1.変な求人
「何だこれ!?」
学校の掲示板に突如現れた求人。
睨めっこする僕。
《急募!!!人を笑わせることが好きな学生、求む!
成功報酬10万円也。 詳しくは学長室まで。 》
「怪しすぎる、、、。でも、10万円貰えるのか、、、。』
正直、僕は人を笑わせることは苦手だ。でも、興味を惹かれる理由があった。
『山田、もしかしてその怪しいバイト、やるつもりなの?』
「、、、だったら悪いか。金が必要なんだ。」
『この学校で、バイトに興味のあるやつなんて、お前くらいだよ。』
友人の東條渉は、全く失礼なやつだ。
でも、否定出来ないのが悔しい。
僕の通うこの学園は、金持ちが通う宝城学園という場所だった。
聞いたら誰もが知っているような会社のガキが、何百人と通っている。
身分不相応なのは分かっているが、中小企業の会社を経営している父(なんとかもっている状態)
が見栄で、僕を入学させた。
というわけで、少しでも学費の足しになるように、バイトを掛け持ちしないといけなかった。
「東条はいいよなー。お前も金持ちの息子だもんな。」
『そんなこともない。金持ちにも辛いところはあるんだぜ。好きでもない女と結婚したりとかな。』
東条は来月、父親が決めた女と見合いをするそうだ。
見た目もいい、高身長、決してモテない訳じゃない奴が
決められた女と結婚するのは確かに可哀想ではある。
「素敵な人と東条が見合いできるよう祈っとくよ。」
この時、この言葉に後悔することになるとは微塵も思いもしなかった。