8-1「狩り、行こうか?」
豚肉と玉ねぎを調味済みの冷水からじわじわ火にかける
うどんならうどんさえ茹でればおっさん家族にもすぐ提供できるし
ただ、ネギ類が禁忌と言ってたカホル用には豚肉とおろし大根のトッピングに替えるべく鍋を分けておく
とりあえず多めに作っておいて、その後戻ってきた3人娘と阿部ちゃんに別鍋に沸かしておいたお湯でうどんを茹でてお出しする
「どうやって食べるのでしょうか」
麺類もないよね、そりゃ
いつものごとく阿部ちゃんにお任せしようとしたが、やはり麺を不慣れな箸で食べるのは難易度が高すぎるようだ
フォークを出して巻き付けて食べる方法に切り替えてもらう
自分の分のうどんを茹でようと釜に戻ったところで手を上げて声を掛けられた
「おかわりお願いします、カホルさんの奴」
「あ、私も食べたいです」
いつもの二人だった
都合3人前の麺を茹でて別の鍋から具とつゆをよそい持っていく
食べ終わり、カホルがお茶を入れてくれたのを飲みながらおっさん家族の様子を報告してもらう
家自体には問題なさそう、トイレやキッチンの使い方には少々戸惑っていたようだが特に奥さんと子供はいちいち外に行かないでよいことに喜んでいたようだ
やっぱり屋外で用を足すのがデフォルトだったらしい
いろんな意味で問題ありだと改めて思う
この世界だと基本的な魔法はほとんどの人が使えるから問題なく住めるらしい
むしろ上水道要らなかったか?と思ったがこれもモノづくりの一環だとしておく
住むには寝具の用意程度でいいらしい
元々食器使わない、服も同じ貫頭衣を着まわす程度、寝具だってない
せいぜいが石包丁や武器に着物を元の家から持ってくれば引っ越しが終了だと
風呂も元々水浴びでそれも頻度が高くないらしく、現時点で作ってない共同浴場も急ぐ必要もない
折角来てもらったからそのまま住んでもらおうか
でもそうなると一度家にお邪魔してベッド作ることになって、そうなると黒髪黒目の私らじゃちょいと怖がられるかな?
そこでカホルがおっさんを連れて来て説明してから、一緒に向かったら?と提案してきた
おっさんが事前に説明をしてくれているらしく、家族から私らについて質問されたとか
カホルなりに怖くない旨は伝えたそうだが、そのカホルも私らと会って何十時間程度なんだからどう説明したのだろう?
まあ、ダメ元でおっさんに説明した上で連れて来てもらおう
カホルと一緒に帰ってきたのは3人だった
結局二人もそこまで怖くない、とおっさんの話から判断してきてくれた
流石に初めて見るであろう私ら二人の容貌に少しだけ引き気味だったが、それ以上は特に問題なかった
寝床については後で一緒に行って作るということにしたが、今後について少し話をする
家の手配、魔牛が繁殖するまでの面倒とその間に必要となる食料の調達、天候変動など未だに私らが把握してないものも含めて詰めていく
この世界出身の3人娘だって転生してるわけだから、生前との環境乖離もあるだろう
他の町や首都に当たるところも探したりしたいが、それ以前にまずはこの町を整えてモデル化する必要がある
それらを話しながらヒアリングを続けた
結局草原の外縁になる、つまり私らが洞窟から出て来て抜けてきた森に行って狩りやら採集をして食料を得ていたそうだ
その割には洞窟からここまで一度も魔牛含めて動物には遭遇しなかったのだが
猪、馬、鶏などに相当する動物はいるらしい
食用にするが、話からすればやはり魔牛同様大きいものが殆ど
そうなるとやはり食肉加工施設も必要だろうし、狩った場合大雑把な解体したとしても運搬する手段がないと大変
しかも現状の町から10kmはあるわけで、移動だけでも徒歩なら2時間コース
この【世界】のレベルではとてもじゃないがまともに狩ったものを安全に、食べて問題ないように輸送する手段がない
そして何度か確認したが、氷だとか冷却という魔法は「知らない」
近くに水源などもないので水で冷却・洗浄も魔法で作れる水量でしかできない
かといって焼く以外の調理方法も知らないから生食か直火焼きかだけ
安定した食料確保がやはり重要
森に行って動植物の生態調査をしてくるべきだろうな
今日は晩飯までは都市中心部の整備と入浴施設の使い方をおっさん家族に教えるか
そう考えて気が付いた
この世界、昼夜の区別ってあるのか?
うどん、食いました




