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二度目の人生は強敵と共に  作者: 金色い閃光
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第1話 プロローグ


 俺は薄暗い廊下を歩いていた。

 少し先にある扉からは、ザワザワと人の声が聞こえ、これから行われる試合に大勢の人がいる事がわかる。


 扉から出ると、一斉に怒声や罵声が俺に叩きつけられ、色とりどりのスポットライトが俺を照らしだす。


 ここは、とある役人が作ったルール無用の地下闘技場。銃火器以外ならなんだって使っていい。もちろんこんな所に来るやつは、金持ちかおかしな奴しかおらず、俺に向ける視線は気持ち悪いものばかりだ。


 そんな中、場内アナウンスが聞こえてくる。


「イーストサイドからは地下格闘場の絶対王者、香坂明の登場だ!この格闘場で10年間無敗。試合数にして720!しかも全ての試合を殺さずにKOで勝っているという驚きの戦績!その絶対王者に今から挑む無謀な三人がコイツらだ!」


 俺を照らしていた色とりどりのスポットライトが消え、代わりに三色のスポットライトが各入口にいる三人を照らした。


「ウエストサイドは中国からの贈り物、チェン・クーだ!使うのは棒術!武器はもちろん木の棒だ!そしてサウスサイドはアメリカの喧嘩屋、剛腕のジョン!武器はメリケンサック!最後にノースサイド!またもやアメリカから!ボクシングのチャンピオン!ミタロチアン・メルゴー!武器は無し!以上が今夜の対戦相手だ!」


 紹介が終わると対戦相手の一人、チェンが近づいてきた。


「ん?挨拶か?」


 チェンは近づいてくると、左手を差し出してきたので俺も左手を前に出した。すると先程までニコニコしていたチェンが無表情になり、どこからともなく出した木の棒で突いてきた。


「おお速いな」


 突かれた棒に対し俺は左ジャブを放った。一瞬信じられないといった顔をしたチェンだが、突きの速度が落ちていないのは流石だ。だが拳と棒が接触した瞬間、チェンの腹部には俺の左前蹴りが深々と刺さっていた。

 時間にすればコンマ何秒。大勢いる客も俺達が何をしているか分からないだろう。そんな中遅れながら試合開始のゴングが鳴り響いた。


「ぐぅぅうう」


 あまりのダメージに前のめりに倒れるチェン。

 するといつの間にか後ろに回り込んでいたジョンが俺にショルダータックルを放ってきた。俺はゆっくりと腰を落としながら振り向き、脇目掛けて正拳突きを放った。バキッと言う気持ち悪い音と共にジョンは唾液をこぼしながら倒れていった。


「おおーと不意打ちからの不意打ちで盛り上がったのは一瞬!今日の挑戦者は雑魚過ぎだー!」


 何故か煽りに煽る解説者。内心フフっと笑っていると、最後の一人が近づいてきた。


「お?あんたはまともだな」


 目の前まで来たメルゴーは構えをとると拳をだしてきた。俺はその挨拶に答えるべく、同じように拳を出す。


 チョン。


 そんな可愛らしい音が聞こえてきそうな風に、拳と拳を当てると、メルゴーのラッシュが始まった。


 左ボディ・右オーバーハンド・左アッパー・右ボディ・右アッパー・左ジャブ・右フック・ワンツー。

中々に早く多彩な打ち分け流石は世界チャンピオンと言ったところか。

俺はそんな高速のコンビネーションの合間をぬって、左ジャブを入れる。だがメルゴーの手は休まらず徐々に俺に近づいてくる。


 バタン。近づいてきたハズのメルゴーは手を動かしながら倒れていき気絶した。


「……試合終了ー!今夜も誰も寄せ付けない素晴らしい技術で瞬く間に三人を倒した!その名は香坂明!!!」





「いやー今日もご苦労さん。香坂君が試合してくれるだけで儲かって仕方がないよ」


 俺の前には黒いサングラスをしたいかにも暴力が好きそうな人物がいる。昔から世話になっていて、見た目に反して面倒みがよく、“俺には”優しく心暖かい人だ。


「まあ武者修行の一環ですからね、いつでも呼んでください」


「出来れば毎回参加して欲しいけど、やっぱりダメなのかい?報酬も正規の金額で出すよ?」


「いや、僕は強くなりたくて出場しているだけですし、初めの契約どおり、参加は僕の都合を優先、報酬は電車賃といつもの晩御飯だけで十分なんですよ。それに、毎回海外修行のお金も出してもらっていますし、僕には十分過ぎますよ」


「そうかい……まあ気を使って出場も増やしてくれているようだし、無理は言わない事にしておくよ。それにしてもまた海外に行くのかい?」


「はい。やはり向こうには面白い人が多いですからね。道場破り的なのも向こうじゃ、面白そうって言って受けてくれますし」


「良くもまあ英語も喋れないのに行くんだね。まぁ気をつけてね。向こうじゃ治安とかも悪いし」


「何回も行ってるところなんで大丈夫ですよ」


 そう言いながら俺達は拳を合わせ地下格闘場を後にした。





 とある公園のベンチーー


「はぁーヤリたい。何で俺には恋愛運ゼロなの?」


 俺がため息をつくのにも理由がある。

 思春期真っ盛りのムラムラのムラな時期に俺には彼女が居た。中学一年から付き合っていて「そう言う事は高校になってから!」っとキツく言われていたので我慢しまくった。本当は俺の右手が彼女じゃないのか?っと言うくらい我慢した。


 そして俺達は高校に上がり、そこでまさかの事件が起きた。


 彼女が寝盗られていたのだ。しかも教頭に。


 もちろん半分だけ殺して、警察に突き出したが俺の心は癒えず、色々考えた結果俺はヤリたいだけなのだ!という事になりモテるために格闘技を始めた。確かにモテた、だがこうなんか、言っちゃ悪いけどオークさん的なのとかが多く、俺の下半身も全く反応せず、気づけば27歳になってしまっていた。


「はぁーとりあえず帰るか……」


 二度目の溜息を吐き出し俺は夜道に消えていった。





一週間後ーー


「ふぅ、やっと着いたな……ん?」


 俺はアメリカの空港にいた。

 いつも通りタクシーに乗り目的地へ向かおうとすると、タクシー乗り場の横で「Helpme」と書いた画用紙を掲げながら、色々な人に声をかける人がいた。

 どうしたんだ?と思い近づくと、あまりのデカさに驚愕する。目の前には大きなそれは大きな大きな果実をぶら下げたムッチムチのプッリプリなお姉さんがいて、か弱い声で「ヘルプミー」と言っている。


「……Hey!Go!」


 悩む余地は無く、俺は理由も聞かずに一緒にタクシーに乗った。お姉さんは運転手に何かを言うとタクシーは出発した。


 しばらく走ると人気のない工場地帯に入っていき道の真ん中で突然止まった。

果実に見惚れている俺はそんな事を気にすることも無く、タクシーを降りたお姉さんについて行く。


「こ、これはラッキーな奴では?」


 薄暗い路地に入っていくお姉さん。俺はもしやと淡い期待をしながら後を追う。少し歩くと突然お姉さんが立ち止まり銃を向けてきた。


「……ですよねー。そんな美味い話ありませんよねー。では僕はここで!グッバイ!」


 引き返そうと後ろを振り返ると、銃を持った男が三人ほどいて挟み撃ちにされていた。


「money!money!」


 金を出せと言ってくる男達に俺はゆっくりと近づいていき、カバンを勢いよく投げた。

 男達の意識がほんの僅かカバンに向いた瞬間に、俺は間合いを詰め男達三人を瞬時に無力化した。


 パンッ。


 乾いた音が鳴り響いた。


 後ろを振り返ればムチプリ姉さんが銃をコチラに向けていた。ふと俺の身体を見ると右胸から血が出ていて、かなり息がしづらくなっている。


「あーここまでか、しょうもない最後だったな……」


 だが俺は意を決してお姉さんの方へ駆けた。

 パンパンパンっとダメ押しの弾は俺の肩や腕に当たる。だが俺は止まらなかった。

 そんな俺に怯えているお姉さんは、銃の弾を全て撃ち尽くし、カチカチと引き金を引いていた。


 俺は最後の力を振り絞りーー


「あーおっぱいってこんなに固いんだな……」


 俺の人生の幕が降りた。





ーーー


 とある場所ーー


「はぁ〜。何人呼んでも全く試練も攻略出来ないし、私の力は削られていく一方だし、もうそろそろ諦めちゃいそうねぇ……はぁ」


 どこか不思議な雰囲気のする部屋で一人で喋る美しい女性がいた。


「ここに閉じ込められて1万年。向こうに転生したのは一人だけ……それも1000年前……力ももう少ないし転生のチャンスは後1~2回かな……早く来ないかなぁ……」


 美しい女性はスイカのように大きく丸い2つの胸をタプタプ揺らしながらかある“モノ”を待っていた。


 ふよふよふよ。


「あ、やっと来たわね。転生の試練を受けれるのが1年に1回なんてどんなに厳しいのよ!まぁそれもコレで最後……頑張ってちょうだいよ……」


 美しい女性はぶつくさ独り言を呟きながら、赤く燃えるようなふよふよしている物体に触れるのであった。


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