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二度目の人生は強敵と共に  作者: 金色い閃光
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第21話 集大成



「……ぶはぁ!」


 気持ちよく寝ていると、突如柔らかい()()に口を塞がれ、酸素を求めて俺は目が覚める。目の前にはレヴィアがぐっすり眠っており、俺を窒息させようとした豊満な胸を上下させていた。


「ふぅ……」


 昨日は抱きつかれたまま、あまりの心地良さに気づけば眠ってしまったのかと考え、ふと部屋を見渡すと、まだ薄暗く窓の外を見ると空が白みだした頃だった。俺は喉の乾きを覚えベッドから起き上がり、ベッドの際にある小さなテーブルからコップを手に取ろうと1歩前へ踏み出すとーー


「ぎゃっ!」


 突然ベッドの下からくぐもった悲鳴が聞こえてくる。「ん?」と足の下を見ると、誰かの手を踏んづけていたようで、咄嗟に足を上げた。


「すまない、クロウラーだよな?」


 名前を呼び確認すると、ベッドの下からゴキブリのようにカサカサと裸のクロウラーが出てきた。


「おはようであります!」


 クロウラーは最悪の起こされ方をされたというのに、すぐさま元気よく立ち上がり、ビシッと敬礼をしながら挨拶をする。


「おはよう……ってかなんで裸のまま、ベッドの下なんかにいたんだ?」


「実はでありますね、初めは用意してもらっていた布団に寝ていたんでありますが、気づくとベッドの下にいたので、服が汚れてはダメと思い脱いだであります!」


「なるほど!……って納得できるか!」


「い、いやーなんだか狭くて暗いところの方が落ち着くんでありますよ……」


「ああ、そう言う事ね……」


 人間の姿になってもクロウラー()()()は残っているんだと納得した俺は、ようやくテーブルに置いてあった水を飲み干した。



「ふぅ。手は大丈夫か?」


「大丈夫でありますよ!」


「よかった、すまないな。ところで名前を決めたいんだが、何か希望はあるか?」


「いえ!自分はクロウラーで充分であります!」


「それはかなり困る。流石にこんなに可愛い女の子を、魔物の名前で呼ぶのはな……それに町中でクロウラーなんて呼び方してたら、イジメか奴隷的なのに思われてしまうだろ?」


「あ!そうでありますね!じゃぁ首輪と口枷と着けた方がいいでありますね!」


 真面目な顔でこんな事をいうクロウラーに、俺は本気を腰を抜かしかけてしまう。


「いやいやいやいや!なんでそっにちなるんだよ!」


「ん?コウサカ様は()()()()()も好きでありますよね?」


「それはーー!」


「その話詳しく教えていただきましょう!」


 いつから起きていたのか、レヴィアは俺が言い訳するよりも早く布団を風で吹き飛ばし、いつの間にかクロウラーの前まで移動したと思うと、荒々しい形相でクロウラーの手を懇願するように握っていた。


「了解であります!」


 クロウラーは元気よく返事をすると、()()()で俺の性癖暴露大会を始めてしまう。


「えーっと、さっきの続きからでありますと、口枷・足枷・目隠し・首輪等の拘束系が好きでありますが、これがダメとかは無く、基本的には何でも好きであります。特に好んでいたのがーー」


 俺が歩んだ27年間の集大成を惜しみなくレヴィアへと伝えられていく状況に「ワーッ!」と叫びたい気持ちを抑え、まだ薄暗い部屋からそっと出ていった。







 

 宿の外に出ていた俺はしばらく町を散策し、通りに人が歩き始めた頃、ようやく部屋へと戻ってみることにした。


「入るぞー」


 扉の前に立つと何故か胸騒ぎがして、必要のない声をかけてから、恐る恐る扉を開けるとーー


「!」


 絶句した。


 俺の性癖を叩き込んだかのような状況に。









 なんだかんだあったのだが、結局は丸一日を使い、こんな幸せな事があっていいのかと言うほど満足した()()3()()()翌朝に「もう一泊しませんか?」というレヴィアとクロウラーからの誘惑を、どうにか振り切り、ようやく宿から出ることが出来た。


「私まだまだ勉強不足でした」


「ど、どうしたんだ急に!?」


「賢者という職業に甘え努力を怠り、コウ様に出会わなければ、()()()()()()知る由もありませんでした」


「そ、そうか、ならいいんだが」


「これも()()のおかげです」


「いえいえ、それ程でもないであります」


「……本当に()()でいいのか?」


「とんでもないであります!自分はこの名前が気に入ったであります!」


 そう言ってくれるクナなのだが、実はこの名前、()()()()()に決まったのだ。クナは俺の記憶全てを把握しているイコールだ、俺の弱点も知り尽くしている。そのせいで、何故かクナもレヴィア指示のもと参戦し、二人三脚で手取り足取り責められてしまう。そしてその最中俺があまりの気持ちよさに、クロウラーと呼ぼうとする声と、俺の出してはならない声が混ざり合い「クっ……な……」となってしまった訳だ。


「お、おう、それならいいんだが……」


「では一段落しましたし、予定通り王都に向かいましょう!」


「おー!であります」


「了解」


 そうして俺達は一日遅れでようやく町から出ることが出来た。








ーーー


 王都のとある一室ーー


「グヒ、手始めに()()を王都の一部に撒いて、反応を見たいと思うのですがよろしいでしょうか?」


 豪華を通り越し、下品に見える程の装飾品に身を包まれた貴族風の男がそう言うとーー


「貴様の好きにしろ。どうせ一度でも吸ってしまえば、()()()()()()()


 何故か顔だけが()()出来ない、地味な服を着た中肉中背の男がそう答えた。


「グヒヒヒヒ、おー怖い怖い。それで報酬の件なのですが……」


「分かっている。女程度いくらでもくれてやる」


「グヒヒヒヒヒヒヒ!これで()()()は俺のモノだ!グヒヒヒヒヒヒヒ!」


 貴族風の男は股間を大きく膨張させながら、上を向き下卑た欲望を口に出している。そんな男に呆れたのか中肉中背の男は、静かに部屋から出ていった。


「……気持ちの悪い」


 男はそう言い残し()()()()()()()()()のであった。



ーーー









 出発から3日後の夕暮れ時ーー


「もうそろそろ次の町が見えてくるはずです」


「ようやくか……今日はゆっくり休めるといいな」


「それは無理と思うであります!」


 クナの言葉に俺は深く頷く。それと言うのもレヴィアが俺の趣向を知ってから、夜の方が更に激しさをマシていってしまい気づけば朝方なんて当たり前、もう寝不足もいいところだ。それにノッてしまう俺もダメと思いつつ、チラッとレヴィアの方を見れば、見えそうで見えないように胸元の服を引っ張りながら誘ってくる。俺が()()()()()()好きと知っていて。

 


「……レヴィア?」


「はい、なんでしょうか?」


「前々から気になっていたんだが、レヴィアの住んでた町の名前ってなんて言うんだ?」


 胸をガン見しながら言うセリフでは無いのだが、どうしても目が()()()いってしまう。まあそんな事をしても文句を言うどころか、喜んでしまうのがレヴィアなのだが。


「ええっと……それはですね……知りたいですか?」


「そういえば聞いてなかったなって思ってな、どうしたんだ?」


 何故か歯切れの悪いレヴィアに俺は首を傾げてしまう。


「レ、レヴィーアです……」


「レヴィーア?えらくレヴィアと似ている名前だな、たまたまだよな?」


「……」


「どうしたんだ?」


「……私の名前が元なんです」


「え?」


「実はーー」


 レヴィアはそれはそれは恥ずかしそうに理由を教えてくれた。

 元々の町の名前はヤラという名前で、町自体も30年程前に出来たばかりだったらしい。だが町を作り上げた当時の貴族が何者かに殺され、その貴族一家も町を出たそうだ。そんな先行きが不安の中、レヴィアが伝説の賢者と判明すると、町を挙げて大々的に祝ってくれたらしい。それを記念して町の人達が相談してレヴィーアとなったとの事。ちなみに今の町の代表者はダルドさんで、皆で頑張って町を維持しているらしい。


「そ、それは大変だったな……」


「コウ様は分かってくれるのですか!?」


「流石に自分住む町の名前と一緒なのはな……たまたまなら仕方がないが、完全にレヴィアだからな」


「うぅ……ありがとうございます……」


「まあまあ、町の人達も悪気があった訳じゃないしな……ちなみに次の町の名前はなんて言うんだ?」


「あぁ、説明がまだでしたね。町の名はキャノック、別名吹き溜まりの町と言われています」


「吹き溜まり?」


「はい。私の町を含む周辺の町から王都に行くには、必ずキャノックを通る事になるんです。そのおかげで、色々な人や物資が集まるんですが、そこら辺のゴロツキや山賊紛いの人達が集まってしまい、かなり治安が悪いのです」


「……そこは必ず寄らなければならないのか?」


「キャノックを通り過ぎてしまうと、王都まで物資を補給する事が出来ないので、出来れば寄りたいですね」


「なら仕方がないな。だが長居はせず、補給を済ませたら直ぐに出発する方向で行こうか」


「はい。それは私もそれが良いかと思われます」


「うん、気をつけて行こう」


「おー!であります」


 一抹の不安を残し、俺達はキャノックへと向かった。



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