15-8「龍神族になったデメリット?」
「まあ、強き雄ならばどれだけ番がおっても問題なかろう
それが群れを率いる者じゃ」
現代地球の人間社会ではごく限られた一部の話だと思いますけど?
「で、じゃ
わしに【命名】はしてくれぬのか?」
うぅむ
一応デメリットとして人型からドラゴンへ戻れなくなることは間違いないが、それ以外にないかどうかは全部検証してるわけじゃないことも伝える
二人とも龍神族化して2、3日程度
なにか弊害があってもおかしくはない
伝えると長はかんらかんらと笑いながら手を振る
「なに、わしらはそうそう死ぬこともなければ多少痛いことがあっても時間が過ぎれば元に戻る
それより長き生で見ることがなかった龍神族になれるのじゃったらそちらのほうが面白そうじゃ」
!!!
「あのさ、デメリットかもしれんことに今更だけど気が付いた」
「なんじゃ?」
長とシャールカーニ、交互に見て話す
「ドラゴンは長命、それこそ何万年単位で生きて寿命があるかもわからないって言ってたよね?」
「そうじゃ、長もその先代もそのまた先代も探せば生きておるかもしれぬのじゃ」
「まあ、わしらの長い生じゃと人の世はあっという間じゃの」
やっぱりね
「だとすればさ、龍神族が今居ないのってどうよ?」
「「あっ!」」
二人が声を上げる
「この建物、さっきシャールカーニにだけ反応して開いた
少なくともこれを作った時にはここに龍神族が居て使う立場にあったということ
ドラゴンは龍神族が世代を重ねて今の姿になった、人化はその名残という
なのに今はドラゴンですら見たこともない、口伝でも伝わってない
ドラゴンが主流になってある程度増える以前には居なくなっていたってことだろうね
ということは、龍神族には個としての寿命、もしくは種としての限界がある可能性が否定できないってことになるんだよ」
シャールカーニに向き直り
「すまない
名前をつけることで君の寿命を作ってしまったかもしれない」
頭を下げる
「なーにを言っておるのじゃ、旦那様!」
背中をばしばし叩かれる
「我は旦那様たちに逢っていなかったらこんな面白いことをしておらなんだのじゃ
終わりがなく毎日ただ好き勝手に無法に暴れているより、終わりがあっても新しいことをして楽しい方がいいに決まってるのじゃ」
ギザ歯丸見えの満面の笑みでそう言ってくれる
「ありがとう」
「こちらこそなのじゃ」
「わしの娘、いやシャールカーニか
龍神族になって楽しいのかや?」
長がそう聞くが
「まだ数日じゃがいろんな事ばかり起きておるのじゃ
此度の話も旦那様が居なかったら里に戻っておらぬじゃろうし、龍神族のことも知らぬままだったのじゃ
楽しくないわけがないのじゃ」
胸の下で腕を組む
「わしの娘の旦那様、改めて【命名】していただきたいのだが頼めるかの?」
「いいのか?」
「もう何十万年、それこそいつから生きているのかさえ微かな記憶にしか残っておらぬ
それだけ見て来てもこんな出来事はなかったし、わしの娘が生まれて数千年
人化もできぬ未熟者じゃったがそれが今や龍神族となり、あのような笑い顔をして楽しいという」
ふと周りを見渡し
「わしの娘が継がずともわしらの里はそうそう困らぬ
他の里もそうじゃが、むしろわしらもいろいろ新しいことをしてもいいのではないかのう
此度の襲撃もいい機会じゃ
龍神族になりわしらが強くなってそれでもかなわぬば、ドラゴン族の終わりも近いということじゃろうしの」
はい?
「わしらが強くなって」ってあっさりおっしゃいました?




