6-6「おっさんと、牛」
「とりあえずこの中でまとめ役としていろいろやっている
ケイ、だ」
「ケイってなんだ?おまえを呼ぶときにそう呼べっていうことか?」
「そうだな、私らはそれぞれ名前というのがあって呼び合ってるよ」
まあ、慣習がないものは理解し辛いか
「ほう、ではケイ
お前さんたちが魔牛を捕まえたって言っていたが本当みたいだな
目の前にいる4頭、どうやって捕まえたんだ?」
「まあ、いろいろとね
捕まえ方は秘密だね」
魔術はともかく各種装備の説明なんざやってられないからね
しかもフレイア達が交渉に行っている間に気が付いたので再度気絶させるのにあれこれ試している
そのおかげで最初のミサイル攻撃以外にそれぞれ違う負傷を負っているがそれは言わないでおこう
「で、あんたたちが魔牛を飼う、って言ってるんだって?」
呆れたように私らを見て
「はっきり言えば俺たちの町がこの魔牛に襲われて家も壊され何人も怪我をさせられた
せめて1頭でも倒して食料にでもしないとつらい思いしただけで終わっちまう
捕まえたあんたたちに頼みたいんだが、1頭だけでも何とかできないか?」
結構深刻な顔をして伝えてくる
こっちも正直に話をしておこう
「気持ちはわかるけど、殺して食べてしまっても町の規模からして全部食えるわけじゃないんだろ?
余らせて腐ってしまうのではあまり意味もないし、結局一度限りでまた魔牛が来ない限り食べることができない
思い切って魔牛を飼いならして繁殖させて、そこで定期的に食用とするようにできれば少なくとも肉に困ることはなくなるだろう
他にもとれるかもしれないし、昔は魔牛を飼っていたって話だぞ
出来ない話ではない」
一息ついてまくしたてる
「そこでだ、捕まえたこの魔牛をちゃんと飼えるようにしてから渡す
その後にお前さんたちの町総出で飼ってくれないか?
私らなら肉が余っても腐らせないで長く食べられる方法を教えたり提供できるぞ?
魔牛を肉にするにも人手がいる
手伝ってくれるなら多めに肉を分けるぞ?」
「わかった」
即答だった
「ただし、魔牛どころか生き物を飼うって実際にやったことはないぞ?
じいさんばあさんの言い伝えで聞いたことはあるけど普通に猪とかだったはずだ」
どこかで技術が途切れたんだな
「飼い方はこっちで考える
とにかく魔牛がにげられないようにしてあんたたちが世話しやすくしておくよ」
頷いたと思ったら手を差し出してきた
「それじゃあ、これからよろしく頼む」
でっかい手とでっかい体だ
握手したら握りつぶされそうだ
そう思いながら軽く握り返す
「痛ってぇ~~~!!!!!」
おっさんの怒号交じりの悲鳴が聞こえた
そういえば負荷がどうとかでこっちでは力がめっちゃ強くなってるんだった
おっさんの痛みが引くのを待ち、砂地ではない地面で大穴を開けても問題ない、町人が来やすい場所を相談してイレースで土を消す
消した土はどこに行ったのか?と思ったりもしたが魔法と魔術は理不尽の塊だから考えないようにした
壁面が垂直やなだらかな傾斜だと万が一があるので、オーバーハングになるほうがいいだろうとある程度の高さを地面からはみ出させた円錐をイメージして消したわけだが、初めて見たおっさんは顎が落ちかけていた
魔牛のサイズがサイズだ
1周2kmをイメージした深くて巨大な穴と、それに続くアクセス用の坑道を斜めに作る
給排気だ上下水だはもはやルーチンワーク
餌に関しては普通の牛だとやはり飼葉だということだが、魔牛はどうかわからんので弥生さんに聞いてみる
『魔素が充填された飼葉を普段は食べています
飼葉そのままだと魔素が切れれば普通の牛に戻ります』
ん?魔牛は元は普通の牛?
魔素を取り込んで魔牛になってる、ってこと?
『端的に言えばそうなりますが、実際には食料で魔素を取り込んだだけでは魔牛にはなりません』
しかし、魔素が充填された飼葉、って自然にできるのかね?
『ある条件が揃った場所であれば育ちます』
成程
では、逆に人為的に飼葉に魔素を充填できるってことかな?
『はい、可能です』
そうすれば飼葉だけ用意すればあとは魔素と充填方法だけでいいんだね
さて、そこで問題
どうやって魔牛4頭を中に入れるか
それ以前に言うこと聞かせないで暴れ牛だと飼うのも困難だろう
腕を組んで悩んでいたらアウラムとフレイアが二人でやってきた
「ケイ殿、魔牛のボスになってください」




