ZERO DAY-2「くらくら」
想像の範疇を超えたモノを眼前に、思わず顔を見合わせる
どう考えてもこんなところにあるはずなかろう、それとも私設の美術館かい?というほど、庶民に家にあったらおかしいと思われるサイズの巨大レリーフ
軽く叩くと、冷たい感触に加え薄い金属板を成形したモノっぽい反響音
ここまで常識外のサイズの物はいくら美術品とは言え、家にあると一種の恐怖を抱く
それが天井高があるとはいえ、普通の民家の部屋に壁1面いっぱいを占有している、まさに「違和感仕事しろ!」って状態に言葉も出ない
部屋を見渡してもこの壁だけがおかしく、他の3面や床、天井もレトロな純和風作りだ
何故畳部屋の壁にこんなものがあるのか?
壁付けならば横や後ろはどうなってる?と裏に回れないかと後輩と見てみるも、後ろは昔のセメントづくりにタイル張りした流しがある土間だった
壁自体に奥行きもないから壁の表面にレリーフ設置しているだけなのか?
補強とかアンカーは?
強度不足なら薄い金属製だとしたって倒れてきたら家壊れるんじゃない?
いくら金属板で出来てたとして、このサイズは数十キロで済まないと思うけど?
いやいや、住んだ後に倒れてきたら大惨事かもしれない
業務上安全管理は最優先事項なので余計に気になるわ
後輩となるべく近づかないように伝え、一度家から出て持ち主に電話してもらい現状を伝えたが
「そんなものはなかったはず」
だと
数年前に荷物を置きに行って見たのが最後、普通の古民家で壁も普通だったというばかり
誰か身内で出入りした人がいたり、リフォームしたりした人もいない?と聞いても覚えはないらしい
スマホで写真を送ろうにも家の固定電話だけの人だとかで、事実証明がこの場では出来ないのが歯がゆい
うーん、どういうことだ?
どこぞの収蔵品を隠す倉庫として使ってる、って可能性は・・・・・ないよね
そもそもあんなでかいの、どうやって運び込んで設置するんだか
この調子じゃ正体が判明しそうな気はしないし、持ち主は知らぬ存ぜぬだし
とりあえずなにか仕掛けでもないかとぺたぺた触ってみることにする
「ただ立てかけてあるとかだと倒れてくるかもしれないから、気を付けてね」
後輩は左、私は右をあちこちいじってみる
触った感じでは特にずれたりもしそうにないし、仕掛けは見た感じにはないな
少し離れて見てみると、レリーフとは言ったもののシンプルな図形が半立体的、つまり壁に埋め込んで表されているだけだった
というかこれ
もしかしたら正多面体か?
半分を補填したら
正四面体
正六面体
正八面体
正十二面体
正二十面体
そして
球
これ、何を表してるんだろ?
でも、持ち主もわからないんじゃすぐにはどうにもならんな、と考えあぐねていた
「これ、動かせそうですよ?」
後輩がそう言って端っこの三角形を触る
「堅いけど動きそうな気配、ありません?」
「確かに動きそうだけど隙間ゼロだから押すか引くか、かな?
でも、押し込んだら壁貫通しちゃわないかな?」
言うより早く後輩が一人で押していたが、びくともしない
「一緒に先輩も押してみましょうよ」
「はいはい、行くよ?
もし動いたらすぐ手を放そうね」
「「いっせーの、せ!」」
二人で息を合わせて思いっきり押し込んだらずるっと動く
と思ったら部屋が急激に明るくなった
後輩と顔を見合わせる
え?主幹ブレーカーの遠隔スイッチだった?電気通った?
そんな馬鹿な
さっき見た分電盤にあったのはごく普通のメインブレーカーだったでしょうに
よく見ると部屋の電灯や窓が光源ではなく、天井や壁などすべてがとんでもない光を放ってた
でも何故かレリーフだけは光ってなかった
むしろそこにあるか?って程、一面が漆黒の闇と思えるほどに黒々としていた
そして光は強くなる一方で、余りの眩しさに目を閉じ、それでも瞼を透過してくる光が眩しくて手で目を覆ったが・・・・・
ちょっと手直ししました




