ悪くね? そろそろ持ち運び用『結界』アイテム、『システム』からオークション出品の指示される予定だけど」


「、言い値で買う!!」


「1000万」


「安過ぎるだろ。持ち運びってことは、設置型も?」


「持ち運びはハンター向け。設置型はドロップまだだけど、魔物災害に備えて普及させるっぽいからその内。今日の配信で世間も危機感持つから飛ぶように売れるし。でも設置型は各家庭が持ったら魔物飽和して『システム』が効力消しそうだから、多くて5000万個。国にとっての重要施設や、日本なら避難所でのみ使用可能。海外は……家庭でシェルター持ってるから分かんないや。その辺は『システム』が上手く調整するんじゃない?」


「また泣きそうだな。ゆるねこちゃん」


「かわいい」


「会話をしろ。会話を」


「あ。持ち運びはダンジョン外で効力出るか分かんないよ。今のとこ、ダンジョン内はどこでも使えてる」


「買って検証するから構わない。家も高ランクとドラゴン素材で頑丈に作った。街も区画に分けて防壁の建設進んでるから、初動さえ対応すれば一先ず安心だろ」


「相変わらずスケール大きいよね。中国」


「日本は? 魔物災害への防衛」


「主要都市は防壁。あとは自衛隊とギルドにお金渡して、丸投げ」


「やっば」


「でしょ。政府内もまだまだ大改革中だし、手が回んないんだろうね。まあプロに任せるのは正解だから、間違ってはいないんじゃない?」


「区画整理して防壁作れば良いのに。魔物溢れてる中で生活って、無理ゲーじゃん」


「国土の75%が山だから。早急の防壁建設は難しいんだよ」


「あー……それは、確かに」


「それに。魔物災害始まったらダンジョンも消える可能性あるから、ハンターも街中に溢れる。人的被害は避けられないけど対処は出来る。夜間は知らない」


「……それ、死者出たらハンターが責められるんじゃないのか?」


「知るかーって話だよね。責任の押し付けって本当迷惑。僕はゆるねこ守れれば他はどうでも良いし、面倒になったら買った無人島行くだけだよ」


「好感度下落で会社が潰れても?」


「お金腐る程あるし。ゆるねこの貯金もアホな額だから、なーんにも困らないよ。買い物はボードで手元に届くし」


「ほんと、こんなのがトプランで日本大丈夫なのかよ」


「大丈夫でしょ。警察と自衛隊、正義感あるハンターも頑張ってくれるよ」


清々しいまでの他力本願。日本のトップランカーなのに、その立場に誇りも責任感も無い。


しかし、正論。龍刃は只、自分が楽しむ為にダンジョンを攻略しているだけ。世界中に魔物が溢れたところでそのスタンスは変わらない。


自分が楽しむ為に魔物を狩り、大好きな“ゆるねこ”を守ることが出来れば満足。流石に目の前で人が襲われていれば助けるが、そこに正義は無い。


ガチ勢としての自分の娯楽の為に魔物討伐を続けるだけ。


「他に話は?」


「無人島買ったら場所教えてくれ。バーベキューしに行く」


「やーだー。僕達の愛の巣には誰も入れませーん」


「かっゆ。きっも。本当に恥ずかしくないみたいだな」


「とーぜん。すれ違いで不安にさせるより、愛伝えて甘えまくる方が圧倒的に有意義じゃん」


「その前に好きになってもらわないとな。どうせ強要したんだろ?」


「お前は僕を傷付けた。言葉の暴力で刑事告訴も辞さない」


「なんでだよ。否定しないなら事実なんだろ」


「好感は稼げてるの! 後はこの顔でゴリ押すの!」


「性格悪いもんな」


「性格悪いって分かってて逃げないから勝機あるじゃん? そもそも逃がさないけど。結婚する」


「……かわいそうに」


「僕に近付いたゆるねこの自業自得」


「スライム討伐専門ならいつかお前から近付いただろ」


「実は前々から目ぇ付けてたんだよね。ソロの収集家でスライム討伐専門とか、保管庫に最適だし」


「うっわ……」


「で。ハンター活動と仕事が完全に落ち着いたから声掛けんだけど、龍刃(ぼく)を利用しようと近付いて来てさ。ラッキー!って囲おうとしたら『神ID』だったし、しかも優しいし癒されるしで僕が落ちたよね。我ながら単純過ぎてまじウケた」


「ゆるねこちゃん……不憫過ぎて涙出そう」


「うるさーい」


しっしっ。虫を払うように手を動かす龍刃に呆れるユンランは、それでも腰を上げ軽い挨拶。


一応玄関まで見送った龍刃は戸締まりを確認してから……


早速。


「たっだいまー」


「だから。せめて玄関にトんでってば」


「早く会いたかったから許して?」


「……ハァ」


ツバキの家。リビングのソファーにぼふりと着地。当然、ツバキの隣。龍刃の定位置と化しているので、ソファーで横になれない事が大変遺憾である。


テレビから流れているのは『龍刃・ユンラン、不仲解消』による『日本製魔道具の中国への販売制限緩和』の解説。配信終了から2時間も経っていないのに、皆仕事が早い。


「配信面白かった?」


「うん。ちゃんと格好良かったよ」


「知ってるう! 満足?」


「? ドラゴン戦、楽しかったから満足してる」


「なら良かった」


よく分からないと首を傾げるツバキ。どうやら本当に、龍刃が口にした『満足』が『ユンランとの不仲解消させて満足か』を指していると気付いていない。


普段は同じレベルで会話が成立するのに、やはりガチ勢同士のパワーバランスに関わる事には無頓着。少し考えれば思い至るだろうが、興味が無いので深く思考するという選択肢すら無い。




やっぱこーゆーとこ、“ゆるゆる勢”なんだなー。


僕達の不仲解消での、中国にマウント取ってた各国の出方とか。僕がメル達ブロック中だから、次はアメリカが各国からマウント取られるとか。


まあ、各国もバカじゃない。メル達ブロックは僕からの一時的な制裁だって分かってるだろうし、今回はぷちマウントに収めるだろうね。


いや僕もその辺りは気にしないけど。だからメル達ブロックしたんだし。ムカついたし。


僕は考えて気にしてないけど、ツバキは考える間もなく気にしてない。危ういよねえ。『神ID』の立場としては。


まあ。僕が守れば良いだけだよね。


神様もツバキを護るだろうし。




確認したかった事は終わり。と、アイテムボックスに手を突っ込む龍刃。


渡されたのは、大きな石。


「はい、お土産」


「ドラゴンの魔石渡されても」


「婚約指輪の代わりー、ってことで」


「ふたつの意味で重い」


「ほら。ポータブル電源やキャンピングカーの電池、ドラゴンの魔石でしょ。僕が居ない間に切れた時の予備。持ってて」


「そんなに使わないから、切れる瞬間は遠いと思うけど」


「だからさ、無人島買わない? 魔物災害起きた時の避難先に出来るし、お金も使えて一石二鳥」


「……良いかも。ちゃんと芝生程度の平地もあって、島の周囲がネズミ返しの崖になってる島が理想」


「僕の方で見付けようか?」


「お願いしたい」


「おっけー。――ところで。分かってる? 僕の名義で買っちゃったら、もう僕と別れられないし結婚するしかなくなっちゃうよ」


「払うのは私な件」


「僕が払おっかなー。そうしたら、『島に入りたいなら結婚して』って堂々と脅迫出来るし」


「脅迫と認識しているだけマシだと思ってしまうとか、もう毒されてるんだろうなー。私」


「ツバキって、時々自分のこと客観視?モノローグ?俯瞰した言い方するよね。かわいい」


「どこに可愛い要素が」


「好き過ぎて色々オカシくなってる自覚はある」


「ガチ勢のハマり方、怖い」


「ツバキと居たら落ち着くのが悪い気さえしてきた。これはもう、責任取って結婚してもらうしかないね」


「とんでもねえ責任転嫁。判断が早過ぎるよ。私の嫌なとこ、まだ知らないでしょう?」


「愛せる」


「そんな澄んだ目で」


「あれだよ、あれ。『君が僕を狂わせたんだ』」


「きっ……」


「今キモイって言おうとしたでしょ。良いよ、言って」


「気持ち悪い」


「あははは! 本当に言うとかウケる!」


愉快、愉快。


心底愉しそうに笑う龍刃には、もう呆れしかない。清々しく性根が腐っていて……


確かに、ウケる。




.

閲覧ありがとうございます。

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