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1話 婚約破棄をされたので故郷に帰ります


「お前との婚約は破棄する! この国から出ていけこの悪魔め!」

 突然告げられたジョン王子からの婚約破棄宣言。


「ジョン王子! 悪魔とは一体どういうことですか?」

 宰相のセバスチャンは冷や汗をダラダラと垂らしながら彼へと尋ねる。


「そいつは悪魔を体内に宿している化物だ! 俺が王になった瞬間、そいつは俺を殺す気だったんだ!」


「一体何を根拠にそのような……」


「セバスチャン、もういいです。ジョン王子の言う通り、私は国を出ていきます」


「シェリー様!? どうかお待ち下さいませ……」


「お世話になりました」


 私は一礼して、城を飛び出した。



 必死に追いかけてくるセバスチャンが馬車を用意してくれたので、その馬車に乗り故郷でもある西の隣国『ステリア王国』を目指した。



⸺⸺


 ジョン王子がいつかそうやって言ってくることは分かっていた。


 もちろん私の体内に悪魔など宿っている訳もなく事実無根だけれど……。


 私は彼のことは愛してはいなかったし、親同士の決めた政略結婚だったから、私の方から取り下げることもできずに困っていたから丁度良かった。


 晴れて自由の身になった私は、10年ぶりくらいに故郷の王都へと足を踏み入れた。



⸺⸺王都ステリディア⸺⸺


 久々の故郷の空気。

 街並みはあの頃から随分と発展していたけれど、空気はそのまま。


 やっぱりこの国の王都が1番いいわね。


 さて、実家に帰ろうか、それとも王城に顔を出すべきか……。


 そんなことを考えながら王都をトボトボと歩く。


 

 やっぱり実家に帰ろうかな。


 そう思い貴族街の方へと向かう途中、ある建物の前を通り過ぎようとしていた。


「騎士団本部……」


 そう言えば私の幼馴染、騎士団長になったんだったっけ。


 去年、28歳にして騎士団長に抜擢(ばってき)されたと手紙で報告があった。

 その手紙も、ジョン王子がこっそり捨てようとしていたのをセバスチャンが拾って見せてくれたものなんだけど。


 幼馴染とは言っても歳は8つも離れていたから、当時私が11歳だった頃、彼は19歳。

 私は幼いながらに彼に恋心を抱いていたけど、それは打ち明けないままジョン王子の元への婚約が決まったの。


 あれから10年。


 結局10年も私の青春を縛っておいて、婚姻直前に破棄……か。


 それならもっと早く捨てられたかったな。


 だって、彼はもう28。きっと、良くて恋人、最悪家庭を持っている可能性もある。



 私は諦めのつもりで、入り口にいる兵士さんに話を聞いてみることにした。



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