9-4「にげようとした、だがまわりこまれた」
空を飛ぶ敵のことは想定はしてなかったわけではない
ある程度のことを考えて装甲車には装備をしてきたつもりだった
だが、それを運転しているのは阿部ちゃんで私は遠くのビルの屋上から見ているわけだ
しかも装甲車は絶賛襲撃中
それもドラゴン、だとか
フレイアには一応教えておいた武装だけど、流石に全速で逃げている最中に使えるものまでは教えていなかった
アウラムに大急ぎで通用口に向かい、扉を開けて搬入路に逃げ込ませるよう誘導を頼む
「阿部ちゃん、フレイア、聞こえるかい?」
ゴーグルを通して話しかける
「はい、聞こえています!
現在町に向かっていますがドラゴンの群れに襲われています」
「こっちからも見えてる
阿部ちゃん、通用口開けるから搬入路に逃げ込んで!
それとフレイア!
こっちも援護の準備するけど、フレイアにも使ってほしいものがある」
どこまで効くかわからないけど、やってみるしかない
車両側面後方に設置してあるマルチポッドの使い方を教える
装弾はスモーク弾と催涙弾を選択
ドラゴンの群れに向かって交互に間隔を置いて発射する
群れの中で炸裂したそれらは、視界の悪化か目鼻への強烈な刺激を与える
この【世界】のドラゴンがどんな生物かは知らんが、酸素吸ってるし目も鼻もある以上効果が少しはあってほしい
弾倉は当然の如く自動装填・生成なので弾切れは心配ないがあくまで攪乱にしかならない
とにかく装甲車と大豚が搬入路まで逃げ切ればなんとかなる、だろう
攪乱の効果が出たのか、数匹のドラゴンが蛇行しはじめ群れから遅れている
それでも目視で10匹近く居る大所帯だ
「製作:電磁砲」
屋上を使い装甲車の上部に設置したレールガンを作る
ただし、今回のはとんでもなくでかい
おまけに超巨大戦艦の主砲 ーそれもどちらかと言えば恒星間航行する奴ー をイメージしただけに3連装で砲身長が20mほどに見える
砲塔も入れたら30m級か?
でかい必要はないのだろうがロマン兵器で未知のものと戦うなら最適だろ?
艦橋はないので操作は砲塔内に乗り込む
テレビ画面では見慣れた、何故光線兵器と実体弾が同じ砲塔で撃てるのか?など疑問だったところだ
砲それぞれに席が付いてはいるが基本フルオートで行けるようだ
モニターを見ると青い点と周りを囲む複数の赤い点、これがドラゴンなのだろう
弾選択で「炸裂音響弾」にする
これは先日の魔牛を気絶させたのが爆音だったことから直撃させても死傷しないだろうと考えて装甲車にも同じ仕様になるように装備はしていた
ただ今の状況で教えながらでは使えないので、これが初実戦
魔素で生成して3弾同時発射、近接信管だと回避されるとまずいので今回はタイマーセット
距離や高度も含め自動セットなのは凄すぎる
しかも発射はモニターのタッチパネルに出たボタンだ
押すとどデカい弾が音もなく目の前から消えた
『あ』
珍しく弥生さんが声を上げた
同時にモニター上の赤い点が直線状に数個消えた
『アヤノちゃんさんの使う矢と同じく空気抵抗ゼロにする処理をしていましたが、ソニックブームが出ない代わりに弾体後方に真空部ができてしまい、その余波に巻き込まれたドラゴンが叩き落されたようです』
そう告げられた直後、赤い点が一気に消えた
いや、装甲車から少し離れているが一つだけ残っている
タイムラグがあって、連続で3回轟音が砲塔内にも響く
その赤い点は・・・・
こっちに向かってきてる?
『真空波と炸裂音で殆どが脅威外になったようですが、残った1匹は攻撃元がここだとわかったようですね』
カウンターで弾、撃ち込むか?
『真正面から来ますし、直撃させればかなりのダメージかと思います』
「先輩!アウラムも拾って搬入路に入りました、全員無事です
大豚も搬入路までは誘導しました」
阿部ちゃんから無事の知らせが入る
「おかえり!
無事で何よりだけどドラゴンが1匹こっちに向かってるっていうから、そのまま魔牛のところまで退避しておいて」
空飛ぶ奴って障害物ない上に高速度なのが多いからあっという間に近づいてくるよね
竹刀だけじゃサイズ差もあるし対抗できるわけがない
ドラゴンの弱点って逆鱗だとかファンタジーでは言うけど、こっちの【世界】でも通用するのかね?
念の為、新しく兵器をクリエイトしてから、屋上に出ていく




