6-3「魔牛、どうします?」
爆発の後、魔牛と思われる悲鳴なのか鳴き声が響き渡る
「でかいの3頭に小さいのが1頭
見た感じ倒せそうかな?」
傍らにいる彼女に聞くが返事がない
いるはずの方向を見ると真っ白になって固まっていた
爆発の衝撃を受けたのは魔牛だけではなかった
もしかしたら、人為的な爆発って魔法じゃできなかったりしたのかな?
昭和の特撮ヒーローの必殺技以上に目いっぱい盛った爆発をするようイメージしたんだけど、やりすぎ?
何度か肩を揺さぶるとようやくどこかに行っていた意識が戻ってきた
「あ、あの音はなんなんですか??
びっくりしたどころじゃありませんわ!!」
目を見開いて食って掛かる
イヤーマフつけてても空気を伝わる衝撃と地面からくる振動は変わらないけど、音だけならこんなのプレス工場だと普通だったから麻痺してるのは私のほうか
「ごめん、慣れてて気が付かなかった
大丈夫??」
「わたくしは大丈夫ですわ
でも・・・・・」
腕を伸ばして指を指した先はミサイルを撃ち込んだ先だった
そしてそこには搬入受け入れ口でよく見るガルウィング付きの大型トラックほどの巨大な牛?が3頭
その近くに2tトラックくらいのが1頭倒れている
足が痙攣しているのを見ると爆発音のショックで気絶しているようだが、知ってる牛は4本脚なんだけどあれ6本あるぞ
「あれ、気絶かな?」
「わかりませんわ
なにせあんな凄い音聞かせたらどうなるか、誰もやったことないでしょうから」
やっぱり、爆発ってのはメジャーじゃないのかな
「今のうちにとどめ刺しておく?」
まあ、気絶してるなら構造さえわかれば放血させて血抜きくらいはやっておけるかな?
そう思ったのだが
「これ、オスもいるので拘束しておいて、気絶から醒めたら目の前でトドメを刺すことを提案いたしますわ」
だと
なんでも小さい1頭がオスで残りはメス
今回は小さい群れだけど大体リーダーがオスのハーレムだと
そこでオスを倒せばリーダー交代になるから、動けなくしてリーダーだと思わせて飼いならすことをアウラムは提案したのだった
あの魔牛を飼う?
目的は?
「繁殖させればいつでも魔牛が食べられますわ!
魔牛はなかなか捕まえらませんが、1頭いれば食材として凄い量がありますわ
増やして解体した肉を町にも分ければ無駄にすることなく食べきれていいと思うのですわ」
成程、肉の保存方法がないこの【世界】だと腐敗する前に食い切る必要があるんだもんな
「ところで魔牛って、乳が取れるのかな?」
「乳って母乳ですか?
聞いたことないですわ」
よし、とりあえず魔牛を飼おう
もし牛乳取れればバターもチーズも作れる可能性が出てくる
ダメなら肉でもOK
とりあえず魔牛4頭をふんじばる
足が6本なので足先を左右をそれぞれ縛り、X字に縛り更に前と真ん中、後ろと真ん中と縛る
一抱えもある太さの脚なだけに念には念を入れて膝裏もいくつかに分けて縛る
当然縛るロープもクリエイトでお出ししたのだが、なぜか何となくいかがわしい真紅のロープだった
蔦などはこの世界でもあるだけにアウラムも扱えるので彼女が主に縛っていた
魔牛と呼ぶに相応しい黒々とした足に食い込む真紅のロープ
嬉々として縛る筋肉美少女
なんとなく背徳感を覚えるのは考えすぎだろうか
「飼うための儀式は後にするとして、そのあとのことも考えて一度みんなのところに戻って全員でここに来ようと思う
それまでアウラムに見張りをお願いできるかな?」
「わかりましたわ
魔牛もせいぜい鳴く位しかできないでしょうから大丈夫ですわ
万が一暴れかけたらこれで一撃食らわせますわ」
背中のハンマーを揺らして自慢げに笑う
まだ実践未経験でしょ?そのハンマー
非常用にゴーグル内蔵の通信機能を教え、魔牛の群れがほかにもいるかもしれないと考えて対戦車ミサイルを置いていこうとするが
「これは私には無理ですわ
まださっきの驚きが残っていますもの」
とお断りされた
撤収を考えれば往復で1時間弱
急ぐわけでもないからと、さっき飲んだ白桃フレーバーの紅茶を改めて淹れて、真空保温ポットを新たに作り出して淹れて渡した
「おかわりはこれに入れてあるからね」
彼女は嬉しそうにほほ笑んだ
ちょっとだけ手直し




