今どこにいますか
収束していく。水面が波紋を広げる。
私はその時13歳だった。石を投げ入れるたびに音がする。
彼にその話をしたら、笑って、みんなそうするんだよと言った。
でも、私はちがうと言った。だってあるべきものがそこになかったから。
何がなかったのかはわからないけれど。
たぶん。それは、大切でもない何か。
私の忘れた何か。
収束していくのは私の記憶。
空を飛ぶ鳥は朝日を背に足速に飛んでいった。
三羽いた。
ねえ、あなたは、今どこにいますか。
私が忘れた大切でもない、記憶にもない、その人。