表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の人生は強敵と共に  作者: 金色い閃光
6/44

第6話 魔術は万能


 満天の星空の下、俺は久しぶりの風呂に身も心も清めている。


「ふぅー気持ちいいな。それにしても明かりがなくても、ハッキリ見えるくらい星が輝いているな」


 何故風呂に入る事が出来たかと言うと、一時間程前、風呂に入ろうと提案したレヴィアに「風呂なんかないぞ?」と言うと「お任せ下さい」と返されたのだ。

 そして丁度いい広さの場所に移動すると、そこに向けて手をかざし、モコモコモコと大きめのバスタブが出来上がっていく。更に驚く俺を他所に、空中に大きな水の球体を作りバスタブの中に入れた。






「ふぅー生き返るうー。それにしても魔術って何でも出来て凄いんだな」


「ある程度土魔術と水魔術を理解していればこれくらいは、造作の無い事ですよ。」


「でも俺に出来ないことだからな、レヴィアに会えて本当に良かったよ。それに先に入らしてもらったうえに、石鹸まであるとわな」


「あっ石鹸は直接身体に擦り付けて使ってくださいね。そうしないと中々汚れが取れないんですよ」


「了解」


 楽しくお喋りしているが、レヴィアは俺と背中合わせになる形で座っている。初めは嫌だと言ったのだがーー


「私は後の方がいいのでお先にお入りください。後お湯の管理があるのでココには居ますのでご了承ください!」

 

 との事だ。そんなやりとりから石鹸とタオルを押し付けられ一番風呂を頂いたのだが、ふと借りた石鹸が気になり、マジマジと観察してから、少し匂いを嗅いでみる。


「クンクン……これって匂いとかはないんだな。クンクン」


「……」


「ん?どうしたレヴィア?」


 急に押し黙るレヴィアに俺は何か失礼な事をしたか考える。


「……あっ」


 そう、レヴィアが使っていた石鹸をレヴィアの真後ろで、しかも報告しながらクンカクンカと嗅いでしまったのだ。身体に直接擦り付けるのにも関わらず。


 やってしまったと思い、俺の額に嫌な汗が滲み出る。


「す、すまーー」


「コウ様の世界では石鹸には匂いがあるのですか?」


 どうやらあまり気にしていないようで、普通に話しかけてきてくれた事にホッとしてしまう。


「あ、ああ。花の匂いとか、なんかよく分からん匂いとかがあったけどな」


「ふふっ、よく分からん匂いって本当にあるんですか?」


「いや、説明が出来ないんだけど、本当にあるんだって」


 そして更に、他愛ない話に花を咲かせながら、一時間程風呂に入り、身も心も綺麗になった俺は大満足で湯船から上がった。


「はぁーさっぱりしたー!ありがとうレヴィア」


「いえいえ、こんな私にできる事でしたら何でもさしていただきます」


「いやーこれだけで大満足だ。スグに入るんだろ?見張りは任して、安心して入ってくれ」


「ではお言葉に甘えて入らしていただきますね」


 風呂から上がり身体を拭いていると、背後からパサッと服を脱ぐような音が聞こえ、何も気にせずに振り向くとーー


「!」


 レヴィアのポンチョが地面に落ちており、更に上着を脱ごうとしている最中であった。


 ヤバい!どうしよう!?と考えたのだが、俺がまだ知らないだけで、この世界の常識ではこういうのは、当たり前の行為かもしれない。色々考えた結果、見るよりは見ない方が紳士だろうと言う結論に至り、そのまま身体を拭いた。


 しかし現実はそう上手くはいかない。背中越しに聞こえるのだ。パサッ、パサッ、パサッと服を脱ぐ音が。嫌でも想像してしまうそのシュチュエーションに俺の俺がオラオラしてしまう。

 更に俺が最低な妄想と格闘している、チャプっと湯船に浸かる音が聞こえる。その瞬間俺の頭の中で「あーきっとプカプカと浮いているんだろうな……」と最低で最高な妄想が繰り広げられてしまう。

 そして戦いに戦いぬいた結果、もういいやっと俺の中の天使と悪魔が結論を出し、妄想だけならっと、あれやこれやと自分の世界に入ってしまっう。するとーー


「ーーさま?コウ様?」


「あ、ああすまない、少し頭の中が転移していた」


「ふふふ、なんですかそれは」


「軽い冗談だ……そう言えば石鹸とタオルは持ってたのか?鞄らしき物は見えなかったが」


「それはーー」


 すると急に目の前に黒い穴があいた。


「これですね。スキル《異空間収納》成人男性5人程が入れる大きさになっておりまして、私はこの中に荷物等をいれているんです」


「スゲー!マジで魔術スゲー!これってどうなってるんだ」


「私も詳しくはわからないんですが、一説には神の道具箱と言われています。自分で入れたものしか出し入れできず、他に同じスキルを持っている者がいても、中身が同じになる事がないので、そう言われています」


「へぇー!そう言えば攻撃ってどうするんだ?火の玉とかだせるのか?」


「そうですね……見た方が早いと思うので、やってもいいですか?」


「おう!頼む」


「ではーー」


 ワクワクしていると、俺の背後からもの凄い速さの何が飛んでいき、近くにあった木に命中した。横幅だけでも20mはあろう木が、ミシミシと音を立てながら倒れていく。


「スゲー!どうやったんだ今の!?」


「い、いえそれ程でもありませんよ。簡単に言いますと、水魔術で圧縮した水の球体を作り、それを風魔術で真空にした通り道に置き、後ろから風魔術で押し出したんです」


「それは魔術を使える者なら、気軽に何発も撃てるのか?」


「ええっと、純粋な魔術士3000人がいて、一人撃てれば良い方ですかね?だいたいそういう人は天才とか言われていますよ」


「簡単には賢者は越えられないか。ならレヴィアはスゲー天才って事だな」


 その言葉に照れたのかレヴィアは恥ずかしそうに俯いてしまう。


「すまない、からかっているワケじゃないんだ、本当にだぞ」


「いえいえいえいえ!コウ様にからかって頂くだけでも、御褒美……嬉しいですよ」


 御褒美と聞こえた気がしたが流石に気のせいだろう。


「魔術は誰にでも使えるのか?」


 見てしまったものは、使いたくなってしまうのが子供心ってもんだ。俺は少し期待しながら、つい聞いてしまう。


「簡単な魔術ならMPさえあれば使えますよ。後は使いたい魔術の属性をよく勉強し理解する事ですね」


「例えば?」


「火ならなぜ燃えているのか、何で構成されているのか、何となら相性がよく、何となら相性が悪いかなどですね。後は覚えてから、訓練や火魔術を覚えている魔物等を倒し、スキルレベルを上げれば段々と威力は上がっていきます」


「へぇー色々あるんだな」


「大概の事なら私が教えれますので、是非聞いてください!」


 色々な話をワクワクしながら聞いていると、気づけば夜は更に深くなっていた。


「と大分時間が経ってしまったな。すまないなレヴィア、のぼせてないか?」


「大丈夫ですよ。私お風呂好きなので、いつもこれくらいは長風呂してるんですよ。それに今日はコウ様とお話が出来ているので、凄く楽しいです」


「そう言ってもらえると有難い。そろそろ寝床の準備を始めようかな」


「あ、その……寝床は私にお任せ下さい!」


「ん?そうかならお願いしようかな」


「は、はい!で、ではスグに上がりますので、“ソコ”でお待ち下さいね」


 ソコで待ってという変わったお願いをされ、しばし待つことに。もしかして夜の森が怖いのか?


 レヴィアはスグに湯船から上がり身体を洗い出す。俺はその状況に悶々しながらも、地面を見ていると、少し前に水溜まりが見えた。


「ん?……ああ、さっき木を倒したやつか。ここまで水が来るって、相当な量を圧縮してるんだ……な……!?!」


 水溜まりをよく見てみると、ソコには月明かりに反射した、一糸まとわぬ姿のレヴィアが映っていた。


「……」


 少し見えにくいが、見てはダメと分かっていても見てしまう。そうこれは事故だから仕方ないっと自分に言い聞かせながら、見続けてしまった。


 こ、これは凶器すぎる。俺の息子も狂喜しているが。石鹸でそれは……


 今レヴィアは石鹸を泡立て身体を洗っている。泡により大事な部分が所々見えないが、逆にそれが興奮する。更に石鹸を身体にぬった事による独特な光沢が、太ももやお尻をより一層妖美に引き立て、何よりも大きな二つの果実が、それはそれは破壊力のある物に仕上がってしまっている。


 この世界に来て二ヶ月と少し、今までは魔物と戦ったりで、初めての事が多すぎて毎日を楽しく過ごしていた。だが溜まるものは溜まる。流石に生死が関わる森の中では、常に気を張っているためそんな気も起こらなかった。だが誰かと一緒に過ごす事により、安心感が出始めてしまったのだろう。更にはこの状況だ。今俺は握った手の平に血が滲む程に自分を抑えている。


 しばらくその状態が続きーー


「すいません、長い間見張りありがとうございます。スグに寝床作りますね」


「あ、ああ」


「?だ、大丈夫ですか!?コウ様!?」


 余程俺が座りながらフラフラしていたのだろう、レヴィアが心配をしてくれている。


「ん?ああ、大丈夫だ。少し眠気が来てしまってな」


 そんなわけがない、ただ我慢をする為に自分を殴りまくっていたのだ。そして幸運事に、殴る度に自動修復をしてくれるので傷もない。これこそ一石二鳥だ。としょうもない事を考えているとーー


「出来ましたよコウ様ー」


 開けた場所にレヴィアが居て、すぐ横に土色のカマクラのようなものがあった。


「おおーそれか。もうなんでもアリだな」


「ささ、どうぞどうぞ。中に布団も敷いてありますので、お寛ぎください」


 レヴィアがやたらと俺を中に入れたがる。しかし俺も久しぶりの布団を味わえると思い、早く入りたい。だが自分の服装が問題なのだ。


「こんな格好だけど入っていいのか?」


 そう俺は風呂に入ってそうそうに、2ヶ月も洗っていないズボンを履く気にもなれず、レヴィアから借りたバスタオルを腰に巻いている。しかしそんな心配とは裏腹にーー


「そ、それなら全然大丈夫ですよ!布団も使う度に洗っておりますので、本当に気になさらずに、中へお入り下さい」


「そ、そうか?なら遠慮なくーー」


 布団の誘惑には勝てず、中へ入ってしまった俺。中を見ると、広さは二畳程で、ちょこんとランタンが置かれ、部屋の中いっぱいに布団がひかれていた。


「おお、俺狭いところ好きだからなんだかワクワクするな」


 なんて言っているとーー


「で、では寝ましょうか」


 いつの間にか、胸元がVに開き、3分の1程の胸が見えるフリルのついた所々がスケスケの黒のネグリジェに着替えていたレヴィアが枕片手に立っていた。


「え?一緒に?」


「よ、夜は冷えますし、防犯上二人で寝る方がいいと思うんですよ!それにこの部屋は、土魔術でかなり硬く作っているので、魔物にも壊されませんし見張りもいりません、ですので安心して寝ましょう!あ、ちゃんと空気穴は作っているので二人で寝ても酸欠にはならないので大丈夫です」


 またもや俺を悩ますこの世界の常識かもしれない、常識が出てしまった。だが寝るだけなのだから何も心配はいらない。心配なのは朝にこのタオルが白くなっていない事を祈るだけだ。


「そ、そうだな。なら寝ようか」


 と俺が端の方に小さくなり顔を向けながら横になると、何故か小さくなっているハズの俺にピタリと背中を引っ付きながら布団に入ったレヴィア。


「……コウ様。おやすみなさい」


「あ、ああ、おやすみレヴィア」


 眠たいのか、少し艶のある声で眠りの挨拶をすると、フッとランタンが消えた。


 それから半刻程経ち、俺が全く眠れずにいるなか、背後にいるレヴィアがモゾモゾと動き出し、俺の背中に物凄く柔らかい何が当たりだす。



「……!」


 これは確かに“アレ”が当たっている感触。レヴィアは寝ぼけているのか、更に俺の背中に押し付けていく。



「……くっ!」


 更にそこから30分程その状態が続き、流石の俺も我慢の限界を迎えた。


「レ、レヴィア起きているのか?」


「……」


「少し向こうにレヴィアを向けるぞ?」


「……」


 そして俺が身体の向きをレヴィアの方に向けるとーー


「……!」


 ギュッ。っとレヴィアが抱きついてきた。更に不運な事に、俺の両手がレヴィアの胸に押し付けられてしまい、モロに手に感触が伝わってくしまい、もう自分では自制が聞かない状態になってしまいそうだ。



「……は!これはヤバい!離さなければ!」


 自分に言い聞かし、離れようとするのーー


「!!!」


 ガッと俺の手首を両手で捕まれーー


「レ、レヴィア!こ、これーー」


「コウ様……どうかお優しく……」


 その言葉に俺の理性は吹っ飛んだ。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ