6-2「アウラムさん、初めてのATV」
「ところでその牛、どこにいるかわかる方法あるかな?」
フレイア曰く近くにいて暴れていれば魔素の変化でわかるらしいが、おとなしくしてると全く居場所がつかめないんだと
アウラムも妖精使役して警戒してみてくれたが居場所は不明
カホルから牛は夜行性だというので夜まで待ってみては?と提案されたが、その場合町に来て暴れるまでわからないって可能性があるよね
阿部ちゃんもカホルと同じように考えたらしい
『よろしいでしょうか』
弥生さんだ
『装甲車のセンサーで熱追跡が可能です
先ほどアウラムが言っていた牛の足跡に行って検知すれば追跡できるかもしれません』
マジかよ
『やってみないとわかりません』
打合せして新たにポータブルの熱追跡装置をクリエイト
これまた昨晩作ったATVと同じものを作って搭載する
ちなみに同じATV、と言ったが装甲車上部に積載可能になるよう改良している
「これで足跡を追跡できるかも
アウラムと二人で足跡まで行って、そのあと牛がいるところまで追跡してみよう」
アウラムが若干ひきつった顔をした気がする
ATVと同時に作ったヘルメットをかぶせ
「行ってきます」
と告げて出発
直後から後部座席にタンデムしたアウラムが後ろからベアハッグしてきて死ぬかと思った
背中だけは幸せなのだが、それ以外の締め付けがアナコンダに羽交い絞めされているようでまるで楽しめない
町が見えてきたのでATVを止める
止まって尚ベアハッグをほどかないアウラムの手を叩くが緩む気配がない
仕方がないので手を取って無理矢理引っ剥がす
開いた腕がそのまま空中で固まっていた
気は確かなようだが、初めてのバイクの体感速度に恐怖を覚えたのか
少しどころかかなり涙目だったりもする
「怖かった?」
ようやく動かせるようになったのか、首を縦に振る
「少し休憩してから、足跡あったところまで案内してもらうよ」
そう言ったものの、アウラムがリアシートから立つ気配がない
目前にソファーをクリエイトしてから彼女を・・・・・
持ち上げようとしたらひっくり返った
背中にハンマーを背負ったまま乗っていた彼女
どんだけ重いハンマーなんだか
自分で作っておいて重量考えてなかったからわからないんだよね
背負い用の留め具を外して身軽にして抱きかかえてソファーに降ろす
生き返ってたった何十時間
前世を含めても未体験だろう早い乗り物2つも乗ったら怖くて当然
食材持ってきてないからコンロとかクリエイトしてもお茶すら入れられん
でもこのままだとアウラムがトラウマ持ったままになったら困るし、少し緊張をほぐせればいいのだが
『クリエイトで食材なども作れますよ』
ほんと?
『はい
厳密に言えば生物由来のものは女神様でも生物は作れないので「複製」になりますが、それ以外なら製作できます』
それはありがたい
したらば、と普段飲んでいた白桃フレーバーの紅茶を製作してみる
ちゃんと茶葉が茶筒に入って出てきたから、残りはこのまま持って帰ろう
コンロとポット、水の入った水筒とティーサーバーにカップを作る
ポットに水を入れてコンロに火をつける
茶葉をサーバーに用意しておく
沸騰したらお湯を勢いよく入れてジャンピングさせて蓋をし、しばし蒸らす
出先だからこれで勘弁してね
カップに注いでまだガチガチの彼女に渡す
「今朝飲んだのとも違う、甘いいい香りがしますわ」
ようやく声がでたみたいだ
「桃の香りを茶葉に付けた紅茶なんだよ
中に桃の花とか実を入れる場合もあるけどね」
砂糖なしでも甘く感じるのは桃の香りのせいだろう
「あ、これミルクも砂糖もいりませんわ
おいしいですわ」
笑顔が戻ってきた
少し雑談をしたのちに声をかける
「これ、また乗れる?」
うっ、という顔を一瞬したが
「少しゆっくりしていただければなんとか我慢しますわ」
絞り出すように答えた
よし、のんびり走ろう
牛の足跡があった場所を目指して再出発
アウラムだって結構なアメリカンドリームの持ち主なんです
ただし、今回は役得とかなくかなりの力で後ろから抱かれていたので体の痛みが背中の幸せの数倍上で一切検知できなかったんです
更にコンバットスーツをフル装備なので薄いとはいえ背中に伝わるものはほとんどありません




