15-3「建物探訪」
100話目です
既にシャールカーニ達には話してある「見たこともないドラゴン=龍」の仮説を再度話して、伝説なり他の【世界】からの来訪などについて知らないか聞いてみる
それと、この都市についても、だ
いくら何でもここまで発展してた都市が消えて産業革命どころか弥生時代以前の生活スタイルって退化どころか逆行しすぎにもほどがある
シャールカーニの年齢からみても、人類の生活スタイルは数千年余りも進化が止まっているのはなぜなのか
「ふむ
時折、今回のようなわしらも知らぬ生物がやってきて荒らしていくことはあった
程度は違えど、その時に人里が滅ぶこともあったやも知れぬの」
この都市にはどれくらい住んでるのか?
「シャールカーニが生まれる前からじゃのぅ」
5000年経って建物類がこんなにはっきり残ってるものなのか?
環境は違うとはいえ、もしかしてこれらも破壊不能属性がついているのか?
「ここに人が住んでいた、というのは見たことがあるだろうか?」
「いいや、こんななにもない岩山に人が住むわけがなかろう」
ドラゴンのサイズではそうなんだろうな
「人化して中に入ったりはしなかったのか?」
「何の意味があるのだ?」
そうか、家、という概念がなければ入る意味を持たない、理解できないのか
なるほど
「少しこっちの者だけで話がしたい」
またも推論になるのだが、この現状も把握したい
現地に詳しいシャールカーニと私、フレイアとメイドの弧月、ヴェルーリアとメイドの月輪、白夜とマーキュリーのメイドコンビと分かれて探索させて貰うことにした
現状ではコンビで最低1名ずつは無反動砲を使えるから、探索中に襲撃があっても即対応可能だろう
シャールカーニとヴェルーリアはそのうち使い方覚えてもらったほうがいいかね
歩いて回るには少し不都合な規模なので、ATVをクリエイトしてタンデムで使ってもらう
おおよそ東西南北で分かれ、まずは状況や見慣れないものがないかなどを見て歩いてもらおう
各チームにメイドが入っているのは弥生さんとのリンクで情報共有が可能だからだ
情報の取捨選択と報告はまかせていいよね?
『きちんと仕事しますよ』
ということで長の了承を貰って都市内を探索する
整然とした道路と建物の配置
少なくとも5000年は持っている耐久性
元の世界ですら何十年か程度で建物が劣化しまくっているのを見ると、技術的には確実に上であることがわかる
酸性雨なり地震など自然環境の影響があるにしたって建材の問題もあって5000年どころか100年だって怪しいのだから
「そういえば旦那様の作った建物もこれに似ておったのじゃ
旦那様と同じものが作れる者が大昔におったのじゃろうかの?」
その可能性はゼロではない
どこまでさかのぼれるかわからないが、ドラゴンの口伝で残っているかどうかだろうか
あとは建物の中になにか残っていれば別だが、流石に5000年以上だと資機材系はどうなのだろう?
建物同様の耐久性を持たせたりしてただろうか?
建物の中に入ってすぐ気が付く
窓と思っていたものは実際には窓ではなく、建物内から外は見えていなかった
なのに明るいのは
「光る苔、なのじゃ!」
そう、建物内の天井は光る苔がびっしりだった
シャールカーニ一族はすぐ目の前にある光る苔には一切気が付いていなかったのだ
成程、ガラスではないから内側の光も外に漏れていない
おまけにドラゴンはいちいち調べて歩くことはしてなかった
だから目の前に貴重だと言っている光る苔が大量にあってもわからなかったのだ
もし、これが全ての建物の天井全面にあるとしたら・・・・・
元の世界なら株価暴落なんてもんじゃないくらい光る苔の金銭的価値が落ちそうだな
幸い、金どころか物々交換すらどうかという【世界】だから下落なんてないだろうけど
「建物の部屋全部がこれなら、人化すれば一人1部屋使えるだろうね」
「偉くなくても使えるなら凄い話なのじゃ!」
やはりドラゴンには余程大事な照明なのだろうな
入ってきたホールに戻って気が付く
エレベーターがあるらしき場所がある
ただ、ドアがない
覗いてみると足元は円形の床があるだけ、上は暗くてよく見えないがやはりシャフトらしきものなのだろう、空間があるようには見える
入ってみて驚いた
入り口の横にボタンらしきものがある
縦1列に並んでいるので階層ボタンだろうが、書いている文字は読めない
ドアがないからだろうが、それ以外なにもない
非常通報ボタンすらも、だ
一応落下しても衝撃吸収する半長靴と風魔法で大丈夫だとは思うが、使い方を伝えたシャールカーニは自分が使ってみる、と主張した
落下の可能性は100%無いが、移動先にトラップがあるかもしれないからと念には念を押しておく
「我を誰だと思っておるのじゃ?」
ヴェルーリアに負けそうになったドラゴン様ですよね?
「ぐっ」
驕りは禁物、十分気を付けて
「わかったのじゃ」
そう言って一番上のボタンを押した




