8-3「猪娘、現る」
助けようとした相手に蹴り、いれられました
しかも何故か確実にこっちに敵意を向けてきている
いつ飛びかかろうかと狙われているのは明らかだ
「君があの猪?に襲われるんじゃないかと思って助けようと思ってきたんだけど」
言った途端飛びかかってきた
今度は連続で蹴りを入れてくる
廻し蹴りの連発に少しでも間合いを詰めればストンピング、悪く言えばヤクザキック、少し離れると今度は勢い付けての飛び蹴りだ
「待て待て!なんで蹴ってくる??」
防護着全て衝撃吸収がばっちりなおかげで一つも痛くはないが、衝撃は響いてくる
しかも早いからガードが間に合わなくって吹っ飛ばされかけると即座に反対から蹴りを入れてくる
簡単に倒れさせようとせずに徹底的に攻撃するスタイルのようだ
だが、さしもの猛攻娘も連続攻撃をこれだけ入れてくれば疲れもしてくるのだろう
明らかに蹴ってくる速度が遅くなってきた
彼女の蹴りに一番ダメージを与えるべく、竹刀を合わせる
が、ここは異世界、しかも不条理に襲われている状態
右手は柄を持ったままだが、左手で中結の少し下を抑えて構える
馬鹿正直に竹刀を使うのは試合だけだ
もちろん、彼女の廻し蹴りに合わせて位置決めする
それも脛に、だ
竹刀はクリエイトで作った単結晶構造
見た目は竹刀だし構造も竹刀なのに全部が破壊不可能という理不尽の塊
さっきとは逆にカウンターを食らったのは彼女
しかも倒そうと決めにかかったようで軸足が地面を抉りめり込むほどの食いつきをさせた蹴りを入れてきたところに合わせただけに、当たった彼女は蹴ったほうの足を抱えて地面に蹲り変な動きをし始めた
よく見ると顔は紅潮を通り越してチアノーゼに近い色に、そして横倒しのままヘッドバンキングさながらの頭の動きをしている
そこにフレイアと、少々遅れてアウラムが走り寄ってきた
「カホルはアヤノ殿の警護で残してきました
で、そこで踊っているのは先ほどの人、ですか?」
襲われているのを見ていないとなぜこうなっているかわからないよね
かいつまんで説明をして、今に悶えている彼女を見下ろす
襲われたってことで気色ばんだフレイアとアウラムは自分の獲物を構える
1,2分くらいだろうか
漸く痛みが引いたのか起き上がった彼女がこっちを不服そうに見、ようとして止まる
首筋に刀を当てられ、横には大ハンマーをフルスイングしようと構えている人が居るのだから
それもかなりお怒りモードで、だ
「どういう了見で襲い掛かったか聞かせてもらってもよいだろうか?」
フレイアがドスの聞いた声でそう告げる
大食い残念美女の片鱗もない攻撃特化の彼女は初めて見た
「返答次第ではこちらもそれ相応の対応をさせて貰いますわ」
筋肉がきしむ音がするほど力を込めているアウラム
その二人に睨まれ少々、いや完全に半泣きに近くなった彼女
瞬間、先ほどまで防護壁に体当たりしていた猪の大群がこちらに突っ込んできた
しかも横に広がってきたので飛び退くしかない
と避けた途端、何かがものすごい速度で飛んできた
また彼女、それも飛び蹴りだ
速度はバックステップの私よりも彼女のほうが断然早く、間合いが詰まる
後方に飛んでいる最中なので当然踏ん張りは効かないが、防御をと竹刀を水平にして両手持ち
構えたその剣先に彼女が見事に突き刺さった
・・・・・股間に、だが
なんというか、酷い目に遭う人が出てきました




