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6話 王都に向けていきます。


ギルドのドアから1人の男が息を切らしながら入り受付に直行した。


「ぜぇ、ぜぇ、あの、これを換金してください。」


受付の女性は犯人を見る目をして受付の後ろに逃げ込んだ。


「えっちょっ、なんで逃げるの!」


困惑していると背後から頭を掴まれた。


「おい貴様、何している?」


腹から煮え立っている様な声が耳を通過し顔を向けた。


「って、オチアイじゃないか?何してんだ?」


怖い顔をして頭を掴んでいたのはギルマスのネイギスだった。


「いや、この薬草たちが高く売れるって聞いて来たんだけど受付の方が後ろに行っちゃったんだよね。」


頭を掴まれながら答える。


「受付の子が不審者がいるって一報があったから来たんだがお前だったのか。ワッハハハハ!!そうか!そうか!」


豪快に笑うギルマスにオチアイは不審者扱いをされて少し傷ついていた。


「それで、換金したい物ってなんだ?」


ギルマスがオチアイに言うと空間魔法の収納からフル薬草の束とフル毒消し、マジックマッシュルームを取り出した。


「これなんですが、いいですか?」


ギルマスは先程まで笑っていた顔が嘘のように豹変した。


「おい、お前これをどこで手に入れたんだ。」


声もいつもよりワンパターン低くなり肩を掴んでオチアイに言った。


「えっ、この村に来る前に取ったからよく覚えてないお。」


やる夫みたいな口調で答えると、ギルマスに肩に担がれ2階に連れていかれ部屋に担ぎ込まれると椅子に座らせてくれてた。


「オチアイ、これは高級品だ。あんな公共の面前で広げるな!」


怒鳴られた。


「高級品ってのは聞いてるけど、そんな厳重にするほどのものなの?」


オチアイはギルマスに言うと頷いた。


「そうだ、これらは北の森「生還不可能の森」ってところでしか採取できない貴重な品物だ。それに、中々見つけられないのにどうしてこんな束があるんだ。」


腕を組みオチアイを見つめながら言った。男に見つめられる趣味はないんだが。


「俺、その「生還不可能の森」から来たんだけど・・・」


「よくそんな所から来たな。大体は「生還不可能の森」を迂回して来るんだがな。」


「確かに馬車道を見つけるのに1週間は掛ったしフルラビットにも襲われて散々だったな。」


「馬車道は一つしかないからな、よく見つけられたな。それにフルラビットに襲われて生きてるって運がいいやつだな!ワッハハハ!」


いつも通りのギルマスに戻った。


「わかった。これらを換金しよう。ちょっと待ってろ。」


ギルマスはそういうと部屋を出て行った。数分後、部屋の外から聞き覚えの声が聞こえてくる。

ガチャっとオチアイのいる部屋のドアが開き、見知った顔の3人が入ってきた。


「オチアイ!遅いじゃない。迎えに来たわよ。」


エルフとマヤ、親父さんが部屋に入ると同時にギルマスも入ってきた。


「それで、いくらになったの?」


エルフがオチアイの隣に座るとすぐに金の話をしてきた。


「いや、まだ金額は聞いてないんだけど多分大金になるんじゃない?」


「やっほっぉー!今日は豪遊よ!」


まだ決まった金額は言っていないのにエルフは1人で盛り上がっていた。


「待たせたな。って、グエンじゃねぇか?元気にしてたか?」


「あぁ、ネイギスも元気にしてたか?久しぶりだな!」


マヤの父親とギルマスは知り合いらしい。2人が席に着く。


「お前の隣にいるその子はグエンの子か?久々に見たが大きくなったな!ワッハハハ!!」


「あぁ、何年ぶりだ?お前も怖い顔になったな。ハハハ」


「怖い顔は余計だ!確か20年ぶりだな。お前が王都の騎士団に入るって言って、この村から出て行ったからな。ワッハハハ!!本当に久しぶりだな!」


2人が会話を交わしている間にオチアイが口を挟んだ。


「2人はお知り合いなんですね。」


「あぁ幼馴染だな。年も同い年だ。なぁグエンよ。」


同い年!?どう見てもギルマスのほうが年上に見えるんだが、人って変わるもんだな。

オチアイはあまりの驚きに机に置いてあったお茶を一滴も残さず飲み干した。


「そういえば、グエンとオチアイは知り合いなのか?」


ギルマスがグエンの方に顔を向けて質問をした。


「あぁ先程、死にかけていた所を助けて貰ったんだ。」


「死にかけた!?何が合ったんだ!?」


ギルマスは先程まで温和な顔が別人のような恐ろしいく変わった。


「あぁ、今俺は王都の訓練指揮官として働いているんだが、訓練の為にここの近くの東の森に偵察に来たんだが、ここでは珍しいファイアーリザードが出てきてな。武器もろくに持たず偵察に来た俺の失態だ。」


マヤの父親はみんなの顔を見ながら話した。


「ファイアーリザードだと!?なんで、こんなところにいるんだ!?普通なら火山地帯にいるだろ。」


ギルマスは顎に手を置き険しい顔で話したのち、オチアイのに話を掛けた。


「オチアイ、グエンを助けてくれてありがとうな。さっきの換金を上乗せして払おう。」


オチアイにそういうと、隣にいたエルフのお腹が大きく鳴った。


「ガッハハハハ!!腹減ったか姉ちゃん!!!飯にするか!!」


エルフは顔を赤くしてうつ向いていた。ギルマスがドアを開け飯を持ってくるように近くにいた従業員に言っていた。


「それでだオチアイよ。これが、今回の換金の金だ。金貨120枚、銀貨1500枚だ。確認してくれ。」


ギルマスが机の上に置いた。


「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!こんなに!いいのかしら!!!」


エルフが机に置いてあるお金にしがみついた。


「ありがとうございます。あっそうだ。これよかったら受け取ってください。」


オチアイは空間魔法からフルポーションを2個取り出しギルマスに手渡した。


「おい、お前これってフルポーションだよな。どうしてこれを!?」


「グエンさんを助けるときに作ったやつの残り物ですよ。」


オチアイの空間魔法の収納はアイテムを入れて置くと増えたり減ったりバグが起こるようになっている。早く修正したい。

今回は、フルポーションが増えたのでギルマスに渡した。

ギルマスは手を震わせながら別室に行き大声を出した。


「なんで、こんなの渡すんだぁぁぁぁぁ!俺にどうしろっていうんだぁぁぁぁぁ!!!!」


窓がカタカタと震える程の声を出していた。

落ち着いた様子で別室から戻ってきたギルマスはオチアイの隣に座っていたエルフをどかしオチアイの隣に座った。


「ちょっと何よ。そこは私が座ってたじゃない。」


「エルフの姉ちゃんすまねぇが別の席に座ってくれ。」


「まぁ、いいけど。」


「すまんな。そしてオチアイ!お前とエルフの冒険者ランクをCに上げる。それで勘弁してくれ。」


ギルマスは賄賂だと思ったのかオチアイの手を強く握りしめ懇願した。


「え!いやいやいきなりCランクって今日、登録したばっかりでそれっておかしいだろ。」


「あぁ異例だ。だが、お前たちはこれでいいんだ。これ以上は何も言わないでくれ。」


このやり取りを見ていたマヤと父親は当然だといいそうな顔をしていた。

そうしていると、部屋に机に置ききれないほどの食事が運ばれてきた。


「さぁ!どんどん食ってくれ!」


ギルマスが言うとエルフが先にがっついた。


「マヤも親父さんも食べてください。俺たちだけじゃ食いきれそうにないですし。」


「じゃあ、遠慮なくいただきます。」


「私もいただきます!」


2人が食べ始めオチアイも食べ始める。


「なぁ、オチアイは王都に行くのか?」


ギルマスがオチアイに問いかける。


「王都ってここから近いっすか?」


「歩いて半日だな。馬車なら太陽が頂点に達する前には着くはずだな。」


話しているとマヤも会話に参加してきた。


「私も王都に行こうと思ってるの、よかったら一緒に行って欲しいです。」


「オチアイさん達と同行なら俺も安心だ。どうか頼む。」


「王都の行き方を知らないから俺も助かるよ。」


そう話しているといつの間にか外は暗く家の窓から光が漏れる時間になっていた。

机に置いてあった食事も無くなり食休みをしていた。


「オチアイ達は今日、寝床はあるのか?なんだったらいいところ紹介するが。」


ギルマスがオチアイ達に言うと首を横に振った。


「オチアイさん!だったら私たちのところに泊まってくださいよ!ベットもいっぱいあるしいいと思いますよ!」


マヤが隣から話しかけてきた。


「助かるよ。ぜひお願いするよ。」


そういうと、席から立ちオチアイ、エルフ、マヤ、グエンたちが部屋から出て建物に向かっていった。

部屋に残っているギルマスは別室に置いてあるフルポーションを手に取り独り言を言っていた。


「オチアイはいったい何者なんだ?何もできなそうな奴だと思っていたんだがな。人は見かけによらずか。ハハハ」


オチアイ達は建物に着きマヤに部屋を案内してもらった。


「こちらがオチアイさんの部屋で隣がエルフさんの部屋です。」


中に入るとベットがあり机が置いた合った。

ベットに入ると意識が吸い取られるように眠りについてしまった。

早朝の朝


「オチアイ!オチアイ!聞こえますか?こちら神です。」


日が差し込む前にオチアイの耳に神からの一報が届く。


「あ~はいはい何?」


ベットの上で腕を組み寝そべっているオチアイ。


「オチアイにバグが発生しているので修正しました。」


「バグ?」


「はい、バグです。オチアイの使う空間魔法の収納にバグが発生していたのですが気づいてましたよね?」


「あれか、増えたり減ったりするやつね。」


「そうです。それを直しました。オチアイが増やしたいアイテムのみ増やすことが出来るように特別にしておきました。喜べ!」


「わぁあ!ありがとう神様(棒読み)」


そういうと、神からの通信が切れた。

日が昇り窓から光が差し込みベットから起き上がり身支度をし終え部屋から出てリビングに向かうとエルフと、マヤ、グエンが椅子に座り朝食を食べていた。


「オチアイ遅かったわね。」


エルフが口に食べ物を詰めながら言ってきた。


「食べるか喋るかどっちかにしなさい。行儀が悪いぞエルフ。」


オチアイは椅子に着き机に置いてある朝食を食べた。


「オチアイさん、朝食を食べ終わったらすぐ王都に向かいますか?」


マヤがオチアイに言う。


「そうだな。食べ終わったら速攻行こうかな。エルフもそれでいいか?」


「ブン!」


頬を膨らませ頷き喉を鳴らした。

食べ終えて建物から出る直前に親父さんから声がかかった。


「オチアイさん、マヤを頼みます。この子、危なっかしいところがあるから守ってやったください。」


「任せてください。」


と言い王都に向け歩みを進めていった。

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