4話 冒険者に俺はなる!
村に着いたオチアイ達はご飯を先に食べようと思っていたが一文もない、とりあえず町を一望した。
村には大きな建物が一つありそれ以外は普通の大きさ(一戸建て)が並んでいた。
「まず、ギルドを探して冒険者登録をしたいんだが、エルフさんは登録とかしてる?」
エルフの方に振り向き問いかけようとしたがエルフがいなくなっていた。
遠くの方から聞きなれた声が聞こえてくる。
「おじさん!これは何?」
「これは、魚の塩焼きだよ。うまいから買っていきなよ!」
売店の前にエルフはいた。
笑顔の眩しいおじさんがエルフに商品を渡す瞬間、オチアイはエルフの手を取った。
「ごめんな!おっちゃん!今、俺ら一文無しなんだ!また今度にするよ。」
エルフの手を引きながら足早に売店を去っていった。
裏路地にエルフを連れていき説教をしている。
「俺たちは今金がないんだ!わかるか!?」
少し怒り気味で言っている。
「あんた朝に言ったじゃない!町に着いたらご飯奢ってくれるって!」
「確かにあの時はそう言ったが。よく考えてみろ!あの森でこんな貧相な装備で金があると思うのか?」
「言われてみればあるわけないわね。私を騙したわね!」
オチアイをポコポコと殴って訴えるエルフ
「悪かった。とりあえず殴るのやめろ。ギルドに行って冒険者登録して簡単ですぐ終わるような依頼をすれば、金が作れると思う。その後に食事を奢ってやるから。」
そういうとエルフは殴るのを止めた。
「私はもう一歩も動けないから冒険者ギルドまで負ぶって貰える?」
深いため息をつきながらエルフを背に背負って冒険者ギルドと掲げてある、大きな建物に入っていった。
そこは酒場と連結している。よく異世界物である感じの風景が広がっていた。
奥の方に受付がある。
「初めまして私はカヤと言います。本日はどのようなご用件でしょうか?」
髪がブロンズの色をした受付嬢が問いかけてきた。
「アッ初めまして、冒険者登録をしたくて来ました。ちなみにこいつのも、お願いします。」
初対面の人と話すのが得意ではないオチアイは少し高い声で言っていた。
「そうですか、冒険者としての登録ですね。かしこまりました。少々お待ちください。」
そういうと受付嬢のカヤは後ろに下がっていった。
数分後、隣の扉からイカツイおじさんが現れた。ムキムキの腕に顔には傷があり、いかにもここのギルマスって感じの方が出てきた。
「よぉ、お前らが新しく冒険者として登録する奴らか?俺はここのギルドマスターと訓練教官をしているネイギスっていうものだよろしくな!」
低い声であいさつをしてきた。
やはりギルマスか、俺の目に狂いはなかった!
訓練教官と言っていたがこれから何をされるのか、震える二人。
「ご飯がまだ・・・・」
震えながらいうオチアイ。隣で首が取れそうなほどに頷いているエルフ。
それを見たギルマスが豪快に笑った。
「そうか!腹減ったのか!ワハハハハハ!訓練は飯の後だな!」
いつの間にか隣にいたカヤが席に案内してくれた。
席に着いてオチアイの前にギルマスが座った。隣にはエルフがいる。
料理がどんどん運ばれてくる。
「これは俺の奢りだ!どんどん食え!この後の訓練は厳しいからな!」
耳を疑う言葉が聞こえたがエルフはものすごい食べている。
「えっ!この後、訓練なんですか?」
「そうだ!俺の訓練は冒険者として必要不可欠の知識やテクニックを教えてやるからな!ガハハハハハ!」
オチアイは怯えて食につけない。
机にあった料理はいつの間にかなくなっていた。隣でお腹を大きく膨らませたエルフが満足な顔をして目を閉じようとしていた。
「よし!これから裏で訓練だ着いて来い!」
下を向いて歩いて裏の訓練場に行くオチアイ。お腹を膨らませんがらなぜか浮かれているエルフ。
軽装の格好をしているオチアイとエルフ、大きな斧を片手で持ち上げているギルマス。
「これより冒険者登録に必要な試験を行う!」
空気が震える程の声量
「試験?訓練じゃなくて?試験!?」
「そうだ!試験だ!その後にレクチャーだ!」
わぉ!これが異世界か・・・・
「この試験でお前達の適性を見ていく、そこにある模擬用の人形をこの机の上にある好きな武器を選んで攻撃してみろ。」
ギルマスの後ろに武器の山が机いっぱいに置いてある。
その中からオチアイは片手ナイフ、エルフは自前の弓を装備した。
オチアイは小声で身体強化を唱えて人形を壊さないように慎重に攻撃をした。
エルフは木の上から攻撃をしていた。
「まぁなかなかじゃないか。よし、お前達もういいぞ!オチアイは普通だ!とにかく普通だ!エルフお前は頑張れ。」
普通という評価がこれ程うれしい事はない、何是かと思うだろ?それはな、俺はスローライフを期待しているからだ!
やり切った感の顔をして終えるオチアイ。
エルフの方は人形の方に矢が一つも当たっていなかった。ガッカリした顔でオチアイの方に来た。
「私の弓、壊れてるわ。こんなに当たらないなんてないわよ。」
弓をオチアイに渡してきた。
「壊れてないぞ。エルフの骨格や持ち方なんかが問題なんじゃないか?ちょっと手を貸してみろ。」
オチアイがエルフの手を取り色々と触っていた。
「ちょっと何よ!こんな公共の面前でいやらしい事をするきなの!?」
顔を赤くしてオチアイに言ってきた。
「弓を打つ時の構えをやってみてくれ。」
エルフに弓を返して構えてくれた。
「なるほど、弓を貸してみてくれ。」
弓の弦を取り弓柄の布を少し分厚く巻いた。
「これでどうだ?握りやすくなったんじゃないか?」
エルフに少しだけ改良した弓を渡した。
「確かにこれは握りやすいわ!」
エルフは矢を取り人形に狙いを定めた。
緊張感がピリピリと伝わってくる。
指から弦を弾いた。
ビュュュュュュュュュっと矢が飛んでいく。
見事人形にヒットした。(股間に)
「よくやった。とりあえずはいいな。」
ギルマスは少し引き攣った顔で言った。
「やった!やったわ!今の見た!?ちゃんと私も当てられるのよ!」
興奮気味のエルフはオチアイの前で頬を赤らめて言ってきた。
「よし!試験はここまでだ!お前たちのランクは一番下のFランクからだ。クエストでランクは上がっていく。これから頑張って上げてくれ。これより冒険者に必要な知識を教えてやる。」
ギルマスはその場で大きく息を吸った。
「冒険者として必要な知識とは!それは!死なない事だ!!!」
大きな声で言ってきた。鼓膜が震える程の大きな声だ。
たったそれだけ!死なない事とは当たり前のことだと思うが。よほど死ぬ人が多いのか。それ以降の言葉はギルマスからはないらしい。
「死なない事は当たり前だと思いますが、そんなに冒険者は死ぬ人が多いのですか?」
こんなことを言うからには冒険者は結構死んでいるのだろう。オチアイは疑問に思い聞いてみた。
「いや、死んでいないが、これは大事なことだから言っただけだ!」
ポカーンッと突っ立ているオチアイ。確かに大事なことだが当たり前のこと過ぎる。これはどう返したらいいのかと考えている最中。
「当たり前じゃない。」
エルフがギルマスに言った。
お前よくこんな怖い顔の人に言えるな!
エルフの肝の座った態度にオチアイは感心した。
「そうかそうか!当たり前だ様な!ワハハハハハ!」
そう言ってギルドの建物の中に入っていく3人であった。