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二度目の人生は強敵と共に  作者: 金色い閃光
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第12話 Lv10


「うわー本当に凄いですね」


 俺達は今、誰も居ないギルドの医務室にお邪魔している。そこでレヴィアは俺の手を両手で大事そうに持ち、自動修復によって元に戻っていく俺の拳を、興味津々といった表情で見ている。


「そうなのか?回復魔術と同じようなものじゃないのか?」


「特定の回復魔術を除いて、その者の回復力を促進させて早く治っていくだけで、傷跡や後遺症が残る場合もありますし、疲労も蓄積されます。ですから戦闘が終わった直後や、交代要員がいる場合ぐらいしかまともには使えないのです。まぁHPは回復しますので、問題は部位欠損と疲労の問題になるだけですが」


「魔術も万能ではないんだな」


「そうなんです。しかも回復魔術を習得しているのは、ギルド情報で冒険者の10人に1人。通常のパーティは基本4~6人ですので、どうしても数がたりません」


「ん?なら怪我をすればそこで撤退か?」


「いえ、回復薬などがありますから問題は無いのですが、少々お高くなっておりますし、何よりLv2の回復魔術と同じ程度なので、少々心もとないんですよ」


 その言葉に俺は、当たり前のような疑問が浮かぶ。


「……なあスキルのレベルは、1と10ではどれ程変わるものなんだ?」


「ええっとですねーー」


 どう説明したものかと悩んでいるのだろうレヴィアは、紙とペンを取り出し、分かりやすく書いて説明してくれた。

 


 魔術の場合


 制御範囲:魔術を放つ際の空間座標の指定等


 放出量:魔術の規模・威力に関わってくる


 変質:魔術を質を決める(火魔術ならゆっくり燃える・粘り気のある炎等)


 変形:魔術の形を変える


 変化:魔術が相手に与える効果


「魔術なら、スキルのレベルが上がることによりこれらの能力値が上昇します。単純に攻撃力が上がったり、効果範囲が広くなったりですね」


「全てが上がるのか?」


「いえ、人によります。制御範囲だけが上がる事もあれば、全てが少しづつ上がる事もあります。戦闘で使う場合、攻撃系の魔術ならLv3、回復ならLv2からが最低ラインですね」


「覚えて終わりではなく、鍛えてやっと使えるようになるって事だな」


 コクリとレヴィアが頷く。


「そしてここからが質問の答えです」



 火魔術


 Lv1 指先程の火


 Lv3 手の平程の火


 Lv6 木を燃やし尽くし、耐性の無い者なら消し炭にする程。


 Lv9 一般的な鉱物を溶かし、小さな村なら一瞬で火の海にできる。


 Lv10特殊な能力付与


「放出量のみの垂れ流し火魔術でなら、これくらいの差ですね。実際は圧縮したり、相手を球状に包んだりと手を加えるので、使う者によって色々とかわりますが」


「じゃぁこの特殊っていうのは?」


「はい。これも人によって変わるのですが、私の魔術でいいますと、火魔術なら自分が出した火以外を操れるようになったり、風魔術なら、完全な真空や空気に質量を持たせることが出来たりですね。まぁいくつかの制約もありますが、それでも通常の魔術に比べれば性能は段違いです」


「……なら俺もあるって事?」


「確かにコウ様のスキルもほぼLv10でしたね。詳しくはスキル欄から見れますので、家に帰ってからでも見ましょう」


「そうだな、傷も癒えたし帰ろうか」


 少し話に夢中になりすぎた俺達は、ようやく医務室から出て、家へと歩み始めたのであった。









「ただいまー」


「戻りましたー」


 玄関の扉を開け、戻った事をつげるとーー


「あらぁ、おかえりなさぁ〜い」


 レーナさんはすぐに玄関まで来て出迎えてくれた。俺とレヴィアはそのまま家の中に入り、レーナさんと一緒にリビングのソファへ腰掛けた。


「遅かったから心配したわよぉ」


「すいません。試合はすぐに終わったんですが、その後に医務室でちょっと話し込んでしまって……」

 

 医務室と言った辺りでレーナさんの目が輝いた気がするとーー


「ふふふふふっ、良いのよぉ?男女が出会ったばかりの頃は色々な事が新鮮で楽しいものねぇ」


 案の定、何かイケない方に考えたのは間違いない。


「母さん!」


 するとレーナさんの言葉に怒ったのか、レヴィアが少し大きめの声を張り上げーー


「医務室……イイ!凄く燃えるかも!何で私は気づかなかったのよ!はぁ……あの時の私をぶん殴りたい……」


 どうやら間違えていたのは俺のようだった。





「ところでどうだったのぉ?試合のほうわぁ?」


 何かを思い出したかのように喋りだしたレーナさん。


「かーー」


「それはもちろん勝ったよ!」


 俺が答えようとすると、レヴィアが何故か俺より早く答えてくれた。


「それはよかったわぁ。なら今日はお祝いねぇ。何か食べたい物はあるかしらぁ?」


「なーー」


「お肉たっぷりのビーフシチュー!オムライス!後デザートも!」


 なんでも良いですと言いかけるが、再びレヴィアが答えてくれた。


「良かったわぁ。なんでもいいって言われたら困っちゃうところだったわぁ」


 ありがとうレヴィア。と感謝しているとーー


「レヴィちゃん、お買い物いってきてちょうだい。お母さんは料理の下ごしらえがあるから、いけないのよぉ」


「ええ〜。これからコウ様と、何かしようとおもってたのに〜」


 レヴィアはこの世の終わりとでも言うような表情で文句を言うとーー


「何かって事は、何も決まってなかったんでしょぉ?まだコウくんは家に居てもらうんだし、明日でも良いじゃない。それにコウくんに美味しいご飯食べてもらいたいじゃない?」


「……わかりました、行けばいいんでしょ、行けば」


「もう仕方の無い娘ねぇ。はいコレ買うもののメモねぇ。大半はレヴィちゃんの食べたいものなんだから、我慢してねぇ」


「はいはい……あ!私賭け金貰うの忘れてた!買い物ついでに取ってくる!」


 そう言うとレヴィアは慌てた様子で家から走ってでて行ってしまった。


「あらあらぁ、あんなに急いでぇ。よっぽとコウくんと一緒にいたいのねぇ。羨ましいわぁ……」


 と言い終わると、レーナさんは何故か俺の事をチラッと、意味ありげに見てきた。


「いや、その、羨ましいってそんな……」


 その妖美な瞳と目が合うと、つい胸が高鳴り、テンパってしまう。


「そういうところよぉ?ふふふ、ところで今後はどうするのかしらぁ?」


「冒険者にもなれましたので、そろそろちゃんと仕事して、金貯めて、とりあえずは宿でも借りようかと思ってます。いつまでも世話になりっぱなしでは申し訳なくて……」

 

 すると対面のソファに座っているレーナさんが急に立ち上がる。俺の方に歩いて来ると膝をつき、俺の右手を両手でギュッと握りながらーー


「コウくんはぁ、レヴィちゃんや私の事は嫌い?」


「いえいえいえいえいえ!」


 冗談で言っているのかと思ったが、レーナさんの表情は真剣そのもの。俺はそれに答えるべく、首をこれでもかと言うくらいブンブンと激しく横に振りながら、全力で否定した。


「ふふふ、良かったわぁ。コウくんがこの家から出たら、冒険者同士のレヴィちゃんとコウくんは何かと会えるけど、私だけ仲間外れになっちゃうから、心配しちゃったわぁ」


「そ、そんな〜仲間外れだなんて、しませんよそんな事、絶対に」


「ふふふ、ありがとう。じゃぁそろそろご飯の準備するからぁ、ゆっくりしててねぇ」


 と台所へと振り返ったレーナさんは、俺の気のせいなのか、いつもよりお尻を強調させながら歩いていた。







 しばらく経ちーー


「ゼェゼェ……」


 眼鏡を真っ白に曇らせ、酸素を求めて這いつくばるレヴィアが玄関に居た。


「ふふ、ありがとう」


 レーナさんは心配もせずに、レヴィアが手に持っていた麻袋を受け取ると、そのまま台所へと直行する。


「大丈夫かレヴィア?」


「ひ、1人では歩けません……肩を……抱っこしてください……」


 何故か言い直したレヴィアを、お姫様抱っこし、リビングへ向かった。


「おろすぞ?」


「……はい」


 一瞬の沈黙の後、返事をしたレヴィアをソファへと横に寝かせる。


「いいわねぇ。私も玄関で倒れてたら、抱っこしてくれるかしらぁ?」


 いつの間にか俺の背後にいたレーナさん。


「は、はい!もちろんです!俺で良ければ何でもさせていただきます!」


「まぁ、それはうれしいわぁ。その時は是非お願いねぇ」


 そう言ってレーナさんは再び台所へと向かい、俺は寝ているレヴィアの横へと座った。


「大丈夫か?」


「は、はい!大丈夫ですよ!」


 つい先程まで疲労困憊だったレヴィアだが、俺の心配に元気よく返事をしてくれる。


「そうか、なら良かった。ご飯出来るまでは時間があるだろうし、さっき言っていた俺のスキルでも確認するか?」


「は、はい!是非!」


 寝ていたレヴィアはすぐに起き上がり、俺に寄り添うように肩を引っ付けながら、俺はステータスを開いた。


「よしっと……ってめっちゃレベル上がってない?」


コウサカ アキ Lv148 男 27歳

武闘家 ランク9

HP 28000/28000

MP 0/0

STR 910

INT 30

MDF 250

DEX 600

AGI 950

LUK/Max


スキル

女神の愛

身体硬質化Lv4

忍耐の殺戮者Lv1

痛覚遮断Lv10

疲労軽減Lv10

恐怖耐性Lv10

悪食


称号

女神の愛人 転生者 黒の天敵



「これは上がりすぎですね……いつの間にレベル上げなんて……あ!アレですか?」


「……そうだな、黒鬼の件しかないな。しかしレベルってこんなに上がるもんなのか?」


「いえいえいえ!普通100を超えた辺りから凄く上がりにくくなりますよ!一日中ずーっと毎日戦い続けて、一年で5上がればいいほうじゃないですかね?あとは運良く、凄く強い魔物に会うか、レベルの上がりやすい魔物がうじゃうじゃと湧くかですね」


「……まぁその件は置いといてーー」


 何か良くない事が起こっている気がしたが、俺は問題を後にし、大きくしてから楽しむスタイル。なので関係ないと言わんばかりに、スっとスキルを開いた。


《痛覚遮断Lv10》

完全に痛覚を遮断出来る。任意。


《疲労軽減Lv10》

疲労を感じなくなる。


《恐怖耐性Lv10》

完全な恐怖耐性。常時発動。


「なるほど、これらの特殊能力は完全耐性のようですね。しかも恐怖耐性はいいですよ。普通は確率で防ぐようになっているので、Lv9でも戦慄状態になったりするんですよ……ってなんでベルドモンドさんとの戦いの時に痛覚遮断を使わなかったんですか?」


「ああ、1度使って見たんだけど、本当に全く痛くなくてな。逆に戦闘に支障がでるんだよ」


 レヴィアは分からないと言った表情で首をかしげる。


「いやな、敵に攻撃されたのか、それとも触られただけなのかが分からなくなってしまって、やりづらかったんだ。それに戦いは痛くてこそだろ?」


「……そ、そうなんですかね」


 次はよく分からないと言った表情でレヴィアが返事をするとーー


「もうご飯できるわよぉ」


 レーナさんの声が聞こえ、俺達は一旦話を止め、食事を摂る事にするのであった。

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