6-5「第一町人があらわれた」
「で、これで町の出入りはできるかな?」
そう
フレイアとアウラムが町の前でけんもほろろにされたのが、魔牛による被害が発端なら魔牛捕獲を伝えれば解決するのでは?と思ってはいたけどそれはあくまで予想でしかないんだよね
おまけに忘れてたけど私ら異世界人は黒髪黒目限定で怖がられる心配があるらしい
仕方ないのでまた3人娘に頼るか
「女神の使者とかの話が町にも伝わってれば現時点で交渉とかに出ない方がよさそうだよね?
申し訳ないけどまた3人のうち2人が町のまとめ役と話を付けてここまで連れてこれるかな?」
「それでしたら魔牛を飼う話を知ってるアウラムに残ってお二方が教えてもらって、私とフレイアで行ってくるのはどうでしょうか?」
カホルが申し出てくれた
「頼めるかな?
と言ってもここから町まで10km以上離れてるから徒歩だとかかりすぎるよね
かといって魔牛を移動させるのも難しいだろうし」
普通に考えて片道2時間コース、往復と説得で最低で6時間だよね
しかも知らん人連れてくるってなると復路は更に時間がかかるのが必須
「二人のどちらか、もう少し簡単な車を運転してみない?」
初めて見たよ、フレイアとカホルの見つめあいを
「ケイ殿が運転するこの「そうこうしゃ」みたいなものですか?」
やはりフレイアは新体験には食いつきがいい
「これより簡単に運転できる移動専用の奴になると思う
難しくないし速度もそこまで出ないけど町のまとめ役となればそこそこの年齢だろうから、乗せてくれば早く戻ってこれるんじゃないかな?」
全員頷く
「私に動かせるでしょうか?」
フレイアが若干不安気に聞く
「少し練習すれば大丈夫だと思う
危ない!と思ったら手を離せば止まるから、まずは練習してみる?」
はい!と元気な声で返事をしてきた
「じゃあ、作ろうか」
流石に市販のマイクロEVとかじゃ小さすぎるだろうし、車そのものはステアリングとアクセルだブレーキだとパニックになったら暴走しかねないから、仕事で使い慣れてる奴をいじって作ろう
「これ、モートラですよね?」
毎日見ている阿部ちゃんが指摘してくる
そう
メーカーによってターレットトラックだモータートラックだといろんな呼び名がある構内運搬車
うちの会社じゃモートラと呼ばれてたが、昔は駅構内とかでも見られた奴だ
「そっか、道交法問題ないから構外でナンバーなしでもいいんですね
会社じゃないから社内免許も不要だし」
流石総務、ちゃんと使用要件覚えてたんだね
「道交法とかより一番は手を離せば減速するってところだよね
構造上アクセルとステアリングを一緒に触るから低速でなら最悪手をアクセルから離せば減速して止まれるし、意識をブレーキに配りやすいし
エンジンじゃなくて動力を魔素で使えるようにしたから騒音もなく重心も低くなってるし、足回り魔改造してそうそう横転とかしないし荷台にアオリつけて座れるようにしたのよ
見た目はともかく安全性重視で速度もそこそこ出せるから利便性いいと思うんだけどね」
ため息が聞こえた
「確かモートラ、構内制限速度10km/hでしたよね?
いくら出るんですか?」
「・・・・・設定上40km/h」
「早すぎません?」
総務は安全管理に厳しいから詰め方がキツイ
目が怖いんですけど?後輩くん?
いや、もっと早くしたかったけど動力車初心者用だからと落としたんだけどね
それをおくびにも出さず
「原付と同じだよ、あれはメーター普通に振り切るからね」
「そういわれるとそうですけど、なんか釈然としないなぁ」
ぶーたれてる
「君の愛車だって最高制限速度は日本国内じゃ120km/hだけど、ノーマルなら踏んだら180でリミッター効くよね?」
「それを言われると何にも言えなくなるじゃないですかー」
社内のサーキットで走るのにリミッターカットしてるもんね
切らずに走ってリミッター当たって何とかして!って言ってきたのはどこのどなたでしたっけ?
総務を説得したのでモートラの運転説明をして砂地を少々走り回る
魔改造のおかげでタイヤのパターンもサスペンションも高性能になって普通の荒れ地程度なんともないし、砂漠と違って砂地程度なら問題なかった
念の為カホルにも乗ってもらい2人に交代しながら教えて20分程度
フレイアは既に直線だとアクセル全開にしてた
ゆっくり優雅に走るカホルとは正反対だ
ターレット部の回し方も市場のおっさんの一気回しと送りハンドルと違う
あれだ、フレイアはスピード狂なのかもしれない
速度出しても確実に止まれることを確認して送り出す
待っている間に少々言われた
「確か先輩、モートラの免許持ってませんよね?
なんであんなに操作詳しいんですか?」
「新卒の時に練習させられたんだ」
しれっと返すが、実際にはトラブルがあって大物を工場の端から端に運ぶのに工場長に許可貰って無免許運転したんだよね
これ、言ったら工場長まで怒られる事案だわ
30分ほどで戻ってきた
やたらガタイのいいおっさんを荷台に載せて
「あんたがこいつらの親分か?」
絵にかいたような偉そうにした親父が立ち上がってこう言った
手強そう
町の権力者を絵にかいたようなのにしときました




