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第三話 森の出口でエンカウント

本日若干短いです。

キリの良い所できったら短くなってしまいました・・・。

 さて、神獣と出くわしてからおよそ1時間が経ち、ミヤビはいよいよ森の出口へとやってきた。

 しかし、ここまでがあまりにも順調であった為忘れていたが、ここは異世界の森、ただで抜けられるわけがないようだ。

 何故ならばそこには番人のごとき、異世界を象徴するあのモンスターが君臨していたからだ。


(まさか、こんな早くに奴に出会うなんて・・・)


 そう、それはザ・異世界の最強モンスターである、そして皆の憧れであり力の象徴であり、恐らく最強の生物ーードラゴンだ。

 そんな、滅多にお目にかかれないドラゴン様が、出口付近をうろついていらっしゃる。

 その体はやはり大きく、体長は10メートルはあるのではないか。

 更に、なんとも強靭そうで且つ陽の光によりキラキラと美しい輝きを放つ、所謂龍鱗を身に纏い、その姿はまさに神秘の結晶と言ってもいいだろう。

 それ故不覚にも、ミヤビは感動し、見惚れてしまった。


 ただ、それとこれとは別問題で、脱出するためにはこれはかなりの大問題だ。

 自分の強さをイマイチ把握していないが、無論戦闘経験のない素人の人間が適当に戦って勝てる相手ではないということは流石に理解している。

 それに未だ距離があるにも関わらず、しかしその圧倒的な存在感に、先程から足が震えてしまっている。


(・・・取り敢えず、一応情報取得を試みようか・・・うん)


 と、ここで一応、望み薄ではあるが、気を紛らわすことも兼ねて< 鑑定 >を使ってみる。



[鑑定結果]

 個体名:No-Named

 種族:天空龍(幼体)

 状態:魔力暴走

 強さ:ヤバい、怖い、危ない



 ・・・思っていた100倍まともな返答が来た。

 「どうせろくな鑑定結果が出ないよ」と油断していたが、今回ばかりは大いに有用であった。

 

(うーん・・・できるなら毎回ちゃんと働いてほしいんだけどなぁ。あと最後のやつはふざけてるでしょ)


 わざわざ強さの項目を用意して、何かと思えばヤバいだのなんだの、ここだけはまるで役に立たない。

 しかし、書かれていることも一理ある、というよりはまったくその通りなのだ。


 一番の解決策は、このドラゴン改め天空龍様がここから去ってくれるのを待つことだが・・・。


(そういえば、魔力暴走って・・・? 確かによく見てみると、あいつの周囲の魔力の感じがおかしいし、それにあいつ自身の魔力内包量が尋常じゃないな) 


 比較するものでもないが、例の変態王女とは比べ物にならないほどの強大な魔力だ。

 本当に戦いたくない。

 なので、ここは一旦安全重視で、ここから立ち去ってくれるのを大人しく待つことにした。

 


 10分ほどして、いよいよ龍は行動を開始した。

 龍は大きな翼をゆっくりと広げ、しかし苦しそうに、少しよろけながらも力強く羽ばたき上昇を始めた。

 「よしっ! やっと森を出れる!」そうミヤビはホッとため息をついた。

 だが、事態はそううまくはいかなかった。


 龍はある程度の高度まで上昇すると、何故か大人しくそこに留まった。 

 どうやら空からこの森を、そして先にあると思われる街を俯瞰しているようだ。

 ミヤビはその光景を固唾をのんで見ていたが、暫しの静寂の後、龍が魔力を集積し始めた。

 これは何らかの魔法を使う兆候であり、その魔力量からしてかなりの規模のものであろう。


(え? 嘘だろ・・・まさか街を破壊するつまりか!? いや違う、これが暴走状態か!)


 恐らく龍の意識は混濁していて、その強大な魔力にいいようにされているのだろう。

 そしてとうとうそれも限界に達し、ならば飽和したその魔力を一気に解き放ち、スッキリする、と、多分こういう考えであろう。

 で、その矛先がたまたま近くの人間が、つまり魔力が密集した所へと向いた、と。


(街にあんなの放たれれたら・・・クソッ、どっちにしても詰みじゃねぇか!)


 そうこう迷っているうちにも着実に、龍の元へと魔力は集まっていく。


(まったく・・・大仕事だが・・・ここは異世界、信じてみるか)

 

 もうこうなれば仕方がない。

 街の人達を救えるのは自分だけで、ならばそれを見殺しにするなんて、そんな選択はできるはずもなく、ミヤビは覚悟を決めて、体中の魔力を可視化できるレベルにまで練り上げ纏う。


(っ! さっきよりも格段に魔力の扱いがうまくなってる! それに量も・・・まさか、あの加護スキルのお陰か?)


 ならば、折角の力を余すことなく使わせていただく。



「美しき天空龍よ・・・俺に注目しろ!」


  

 声に魔力を乗せ、龍へと届ける。

 すると、暴走状態で意識が朦朧とした龍の意識は、その高濃度の魔力に惹かれ、こうして取り敢えず街の崩壊は免れた。

 

 と、いよいよ龍も限界なようで、溜め込んでいたもの、そのすべての魔力を一つの魔法として展開する。



「< 龍魔爆炎波動砲(ドラゴンブレス) >」



 それが放たれてすぐに、空気中の水分はなす術なく虚空へと還り、気温は上昇し、呼吸をするのも苦しくなった。

 そしてその超高密度の、禍々しいまでの炎・・・というのも烏滸がましい、もっと強大な何かは轟々と唸りを上げながら、ミヤビと森と、すべてを焼き尽くさん勢いで迫りくる。


(これは・・・想像以上、なんてものじゃないな・・・そして、これをうまく対処しなければ俺は・・・)


 でも何故だろう、そんなハードモードであるにも関わらず、ミヤビは俄然燃えてきた。



 ー 規定量を超える”風”の魔力を確認しました ー


 ー 超位スキル:< 神獣の加護 >の機能が一部アンロックされました ー



 ブレスを限界まで引き寄せ、魔力の準備もバッチリ、これにて条件は整った。

 さぁ、ぶっつけ本番大博打、まるで知らないスキルの力にすべてを賭けるーー。



「< 超位魔法・風狼王乃烈風(フェンリル・バースト) >」



 ミヤビの放った魔法は、地上へと吹き下ろされたその龍の圧倒的な魔法と正面衝突、互いに譲らぬ押し合いを繰り広げる。

 その際発生した風で、森の木々は大きく揺れ、ミヤビも目を開けることさえ叶わない。

 だが見なくともわかる、確実に、自分の魔法がブレスに勝っているということに。

 

 そしてーーミヤビの魔法がなんとか、龍のブレスを飲み込んで、猛烈な風と魔力とを伴って、勇猛果敢に空へと昇っていく。



「よしっっ!!」


 

 それと一緒にミヤビも身体が宙へと舞い、空からのウイニングランとなった。

 そしてそのまま、街の方面へと飛ばされていった。



 一方、暴走状態から脱した天空龍は、そんなミヤビの姿を目で追って、その後雲一つない空へと、遥か彼方へと高速で飛び去っていった。

< 第四話 さらなるピンチ >は木曜日にあげる予定です


追記:四話は金曜にあげますので、少々お待ちください

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