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二度目の人生は強敵と共に  作者: 金色い閃光
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第25話 パッシブ


 あれから俺達はレヴィアが近くの町から呼んでいた兵士達と共に、捕らえられていた人達を助け出した。


 それから3日が経ち、事の大きさが明らかになる。


 結論から言うと町一つ、ほぼ全ての住人が捕らえられていた。ただ「い゛い゛い゛」と奇声を発していた人達は見つからず、あの小汚い男以外、加害者らしき人物も発見出来なかった。

 虚ろな表情をして捕らえられていた人達は、3日経つとチラホラと正気に戻っていき、娘さんも約束通り無事にお母さんの元へと帰す事が出来た。ちなみにだが、助けたお礼にとそのお母さんから手紙を受け取ったのだが、書いてあったのが、お母さんの名前がララという事と、住んでいる場所だけだった。その時のララさんは顔を赤らめながら「いつでも来てください」と言っていたのだが、それを見ていたレヴィアがやたらとニヤニヤしていた。まさか身体でお礼なんて展開……まあ機会があれば行ってみるつもりだが。


 そうして今俺達4()()はあの屋敷の一室にいた。



「それで顔が爛れた人達の状態は?」


「洗脳については他の方達と一緒で、日数経過で解かれると思われます。顔の爛れ等も治療可能でしたが、あの爛れは身体の内側から発生したもので、どうしてああなったかは分かりませんでした」


「理由が分からなくても治るならよかった……あとキールの妹さんは?」


「ああ、妹も洗脳は解かれたようで、今は元気に他の者達の様子を見ている」



 妹の事を聞かれて嬉しかったのか、いつも無愛想なキールは少し微笑みながら答えてくれた。実はこの3日間の間に話す機会があったので、男の先輩冒険者という事もあり、色々聞いていたんだが、喋り出すと意外と面白い奴で、気づけば呼び捨てで呼び合う程仲良くなっていた。ちなみに大好きなのは妹、好きなのは戦いらしく、パッシブスキルはツンデレだ。



「そうか、ならとりあえずは皆無事という事だな」


「はい。黒幕が捕まえれなかったのは残念ですが、()()を発見できたのは本当に運が良かったです、この件も含めて王都で報告すれば注意喚起にもなりますからね」


「なら早く王都へは向かった方が良さそうだな」


「ちょっと待て、コウ達は()()王都へ向かうつもりなのか?」



 キールは少し驚いた表情をし、含みのある言い方をして聞いてきたので、とりあえずこれまでの経緯と依頼の内容を伝えた。



「そう言えば、顔が汚いギルド長が頭を下げながらそんな事を言っていたな、興味が無かったので速攻で断ったが」


「可哀想にギルド長……」


「ふっ、妹ぐらい可愛ければ聞いてやったんだがな、あまりにも醜悪過ぎて、話すら聞けなかったな」


「……それで王都で何か気になる事でもあるのか?」



 少しふざけていたキールが真剣な表情に切り替わる。



「ああ。王都の一部は旅人や冒険者が来ることによって経済が回っているんだが、ココ最近新規の旅人や冒険者が激減していて、生活が出来なくなるほどヤバくなっているらしいんだ」


「ちょっと待て、それって……」


「そうだ、それは俺も思っていたんだが先に話を聞いてくれ。結論はそれからでもいいだろ?」


「すまない、先走ったな」


「いいんだ。それで話の続きなんだが、その影響で生活が苦しくなった人に、王からの命令で金を配ったらしいんだ」



 それのどこが気になるんだ?と首を傾げているとーー



「コウ様は知らないと思うのですが、この国の王族や貴族は基本的に自分達の事しか考えていません。実際にあった話なのですが、貴族の前である旅人がコケたらしいのですが、貴族の機嫌を損ねたとの事で奴隷にされたらしいのです」


「おいおい、ちょっとまてよ。貴族に被害はない前提だよな?」


「そうです。貴族にとって理由なんて何でもいいんです。ただ自分の目の前でコケたのが不吉だからと言った理由で奴隷にする。それがこの国の貴族なんです」


「そんなんで国として成り立つのか?」


「残念ながら……」


「一応貴族や王族が町を歩く時は、兵士やメイドがやたらと着いてきて、遠目でもわかるからな、平民はどこかに隠れるのが普通なんだがな」

 


 やりきれない顔をするレヴィアに変わって、キールが補足してくれた。だがそんな場面に遭遇して、はたして俺は無視を出来るだろうか、そんな事ばかりを考えてしまう。



「でそんなクソみたいな王族共が平民に金を渡すのは有り得ないと言いたいのは分かった。だがたまたまその日の気分が良かったとか、実は他のまともな王族が王をそそのかして金を配ったとも考えれるんじゃないか?」


「それも有りうる。だがこんな話がまだ何件もあるんだ。それに……」


「それに?」


「……噂が流れているだけで真実かは分からないんだが、王子達が()()()()()処刑されたらしい」


「……王子達とは第1王子から第44王子まで全員という事ですか?」



 話を妨げ内容にどうにか声は抑えたが、第44王子ってどんだけ王子がいるんだよと、笑いそうになってしまうが、()()()常識のようで、レヴィアの質問にキールは淡々と答えた。



「噂では第8・10・40の3人だが、牢屋にぶち込まれているのは10人ほどいるらしく、まだまだ()()()|って話だ」


「……噂にしてはかなり詳細ですね」


「そうなんだ、俺もそれが気になっていてな、更には今回の件と王都での旅人の激減。王都へは近づかないのが懸命だろ?」


「……コウ様はどうお思いですか?」


「そうだな……正直王都へは行きたくはないが、問題を先送りにしても事態が悪化する気がしてしかたがないし、とりあえず行ってみないか?」


「分かりました。では出発は明日の朝でよろしいですか?」


「おう!」


「……コウ」


「どうしたキール?」


「妹の世話があるから一緒には行けないが、俺の町にお前が好きそうなモノがある。暇が出来たら遊びに来い、いいな?」



 キールとはまだ会って3日しか経っていないが、本当に気が合い、仲良くなれたつもりだ。そんなキールが照れくさそうな顔でそんな事を言えば、流石の俺でも激励してくれていると分かってしまい、こっちまで恥ずかしくなってしまうが、もちろん返事はーー



「もてなせよ」


「もちろんだ、お前には特別に妹の手料理を食わしてやろう」


「ああ、楽しみにしてる」



 そうして一日が過ぎーー



「よっしゃ!行くか!」


「はい」


「行くであります!」


「コウ、次会った時は手合わせをするからな」



 妹が完全に回復するまでここに残ると言ったキールは、俺達を見送る為、妹と一緒に町の外まで来ていた。



「お兄ちゃん!ダメじゃないそんな言い方したら!すいませんコウさん」


「いいんだよキーナちゃん、お兄ちゃんは恥ずかしがり屋さんなんだから」


「うるさい!」


「ハッハッハッ冗談だキール……だが次会った時は時間を気にせずじっくりと語りたいな」


「フンッ……せいぜい気をつけて王都へ行くんだな」


「ああ、ありがとう。じゃあな」



 そうして俺達は王都へ向け出発した。







ーーー


「チッ!」



 豪華を通り越し()()()()()()()()()()()()()()()()()が、革張りの大きな椅子に座り苛立った様子で舌打ちをしていた。



「どうなさいましたかバルナ様」



 明らかに小間使いと思われるひねた顔の男が、誰が見ても上辺だけとわかる口調で、下品な男に声をかけた。



「お前も聞いただろう、()()が一つ潰された。しかもコレから運びだそうって時にだ!」


「おお、そうでございましたね。ですが()()はまだ二箇所も残っております。それに潰されたのなら、また作ればいいのですよ」


「それはそうなんだが、私の邪魔をするというのが気に食わない!どこのクズかはわからんが、俺の手で()()()やりたいくらいだ!……分かっているな?」


「はい。わかり次第、()()()を使いココに連れて参ります」


「ウム、頼んだぞ。……それにしても何故()()()をもっと渡さないんだ!100でもあれば()()()()()()のように、あの女も王都も私のものに出来るというのに」


「ですが計画は順調に進んでおります、後は時間の問題。そう焦らずとも必ずやバルナ様はす()()()手に入れる事でしょう」


「……それもそうだな。焦らせば焦らすほど後が燃えると言うものだしな」


「そうでございます。()()()()()と思えば、楽しみも増えるではありませんか」


「そうだなそうだな!だが牧場を潰した奴は必ず捕まえろ!わかったな?」


「承知致しました」



 そうして王都のとある一室で、欲望にまみれた汚物のような笑声が響くのであった。



ーーー







 出発から10日後ーー



 ようやく王都へ着くことが出来た。



「すげー!」


「おおー大っきいであります!」



 ブレスレットのおかげですんなり検問所を通ることが出来た俺達は、お城のような建物が建ち並ぶ通りにいた。



「これは王都を南から北へ抜けるメインストリートの一つです。もう一つは西から東へと抜けれるようになっており、ちょうど十字の形になるよう通っていまく。ちなみにこの道は色々なお店が集まった商業施設のようになっていて、ここでは手に入らない物は無いと言われています」


「まだこんな道がもう一つあるのか!凄いな!流石、王国の中心部!」


「まぁ賑わっているのはこの通りだけで、他は貴族の移住区や平民の移住区に分かれていますし、ここから見える王城は基本的に立ち入り禁止ですので、行く事はないと思います」


「そうなんだな。それでこれからどうするんだ?」


「とりあえず王都のギルドで今までの事を報告したいと思います。それからは指示があり次第といった感じですかね」


「了解」



 予定が決まり、早速ギルドへ向かおうとするとーー



「……いい匂いであります」



 クナの言葉にチラッとメインストリートの方に顔を向けると、活気ある声と共に肉が焼けたいい匂いがしてくる。



「……そうだな少し時間は早いが、そろそろ昼だし、早飯でもするか!」


「やったー!ご飯であります!」



 余程腹が減っいたのか、口からこぼれたヨダレを拭くこともせず、クナは大きめの胸を揺らしながら、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。



「レヴィアもそれでいいか?」


「はい」


「よし!じゃぁ行くか!」


「おー!であります!」




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