11-5「気を付けよう、一度通った帰り道」
食べ終わって、留守番の二人を残し6名を乗せて装甲車で新しい町から出発する
ヴェルーリア、シャールカーニ、ニールはこれも初体験
最初は驚いていたが、すぐ慣れてしまった
「空を飛ぶよりは遅いが楽なのじゃ」
アウラムに窓を開けてもらって顔を出してる
普通の人なら危ない!と止めるのだが彼女は龍神族
例え岩にぶつかっても平気だろう
シャールカーニの扱いが雑?
気のせいですよ
出てくるときにばらまいてきたビーコンを頼りに、走行に支障がないルートを走る
最短ではないけど安全第一でしょう
ビーコンのIDから半分ほど走ってきただろうか
装甲車が突如前進できなくなった
スタックするようなルートではなかったし、実際目視では問題なかった
バックはできるので車両自体にも異常はない
「見た感じもなんともないですけど、なんでしょうね?」
隣で阿部ちゃんがモニターをチェックしがてら言ってきた
森の中だから龍神族が火を噴いたら山火事になっちゃうし、阿部ちゃんは弓で密林向けじゃない
アウラムに妖精から周囲の状況を聞いてもらい、その警護にヴェルーリアに降りてもらおう
カーゴルームの二人に伝え、残りは全員待機、阿部ちゃんはドライバーシートに移って最悪の場合降りた奴を置いてバックで逃げるよう頼む
とりあえず先に降りてドアを閉め、後部をチェックして二人にも降りてもらい後部ドアも閉める
二人には妖精との対話を頼み、私は車両前方の確認に向かう
第一軸のタイヤ横に膝をついて目視するがタイヤはグランドレベルにあるし、接触面はマッドやアイスなどでもない
障害物を踏んでいる形跡もなく他の駆動輪も同様だ
車両前方に行こうとして何かに引っかかった
木の枝?
なにも見えるものはない
しかし、手を動かすとなにかしら細いものが等間隔にあるように感じる
手で引っ張ってみるがびくともしない
まるで極細の編み物で出来た壁、だ
「ケイ殿!
森蜘蛛が居ると言ってますわ!!
人は喰いませんが捕まると厄介ですわ」
アウラムが声を上げると同時に上方に引っ張り上げられる
意外すぎてそのまま反応できず引き上げられてしまった
シュルシュル
そんな音が聞こえそうな勢いで手足がなにかで拘束される
動こうとするが切れない
『緊急警告
森蜘蛛の糸と思われます
伸縮性が高すぎて切断するには現状装備では不可能ですね』
冷静ですね、弥生さん
そりゃ、装備に刃物持ってないどころか竹刀のままだからね
『森蜘蛛と思われる生物が接近してきています』
鬱蒼とした森で葉の中に引っ張り上げられたから暗くてみえないが、確かにでっかい塊が動く様子が見える
赤外線とかないかねぇ
『ゴーグルに赤外線画像をオーバーレイします』
できるんかい
いやいやいや、でかすぎない?
見えるシルエットは明らかに蜘蛛
脚があるあの蜘蛛だよ?
わさわさ動きながらやってくるよ?
アウラムは喰わないと言ってたけど本当か?
『習性上魔素を吸い尽くすか、巣に持ち帰って子蜘蛛の餌として魔素を吸われるかでしょうか
大丈夫です、魔素が無くなりかかったら魔術で補充してくれるそうです』
どっちにしてもめっちゃ嫌なんですけど?
つか魔術で補充できるなら自分に補充すれば?
『好みなんでしょうかね』
わかった、もうめんどくさい
「製作:魔力振動刃」
左手に鞘に入った片刃の刀が製作される
使い勝手上片刃の日本刀スタイルだが構造は当然魔術製、ロマンてんこ盛りだ
刃の材質自体は地球上、下手すればSFにもないかもしれないミスリルとオリハルコン、ドラゴンの鱗の合金製だ
しかも単結晶性でもはや壊す方法ないんじゃないのか?って想像して製作してやった
もちろん刃先は単分子まで切り裂ける仕上げ
柄も鍔ももちろん単結晶構造で構成されてる、理不尽に理不尽を重ねまくった超弩級ロマン仕様
魔法で火を熾すイメージを刀に流し込んだ
想像通り、炎を纏い超音波どころではない振動を発す魔力剣になる
両手を固定されているので左手の鞘から抜けないが、ここで鞘の仕込みを生かす
鞘の先端「鐺」が解放されて炎自体が超振動の刃となって噴き出す
刀というより長刀に近い状態か
もっているだけで周囲の蜘蛛の糸が焼けたのか切れたのかわからないが、左手がフリーになった
右手を結わえていた糸を切り、足の固定も切って最後釣りあげられた糸を切ってフリーになる
空中で固定してているものが無くなれば・・・落ちるよね、普通




